―小 さ な 花 の 歌―



せせらぐ川の傍に
小さな花がひとつ

添うように佇む
少女の影はひとり


騒ぐ魚たち、水飛沫を飛ばして
ささやかな命を繋ごうと必死に泳ぐ


「気付いて 気付いて」と叫んだ声
水音(ノイズ)にかき消され 届かない
儚く弾ける水玉に 思いを馳せては
目を閉じて歌う、嗚呼

「会いたい 会いたい」と叫んだ声
心声(ノイズ)にかき消され 響かない
胸に宿る小さな鼓動、小刻みに震えては
目を閉じて歌う、嗚呼





気付かぬうちに咲く
小さな花がひとつ

気付かぬうちに散る
小さな歌がひとつ


泳いで泳いで 辿りつく海の果て
手を伸ばしてしがみ付く その場所こそ「終着」


「愛して 愛して」と叫んだ声
波音(ノイズ)にかき消され わからない
剥き出しの首筋が、寒くて凍えても
誰にも気付かれない、嗚呼

「寂しい 寂しい」と叫んだ声
泣声(ノイズ)にかき消され 聞こえない
頬に伝わる冷たい水、悲しくて震えても
誰にも伝わらない、嗚呼





誰も彼も知らぬ
名も無き花がひとつ

誰も聞いたことが無い
名も無き歌がひとつ





「どうして どうして」と叫んだ声
無音(ノイズ)と溶け合って 終わらない
答えなどなくっても、誰かへと続くなら
花を咲かそう、嗚呼


「歌いたい 歌いたい」と叫んだ声
歌声(ノイズ)と溶け合って 止まらない
声を枯らし言葉を尽くし、意味などはないけれど
歌を紡ごう、嗚呼





これは誰も知らぬ
名も無き花の歌

それは誰も知らぬ
小さな恋の歌

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

小さな花の歌

閲覧数:109

投稿日:2013/01/20 18:48:47

文字数:702文字

カテゴリ:歌詞

クリップボードにコピーしました