1

天に召された恋人を想う
シーツには彼女の体温がまだ残る
薄く儚い貴女を想う
テーブルには飲みかけの紅茶がまだ残る

手紙に残した二つの約束
一つを叶えて 一つを失う
見えないものだけに光を与えて この網膜に焼き付くように

なおも忘れたくない大切な記憶が
感触が 香りが 痛みが
脳と臓器の一番深い部分ですら灰に帰すなら


眠らせてくれ 同じように
彼女が知っている 醜い僕のまま
枯れ葉に埋もれ 舞い散る花びら
あの薄明の空の向こうまで


2

星に還った恋人を想う
鏡には彼女の輪郭がまだ残る
白く小さい貴女を想う
机には書きかけの歌がまだ残る

小指で刻んだ二つの約束
一人ぼっちじゃ 叶えられない
聴こえないものだけに音を与えて 二つの鼓膜を震わすように

今は致死量を超える貴女の幻覚
想い出を 絆を 約束を 心を 記憶を 光を 音を 香りを 絡めた指を
脳と臓器の一番深い部分ですら灰に帰すなら


眠らせてくれ 目覚めないよう
彼女が知っている 幼い僕のまま
棺に鍵を 十字に天使を

眠れたのなら 彼女の夢を
彼女を知っている 時の止まった僕のまま
冷めたミルクと 砕いた錠剤
あの薄明の空の向こうまで 

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眠り薬に祈りを込めて。

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投稿日:2017/06/02 18:29:43

文字数:515文字

カテゴリ:歌詞

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