「おい」


部屋の外を見張っていた看守が、もう一人の看守に話しかける。


「なんだよ」
「いや…なんか、聞こえないか?」
「この部屋からか?」
「違う。向こうの通路からだ」


看守が耳を澄ますと、かすかに音が聞こえた。


「他の看守じゃねえのか?」
「いや、よく聞いてみろよ」


よく聞いてみると、今度ははっきり聞き取れた。

―――何かが滴り落ちる音が。


「何かあるのかもしれないな…」
「行くのか?」
「あぁ。お前は『13943号室』を見張ってろよ」
「了解」




*=*=*=*=*




*前回までのあらすじ*


よっしゃ、反省会でもやろうか!





「じゃあ言いだしっぺの法則ってことで、僕が最初ね」


オイ待て、さっきのあらすじは適当すぎないか?
っていうか、短すぎてよくわからねえよ!
しかもノリがおかしいと思うんだが!
そんな疑問をあっさり無視し、最初に語りだしたのはレンだった。


「まず、僕らは赤子の時に組織に誘拐された。
 その組織の名前は……忘れました!」
「『Rebel』だったような気がする」
「あ、それかも」


Rebel。
とにかくなんでもやっちゃう犯罪組織。
この組織による犯罪や事件はさまざまで、目的は不明とも言われている。


「『Rebel』に誘拐された赤子は殺された。
 それが世間の認識だったけど、本当は生きていた」
「組織に育てられて、な」


組織が俺たち三人を誘拐した目的は、組織に忠実な人間として育てるため。
そうすれば裏切られないし、組織の操り人形になるからだ。


「ところが、成長した僕たち三人は善人の心をもっていた…
 僕たちは武器の扱い方とか暗殺方法とかを嫌でも教えられ、覚えてしまった」
「そして14歳になった俺たちは、組織に耐えられなくなり、逃げた。
 俺たちが逃げ切った直後、組織の本部に警察が乗り込んで…」
「オレたち以外の組織の人間は全員逮捕された。
 ……改めて振り返ってみるとメチャクチャだね」


自分たちでも何がなんだか。


「組織が壊滅してめでたしめでたしって感じだったけどね!」
「その二年後、組織の奴等は『生き残りが数人いる』と言った。
 そして俺たちは指名手配。……休む暇がなかったよな」
「だね。でも、僕たちは何もしていなかった。組織の奴等が嘘をついたんだろうね」
「組織の人間ってだけで、敵にされる…好きで組織に入ったワケじゃないのに」
「だから俺たちは逃げた。『Rebel』ではなく、『VanaN'Ice』として」


そして二年間逃げ続けていたわけだが、今日捕まりましたとさ。
これが今までのあらすじである。


「でもさ、僕らは完全に情報を漏らしてなかったよね?」
「あぁ。全て完璧だったはずだが…」
「…ねぇ。もしかすると、あいつの仕業なんじゃない?」
「…あいつって?」
「キヨテルだよ。彼は、オレ達を裏切ったんだ」


キヨテルとは、去年『VanaN'Ice』に入った男だ。
あいつとはすぐに打ち解けた。
あいつは凄くいいヤツだと思っていたが…


「…そうだとしか、考えられないね」
「アイツも、結局は組織の人間だったのか…」


『騙し合うのも一つのルール』
確か、組織にはそんなことも言われたような気がする。
綺麗事なんか、あんな場所にはなかった。


「…よし」


すると、カイトがいきなり毒薬の瓶を取り出し始めた。
どうやら、何かを調合しているらしい。


「……何作ってんだ?」
「ん?なに、ちょっと準備をね」
「となると……もしや」
「そう。そのもしや、だよ。オレを怒らせると怖いよ?」


カイトは口の端を吊り上げ、少し楽しそうな声で言った。


「脱獄、してみない?」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

13943号室 2【自己解釈】

お久しぶりの13943号室です。
しばらく放置してました…すみませんorz


「13943号室」本家様
http://www.nicovideo.jp/watch/sm17709319

閲覧数:2,135

投稿日:2013/04/02 18:43:26

文字数:1,563文字

カテゴリ:小説

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  • Seagle0402

    Seagle0402

    ご意見・ご感想

    お、IIがある!
    カイト、はたして何しでかすのか…どきどきです。

    2012/10/14 09:23:34

    • ゆるりー

      ゆるりー

      解釈がなかなか難しいです。

      カイトは何か変な薬を作っています←
      「脱獄しよう」と言い出したカイトには、何か考えがあるようですが…

      2012/10/14 18:05:33

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