!!!Attention!!!
この度、ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、コラボ(二人)で書くことになりました。
自分が書く「青犬編」とつんばるさんの書く「紅猫編」に分かれております。
原作者様には全く関係なく、そして勝手な解釈もいいところで、捏造だろうと思われる部分もあると思います。
そういった解釈が苦手な方はブラウザバック推奨。
なお、カイメイ要素を含みますので、その点にもご注意ください。

大丈夫だよ!寧ろバッチ来い!の方はスクロールで本編へどうぞ。








【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#09】





 朝になって悪夢のような夢から目を覚ましても、瞼は重くて、頭も重くて、結局悪夢のような現実は夢にはならなくて・・・昨日のことが頭から離れてはくれない。
 自分から手放した。自分が一番大切にしてきたもの、大切に想ってきた人を。
 いつかは思い出になるとか、そんなことは考えられない。
 酷い頭痛がして、ふらふらと覚束ない足取りで荷物を運んだ。幸いなことに量はそれほど多くはなくて、一応決められたものはちゃんと持っていけた。こんな最悪の気分でも。
「・・・あんちゃんさー」
「元気だしてよー」
「俺たちまで」
「悲しくなっちゃう」
 休憩中、両隣にひょこひょこと顔を出した双子に、俺は曖昧に笑って体を倒した。
 今、俺の気持ちが折れていることは多分誰の目からも明らかで、どうにかしようと思ったって自分でもどうしていいのかわからないのだからどうしようもない。
 だからといって、このままで良いわけがないことぐらいわかっている。
 そうだ・・・手放した、わけじゃない。触れることも叶わなくて、何が手放した、だ。
「にぃにぃってばぁ・・・」
「めいこさんにだらしないって言われても知らないんだからな」
 二人が俺の顔に影を落としながら口々に言う。
 いい大人がこんな可愛い双子に心配をかけ、泣かせたと知られたら・・・確かに彼女はこんな俺を怒るのだろう。だからというわけではないが、俺は体を起こした。
 俺には凹んでも支えてくれる大切な友人がいるのだから、もう少し頑張ってみよう。いつまでもズルズルと引き摺るのは俺らしくない。どのみち、俺にはめいこなしの人生なんて考えられないのだから。
 二人の頭を両腕で抱え込むと、二人はそれぞれに不満の声を上げた。
 その声が嬉しそうだったのは、おそらく気のせいではない。
「とりあえず・・・早く会いに行けるように仕事頑張ろうかな!」
 決意表明として声を上げると、双子が声を揃えて「それでこそ、あんちゃん!」「それでこそ、にぃにぃ!」と俺の腕から逃れて嬉しそうに笑った。
 振られてもいないのに何を負けた気になっていたのだろうか。会えなくても、めいこが俺に会いに来たというのは事実だった。それは、喜ぶべきことのはずだ。
 そう考えると、やはり会えなかったのは俺がすぐに追って走れなかったせいなのだろう。俺のせいでめいこの願いを叶えられなかった・・・だから、今すぐにでも会いに行ける機会があるのなら、俺は縋りついてでもその機会を逃せない。
 俺は小さく息をついて、空を見上げた。
 目の前に広がる空はとても青く澄んでいて、まるでようやく前向きになれた俺を祝福してくれているかのようだった。

「・・・と、これで最後か」
 午前中とは比べ物にならないほどの速度で配達し続けていた俺は、いつの間にか最後の荷物を手にしていた。しかも、最後の荷物の届け先は駄菓子屋・・・おばあちゃんのところだ。
 おばあちゃんにめいこの話をしたら、だから言っただろうと笑われるだろうか。
 そんなことを思いながら歩を進めていると、前方に駄菓子屋が見えてきた。
 ちょうど花に水をやっているおばあちゃんの後姿。それとは別に、備え付けられた椅子にひまわり色の髪の子どもが足をぶらぶらさせながら座っている。その手に持っているのは・・・色からして麦茶だろうか。
 一人が俺の姿を認めると、もう一人も俺の姿を見つけ、二人同時に笑って手を上げた。どこまでも気の合う双子だ・・・いや、双子だからか。
「にぃにぃ!」
「お疲れ様!」
 にっこりと笑う双子の声でようやくおばあちゃんが気付いたようで、にこりと微笑んでくれた。それに小さく頭を下げて応え、俺は二人の頭を軽く撫でてやる。
 二人はもう仕事を終えたのだろう。そうでなければこんなところで油を売っているわけがない。
「おばあちゃん、荷物ここに置いておくよ」
「ありがとねぇ」
 のんびりした声で応えながら、おばあちゃんはまだ花に水をやっている。花を育てるのは趣味らしいから、そうしているのが楽しいんだろう。
 双子はにこにこと笑っていて、りんちゃんは俺にたっぷりお茶を入れたグラスを手渡してくれた。そういえば喉が渇いていたのを忘れていた。
「ありがとう、りんちゃん」
「あ、りんのは駄目だって!俺のやるから!」
「えーっ、にぃにぃと間接ちゅうするのに!」
 既にグラスに口を付けようとしていた俺は、寸前で止まって何も飲んでいないのに少し咽てしまった。この双子は一体それをどこまで本気で言っているのだろうか。
 俺はとりあえずれんくんの持っていたグラスと交換して、お茶を一気に飲み干した。
 りんちゃんが「あー・・・」と残念そうに言っているのは気のせいだということにしておこう。多分俺をからかっているだけだ。
「俺のやるから」
「むー・・・じゃあれんので我慢する」
 文句を言いながらも嬉しそうなりんちゃんは、本当は俺よりもれんくんの方が好きなのだ。本人は違うと言い張るし、れんくんも違うと言うのだが・・・誰の目から見てもその事実は明らかに違いない。
 幼い頃の俺とめいこの関係を思い出すのはそのせいなのだろうか。
 空になったグラスを持ったまま息をつくと、双子が心配そうに俺の表情を見つめていた。
「大丈夫?」
「あんちゃんも座るか?」
 心配そうにしている二人を見ていると、俺は思わず笑っていた。まさか未だにめいこに会えなかったことを引きずっているとは思っていないだろうが・・・何て可愛いんだろう、この二人は。こんな、めいこのことしか考えていないような俺をこうして心配してくれるなんて。
「話聞いたけど、元気そうやね」
 いつの間に水やりを終えたのか、肩を叩かれて振り返るとおばあちゃんがにこりと笑っていた。双子だけじゃなくて、俺はおばあちゃんにまで心配かけてたのか。それを考えると、俺が凹むだけで少なくとも三人は不幸になるということがわかって・・・優しさが身にしみた。
「俺、絶対めいこに会いに行くよ」
 どうしても湧き上がってくる気持ちが抑えきれなくなってそう言うと、双子が「にぃにぃ」「それもう聞いた」と呆れながらも嬉しそうに返してくる。
 おばあちゃんはにこにこ笑って数回頷いた。

 ねぇめいこ、俺は必ずそっちに行く。すぐに行くから、待ってて・・・もう少しだけ、俺に時間をください。
 どうか、それまで俺たちの間に何も・・・もうこれ以上壁が立ちはだかりませんように。




ライセンス

  • 非営利目的に限ります

【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#09】

かいと立ち直りはやっ(笑
でもまぁいつまでもいじけてちゃ何も始まらないからこれでいいのだと思います。
この辺りのメールは・・・自分の夢の話をしていたんじゃなかったかな。
うん・・・内容が内容なだけに伏せますが、とんでもなかった(誰かさんはツボだったみたいだがな!)
ELYとかも夢で見ましたが、結構夢からネタ拾ってるんですよね。
そしてこの話を書いた後にパソコンが・・・(涙
でももう立ち直りました!自分もかいとの立ち直りの早さを見習った!

紅猫編にはどうやらどんどんスレてきた感じのめーちゃんがいるようですよ~(笑

+++

「紅猫編」を書いているコラボ主犯
つんばるさんのページはこちら → http://piapro.jp/thmbal

閲覧数:472

投稿日:2009/09/10 15:33:10

文字数:2,948文字

カテゴリ:小説

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