ミクさんは、カップの紅茶を一口飲んで言った。
「そうねぇ、でも、やっぱり普通の“絵本”から、作って行こうかな」
「そうするの?」

彼女はうなずいて、手元のノートを閉じる。
「うん。協力してくれるところもあるし。コヨミさんがらみの絵本の出版社なんだけど」

テトさんも、コーヒーを飲んでうなずいた。
「そうね。最初は、ノーマルに、ってやつね。でもさ」
「ん?」
彼女は、ちょっと心配そうに聞いた。
「いま、絵本って、売れるものなの?」
「売れるもの、って?」

ちょっと、眉にしわを寄せて言う。
「ホラ、いま、本とか、出版って、あんまり売り上げが良くない、って聞くよ。世の中で」


●良いものを作れば

「うん。そうね。でもね」
ミクさんは、紅茶カップに手を添えて、答える。
「私には、ファンの応援があるから。私の“はっちゅーね”のファンの人。それと、リンちゃんのファンの人もいるからね」

「なるほど、そうか」
テトさんはうなずいた。
「ファンの人たちは、絵本はきっと、買ってくれるよね」

「そうなのよ。だから、大ヒットとか、ベストセラーとか、そんなんじゃないけど」
ミクさんは腕を組んでつぶやく。
「良いものを作れば、ソコソコは、売れると思う」


●まずは絵本で

「そうだね。それにさ、ミクちゃんの描いた絵本だったら、みんな欲しいと思うよ」
テトさんは、目を大きくして、意気込む。
「私だって、買っちゃうよ、ぜったい」

「ホント?ありがとう」
ミクさんはニッコリと笑った。
「ウェブの4コマや、ウェブ絵本とかも、スゴク面白いけど、まずは、絵本を出版しようかな」

テトさんも笑って、いいかける。
「それがいいよ。いい絵本を出して、そしたら」

言葉をさえぎって
「ウン。カクジツナ、ウリアゲ、ヨ」

「そうそう!確実な売り上げが、取れるよ」
テトさんは楽しそうに笑う。
「でもさ、作り手が自分で、そんなこと言うの、ヤメテ、ヤメテ!あはは!」

彼女の笑い声を聞きながら、ミクさんは思った。
「今のセリフ、私が言ったんじゃ、無いし...」
彼女はちょっと青ざめて、カバンの人形を見る。

「このはっちゅーね人形が、しゃべったみたいだし」(゜ロ゜;)!?

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玩具屋カイくんの販売日誌(299)  ミクさんの絵本、スタート

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投稿日:2017/10/15 13:59:59

文字数:932文字

カテゴリ:小説

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