彼女たちは物語を作る。その【エンドロール】が褪せるまで、永遠に。



暗闇に響くカーテンコール。

やむことのない、観客達の喝采。

それらの音を、もっともっと響かせてほしいと願う。それこそ、永遠に。

しかし、それは永久に続くことはなく、開演ブザーが鳴り響く。

幕が上がると同時に、観客達の【目】は彼女たちに向けられる。

1、2、3のカウントで始まる物語。



「さあ、始めよう。君が主役のCrazy nighT」








<<Crazy nighT>>









静寂の色に染まる舞台。
そこに、突如足音が鳴り響く。

物語の【主役】である【村娘】は、不安そうに、しかし正確に歩き出す。


『それは、月の綺麗な夜』
『深い深い森の奥』
『それは、暗闇に包まれている』


村娘は、月の光という名のスポットライトが照らす道を進む。


「どうすれば、いいんだろう」

『その手には、色あせた謎の手紙が握られている』


ふと、村娘は立ち止まる。


「…建物…?」

『そして、真っ暗な闇の夜、ある館にたどり着く』

「何?この館…」

『森の奥に館があったことを、彼女は聞いたこともなかった』
『地図にも載っていない、謎の館』
『きっと、何かがあるはず」

「もしかしたら…」

『謎に包まれている、不気味な洋館』


村娘は手元の手紙に目線を向けたかと思うと、すぐに洋館の扉を叩く。
扉が開かれると、そこには【執事】と【メイド】が立っていた。


「おやおや…どうしました?何かお困りですか?」
「お困りごとならば、どうか私たちに話してください。おや?その手紙…」


執事とメイドは村娘の手紙を見ると、にっこりと笑った。


「いらっしゃい。不思議の館へ」
「漏れなくご・招・待しましょう♪」

『村娘の話も聞かずに、二人は屋敷へ入っていく』
『村娘は、その後を追いかける』
『そして突然灯りがついた屋敷内で、【主人】と【奥方】は村娘を出迎えた』


「いらっしゃい、お嬢さん。どうやら、【道に迷った】ようだね」
「かわいそうに。外はもう」
「「すっかり暗いから」」


主人と奥方は、奥へ手を指す。


『そこには、小さな人形が2体』

「ヨウコソ、不思議ノ館ヘ…」
「アカリガツクマデ…」

「「「「「「「歓迎しよう、もてなしましょう」」」」」」」

『執事に寄り添うように立っていた【お嬢様】が呟いた』

「今宵の見せ場を…」

「「「「「「「さぁ、始めよう」」」」」」」


『気づけば、執事とメイドは宴の準備を始めていた』

「ようこそ、ミクさん。そこに座ってください、どうぞお茶を召し上がってください♪」
「はぁ…どうも」

『全速力ダッシュで走ってきたメイドの手には、ポットとお茶を淹れたティーカップ』

「あ、おいしい…です」
「お口に合ったようで何よりです」
「ワインもお持ちしましょう。少し待っていてください」

『執事は村娘の返事を聞かずに、どこかの部屋へ向かって行った』
『使用人二人が準備をしている間、他の5人は【客人】である村娘を値踏みする』

「ふぅん…これはけっこうな『器』で…」
「なかなかいいじゃないか。価値が高そうだ」

『交わされる会話の内容を理解できない村娘は、ただ固まっているしかなかった』

「あの…『値踏み』って…?」
「ん?あぁすまない、こちらの話。気にしないでくれたまえ」

『気にするなと言われても、気にしてしまうのが人間。村娘はどうしても気になってしまう』

「でも、この館にたどり着く人はなかなかいないんだ。
 こうして会うのも、きっと何かの縁でしょう」

『あの会話の後だと説得力がないということを、村娘は黙っておくことにした』

「このお嬢さんは、立派な客人だ」
「オモテナシスルンダヨネ?」
「あぁ、もちろんさ」
「ナラ、パーティーダネ!」
「そうだな、だから今準備している」

『気づけば、執事はもう戻ってきていた』
『そして村娘は、とんとんと進む会話についていくことができない』

「あの…私は、ここに用があるわけでは…」
「「「「「歓迎しよう!」」」」」
「大事なことなのでもう一回言いました」
「大事なことなので」

『人の話聞けよ、それが村娘の心情だった』

「Hurry、hurrY!!」
「あ、ワインお持ちしました」
「よし、さっそく注いであげて」
「わかりました」
「あの、私未成年なのでワイン飲めないんですが…」
「はい貴方もご一緒に!どんちゃんどんちゃん♪」
「え?ど、どんちゃんどんちゃん?」

『急にテンションが高くなったメイドに、村娘は驚いた』

「皆で、乾杯しましょう」
「お嬢様もお飲みになるのですか」
「そうよ。何か文句があるのかしら?執事の分際で」
「ないです」
「え、あの」
「Are you readY??」
「準備はいい?」
「え、あの、その」
「いいってさ!!」

『誰も言うこと聞かねぇ、最初から人の話を聞く気がないと村娘は思った』


「大事なことなのでもう一回言いまーす」
「せーのっ」
「「「「「「「さぁ、始めよう!!」」」」」」」


『そして、舞台の上で宴は始まった』

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Crazy ∞ nighT【自己解釈】

「Bad ∞ End ∞ Night」の続編と聞いて、いてもたってもいられなくなったゆるりーです。
また、「Bad ∞ End ∞ Night」の内容も一緒に書いていますが、私が解釈した「Bad ∞ End ∞ night(http://piapro.jp/t/zUaL)」の内容は完全には含みません。
ハッピーエンドにはならないと思います。

そして、またさりげなくがくルカらしき一文がありますが、「ゆるりーの通常運転」ということでお願いします。


前作:「Bad ∞ End ∞ Night」本家様↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16702635

今作:「Crazy ∞ nighT」本家様↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm18382294

閲覧数:38,406

投稿日:2012/07/18 23:02:58

文字数:2,160文字

カテゴリ:小説

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