嗚呼、夜叉

一々、歯痒いだけの　二之脚、踏み鳴らしたらば
散々、踊り狂って　染々、吐き捨てた賛美

気の向くままに　早々に通りゃんせ
斬れど骨無　されど骨抜
酔いどれ気難し　荘厳の花形

嗚呼、夜叉

苛々、谷間に放り込め　二之舞、煩悶取り沙汰
様々、交わり交わる　死の後の越境　無駄骨

死して尚、逝き続ける怨み渦中
とちりだんまり　のべつ幕無し
雄鶏、雌鳥、犠牲　色取々

かか様、これより死地に入る　とと様にお伝え下さいな
お子様は死合わせだったそうな　さりとて怨み辛み忘れませぬと

嫌々、舌を噛んでも　演々、般若は冷笑
精々、死も選べぬまま　止々、道中一人旅

今宵は満月か　鋭利な月か
転々骸、空髑髏
夕日、紅、血塗れお呪いを

かか様、夜道に気を付けて　とと様にお伝え下さいな
お子様は毎夜　狸寝入り
耳を澄ましたらば刃研ぎの音がする　無情

今宵の雨は仇となりましょうや
おいで召しませ　死出の旅路へ
足音、呼吸、断末魔を隠せ

明朝、日之出と共に参ります
助平出歯亀　落ちて首折
横たわる骸に小便垂らそうか

かか様、安寧の帳を　とと様にお伝え下さいな
お子様は去ぬ軒下に在り　醒めぬ夢　はたまた妄想か

戒め怨み花一匁　見せ締め辛み背負い細切れ
沸き立つ妬み春夏秋冬　死地逢瀬　巡々りて咎を討つ

嗚呼、夜叉

避けよ　逃げよ　足掻けよ　説けよ　逝けよ