「晴れているのかいまいち分かりにくいな、バン?」
ある日、アカイトはいつものようにバンの研究所に遊びに来ていた。
「そうだな。この頃の天気は気まぐれで、この法則を解き明かすのも楽しいかもな、愛するアカイトよ」
この研究所の主であるバンは、新聞から目を離して横にいるアカイトを見つめながら言った。
「・・・愛するは余計だ」
そう言ってバンから目を逸らすアカイト。
今日は、まだバンとアカイトの2人しかいなかった。きっと、後から来るのだろうと思っていた矢先。
「し、失礼します。ここが、・・・・あっ!」
おずおずと入り口のドアを開けてきた金髪で、まるで人形と見間違うような女の子がこっちを見て嬉しそうな声をあげて、こっちに走ってきた。
「・・・誰だ?」
アカイトはバンの彼女なのかなと首を傾げる。もし違うならいいが、もしバンの彼女なのだとしたら絶対好きになれないなとかなんとかアカイトは誰も聞こえない心の中でぶつぶつ呟く。
「・・・ジュラっ!」
なんと、バンは知り合いなのかこちらも嬉しそうにしている。アカイトは、やっぱり彼女なのかなと勝手に落ち込んだ。
「ハカセっ!探していましたぁ・・・元気のようで私、安心しました。すっごい心配してたんですよ、ハカセ」
今にも泣きそうな表情で嬉しそうに笑うジュラという女の子。
「で、今はここにいるんですね」
「そうだ。少し事情があって、君には言えなかったんだ。・・・申し訳ない、ジュラ」
バンはジュラから目を逸らして言いにくそうに言った。
「・・・なんか口挟みにくいけど、バン、このジュラとかいう女の子は誰だよ・・・・もしかして、彼女?」
疑うアカイトに、バンが笑って返事をするより早く、
「ちっ、違いますよっ!!ハカセの彼女なんて、そんなのありえないです・・・っ!」
見ているこっちが気の毒になるくらい慌ててジュラは首を振って、否定の言葉を叫ぶ。
「だけど、なにもそこまで慌てることないぞ、ジュラ。私たちが普通の関係ということは、ちゃんとアカイトは分かってくれてるからな、心配することは何もない」
笑ってやんわりとジュラをたしなめるバン。
「・・・なんか悪かったな、疑っちゃって。・・・あの、よろしくな。俺はアカイト「ちなみに彼は私の婚約者なのだよ」
自己紹介しようと名前を名乗ったアカイトの言葉をバンは遮る。
「・・・だから、彼は傷つけちゃだめだぞ?ジュラ」
「ちょ、おま、何言って」
「分かりました」
「えっ、そんな素直に返事しなくていいぞ、ジュラちゃん。こんな奴の言うことなんて気にしない方が・・・」
「いいえ、いいんですよ。あ、私のことはジュラと呼び捨てで構いませんから。私も、アカイトと呼ばせていただきますので。それに、ハカセには助けてもらった恩があるので・・・」
うろたえるアカイトに、にっこり笑いかけるジュラ。
「あ・・・、そうか」
なんか聞いちゃいけないなと判断したアカイトはただ頷くだけにしておいた。
「さて、ジュラが来たということは、あの人も当然来るのだろう?ジュラ」
話が一段落したところで、バンはジュラに聞いた。
「はい。愛斗さん、すっごく喜んでいました。もう来るんじゃないんですか?」
「おい、まだいるのか」
「・・・彼は、アカイトには似合わないだろうな・・・」
「・・・は?」
バンの意味深すぎる言葉の意味を聞くより早く、
「・・・バンちゃん、いる?」
というハスキーボイスじみた声が入り口近くでした。
「おお、愛斗。久々だなぁ、元気してt・・・・・・ぐぐ、少しキツいぞ・・・?」
「だってぇ、せっかくのバンちゃんとの再会よぉ?抱きしめないと実感しないものぉ」
少し辛そうなバンに構わず、ますます抱きしめる力を強める愛斗。
「・・・ちょ、バンがきつそうにしてるだろ、離してやれよ」
「あはは、バンちゃんったら、今日もいい匂いがするわねぇ・・・♪」
アカイトが止めるも、全くの効果なし。
「あの、愛斗さん、少しハカセから離れてやって下さい。・・・ハカセ、少し顔色が悪いので」
「あぁら、それは大変。・・・バンちゃん?大丈夫・・・?」
ジュラの言葉にすぐさま反応して、バンを離して心配そうに顔をのぞきこむ愛斗。
「・・・・ああ、私なら・・・大丈夫だ・・・。・・・それにしても、握力が強くなったんじゃないか・・・?」
「うぅーん、そうねぇ・・・。あの時みたいな事態にならないように、いっつも鍛えているからかしら♪」
「どんだけなんだよ」
愛斗のキャラに、早くもげんなりするアカイト。
「もう、愛斗さんはもう少し気を遣うべきですよ?」
「ジュラの言うとおりね。分かった、今度からは気をつけるわ」
そう言って、にっこりと笑いかける愛斗。
「・・・いえ、分かったのなら、それでいいです」
愛斗に反省の色が見えたのか、ジュラは視線を落として返事する。
「それで、バン。こいつは、何だ?女のくせに、なんかムダに筋肉があるっぽいし・・・」
「紹介しよう。アカイト、彼は、愛斗だ。読み方は、あいとという。彼はこう見えてれっきとした男だ。・・・それで、愛斗。こちらの赤い髪をした人はアカイト。私の婚約者だ」
「は?こいつって、こんな綺麗なのに男かよ・・・っ!?」
「へ?こいつって、こんな外見なのに婚約者・・・っ!?」
綺麗に、アカイトと愛斗はハモる。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
その次のだんまりもぴったりな2人。
「・・・まず、こっちから質問していいか?」
「うん。本来なら、無視するとこだけどぉ、バンちゃんの婚約者なら話聞くわぁ」
「・・・そうか」
こいつ、バンのことがほんとーに好きなんだな。今ようやく分かったアカイトなのだった。
「・・・ほんとに、男なのか?」
「そうよぉ?こう見えて、あたしがホストやってた時すごかったんだからぁ、もう女の子たち、俺に夢中って感じでさ・・・」
なるほど、ホストを語る時は普通に男に戻ると。アカイトは、心のメモ帳にメモする。
「へぇ、そうか。・・・それで、バンとはどんな仲なんだ?」
「えー、そりゃもう、一夜を共にする仲でぇ「愛斗。嘘は言うな」
「・・・分かったわよ。しょうがないわねぇ、バンちゃんの言うことなんだもんねぇ。・・・嘘よ。忘れて?」
「一瞬お前をどう料理しようか迷ってたぜ・・・」
「・・・・アカイトからプロポーズを?」
ジュラが、そっとバンにたずねる。
「いや、プロポーズしたのは私だよ、ジュラ」
「・・・そうですか。ハカセがあの人に決めたのなら、私は何も言うことないです」
少し切なそうなジュラ。
「君は、誰よりも私に近い位置にいるよ。・・・なにも、恋人じゃなきゃ近くないってことはないのだよ」
「・・・・ハカセ」
ジュラの頭にポンと手を置き優しく呟くバンに、ジュラは切なそうに笑ったのだった。
「それで、今度はあたしからの質問なんだけどぉ・・・」
愛斗は、そう言ってバンを見た。
「・・・ほんとにバンの、婚約者????」
「ほんとだって。さっき、バンが言ってただろ。それに、バンは嘘つかないし、俺はバンのこと・・・・・」
アカイトがそこまで言った時、
「こんにちは~!遊びに来ましたよー!」
「遊びに来てやったにゃん」
「今日は少し遅れての登場です、ね?グルト」
「そっ、そうだな・・・フワ」
「こんにちは・・・」
もはやレギュラー陣となった、モコ、ミン、フワ、グルトの他に、見知らぬ女の子が1人。
「ややっ、バンさんを巡る激しい取り合いですねっ!昼ドラ思い出しちゃいました」
可愛らしく呟かれるモコの言葉に、
「バンはもてるにゃん。こりゃアカイトも倍率高いにゃん?」
ミンが不敵に笑って、
「楽しそうですねぇ・・・よし、私もバンくん狙っちゃおっかなっ!」
なーんて、冗談ともつかない言葉を可愛らしいドジっ娘みたくフワは宣言(?)して、
「えっ・・・そ、それはちょ、ちょっと・・・」
密かに片思い中のグルトは焦って、
「・・・・・」
その様子を面白そうに見守っている女の子。
「ちょ、モコっ!確かにそうだが、もう終わったぞ?無事和解したんだから、な?愛斗」
「うぅーん、そうねぇ・・・確かに、和解はしておくわぁ。バンちゃん、ほんとにこいつのこと愛してるみたいだったしぃ・・・。あ、でも、あたしがバンちゃんを愛する気持ちの方が遥かに上なんだけどぉ♪」
「なかなかの好敵手ですね♪アカイト」
「・・・そうだな、好敵手すぎて疲れる相手だぜ」
フワのナイスすぎる言葉に、げんなりと答えるアカイト。
「・・・・さて、なんだか新しい人物がやって来たようだから、まずは全員自己紹介しようじゃないか」
意外と仕切るバンの言葉に、一同は賛成したのだった。

「・・・という訳で、あたしはバンちゃんと出会ったのよ。その時から、バンちゃんのこt「彼は愛斗。彼は以前私が助けた人物だ「ちょっとぉ、せっかく関係持ってること言おうと思ったのに、何で邪魔すんのよ」
「それは済まない。だけど、全くの嘘を事実にすることだけは、さすがに見ていられないのでね」
なんだかぐだぐだになったまま愛斗の紹介は終わり、続いてはジュラへ。
「私もハカセに助けられたジュラです。よろしくお願いします」
そう一言言って、ぺこりと頭を下げるジュラ。
「・・・それだけで、いいのか?」
「はい」
「そうか。それじゃ、次は、モコだ」
バンは話を振られたモコは、
「えっと、私は羊音モコといいます。あ、モコでいいですよモコで。ふつつか者ですが、よろしくお願いしますです」
モコの可愛さに、みんな癒された後、
「私はミンだにゃん。見てのとーり、猫だにゃん。よろしくだにゃん」
ミンは何故か猫であることを強調して、その後、
「あ、私はフワと申します。色々お世話になりますけど、よろしくお願いします」
そう言って、ふわりと笑いかけるフワの自己紹介の後、
「えーと、俺はグルト。・・・言っとくが、俺は悪魔なんかじゃないからな」
前回のことをまだ引っ張るグルトに、
「グルトは、フワにゃんのことが好きなんだにゃん」
と、茶々を入れてしばらく大騒ぎになった後、
「次は・・・貴女だな」
「あ・・・えと」
女の子は緊張しているのか上手く言葉が出てこないようだった。
全体は落ち着いた色調の服で纏められており、なかなか可愛い外見で、少なくともアカイトは好感を持っている。・・・・あくまで、好感、だが。
「わ、私は・・・その、男歌ジミとといいます・・・・・っ」
恥ずかしそうな女の子から紡がれた言葉に、みんなは、
「「「「「「「「・・・なんか、じみ・・・???」」」」」」」」
と綺麗にハモった。
「・・・地味って単語は言わないで下さい・・・っっ」
ほんとに恥ずかしそうなので、ネタにするのはかわいそうなのでやめておくみんななのだった。
「・・・にゃおん?でも名前呼ぶ時は、そのままジミにゃんでいいのかにゃん?」
ミンの素朴な疑問に、ジミは頷いた。
「はい、いいですよ」
その時の笑顔が可愛らしかったので、また可愛いキャラが増えたなぁと思うみんななのでした。


                          一応、続くよ!

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【コラボ】濃いすぎる2人と薄すぎる1人の新たな登場と修羅場になりつつもやっぱり大騒ぎな日々【亜種】

こんにちは、今回もぶっつけ本番で書こうとしてなんと無事に書き終わったもごもご犬ですこんばんは!
さすがに疲れる・・・でも、今回も楽しく書けました。良かったです。
内容に入る前に、関係のない近況報告を。
えーと、昨日はちゃんと夕方には帰ってきました!ほんと退屈なお出かけでした・・・なので3曲をお供にずっとリピートしてて、今もリピートしてますwwwほんとですwwそれで、今日の午後、とあるブログを見てやっぱりと、少し嬉しくなったのは些細なことなのでそこに置いとくとして、今に至るんですね、はい。
これで、近況報告は終わるとして、続いて内容の方を。
毎回毎回何この長い作品と他の人から言われそうな程長くてすいません(笑)
だって、人数は9人(だと思います)だし、どの亜種も元気すぎることこの上ないですw
それに、最初から長く書こうとは思ってないし、むしろ書き終わって、「えっ、こんなに長かったっけっ!??」と驚く方ですね、はいww

最後に、亜種を登場させて下さいと突然訪問した私に快く承諾して下さったマスターの皆さんには、愛しい程感謝してm(黙
・・・こほん、これからもよろしくお願いします!

閲覧数:162

投稿日:2010/03/29 16:40:13

文字数:4,589文字

カテゴリ:小説

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  • しあ

    しあ

    ご意見・ご感想

    お疲れ様でした!
    3人とも使っていただきありがとうございますっ(><)とても楽しく読ませていただきました!
    さすがに大変でしょうからジュラと愛斗は準々レギュラーくらいに使ってくださればありがたい限りです(^^)本当にありがとうございました!今後も応援しております。

    2010/03/30 06:08:34

    • もごもご犬

      もごもご犬

      >しあさん

      いえいえ全然疲れてないですよ、楽しかったですし!
      楽しく読んで下さったみたいで良かったです♪
      準々レギュラーですかwwww
      多分アカイトはほっとすると思います!(笑)
      こちらこそ色々許可して下さり、ありがとうございます!
      これからもまいぺーすですがよろしくお願いしますw


      >シニカさん

      そう言っていただけると、すっごく嬉しいですww
      羨ましいなんてそんなww
      シニカさんにもきっといい物語が書けますよ!

      ジミちゃんの設定文でのお返事読みました♪
      まさかの金平ごぼうだったとはwwwwwwwww
      確かに金平糖よりかは地味ですが、金平ごぼうおいしいので私的には好きですね、はい。
      ・・・と、意外なところでジミちゃんと気が合ったことはさておき、今のところまだ未定ですが、次回はちゃんとジミちゃん活躍するはずなので(と、強調してみる←)お楽しみに、です!
      これからもまいぺーすに頑張りますよ♪

      2010/03/30 15:59:20

  • 久我 愁

    久我 愁

    ご意見・ご感想

    俺はいきなり本番をするとぐだぐだぐだg(ryになるので書けません/^q^\ 最近 俺亜種書いてないな(′・ω・`)←
    今日はいっぱい書くよ\(^o^)/

    2010/03/29 16:47:45

    • もごもご犬

      もごもご犬

      >愁くん

      ちょwwっていうかびっくりしたwwwwwwww
      いや、まぁ、コメは嬉しい嬉しいけど、驚きで胸がキュンとしちまったww←←
      ・・・今のは冗談として、コメありがと。すっごい嬉しいよ♪

      いきなり本番すると書けないって、いかにも愁くんらs(黙
      そっか、書いてないんだね分かるよ←
      書く・・・って、何をww

      2010/03/29 16:54:43

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