＿Ａ１
弱竹の庭　さらさらと
眠れぬ童子脅かす
隣横たふ　やすらかに
近親しくとも愛し人

＿Ｂ１
然〈サ〉れども残酷に　別れは訪れた
その際〈キワ〉綺羅めいていた　雫忘れじ

＿Ｓ１
恋は随に　あなたトわたし
痛む心は　　漫〈スズ〉ろに
千尋の雲居　想いたなびく　
月の道　辿れず


＿Ａ２
寂寞の日々　つらつらと
暮らすだけなら　堪えなけりゃ
追わずにあれば　崩れそう
背負いしいものが　忌〈キ〉としても

＿Ｂ２
然〈シカ〉らば御戸代〈ミトシロ〉を　踏み越え進もうか
門扉をくぐりぬけして　この身を風に

＿サビ
恋は随に　あなたトわたし
許されざろうとしても
影を傾け　鬼子とならむ
月の道　目指して

＿Ａ３
静まる屋敷　しんしんと
気付かれぬように　忍び込む
鳥篭の中　羽ばたけぬ
小さなあなたを　連れ出そう

＿Ｂ３
然〈シカ〉して駈け出した　二人は幼すぎた
握った手温もりだけが確かであった


＿サビ
神の随に　ふたりハふたり
叛きをも宿命〈サガ〉　随に
人の儚さ　うたわれるだけ
凡て神の随に

＿サビ
恋は随に　あなたトわたし
巡り巡って　愛した
暁までの　愚か戯れ
月の道　堕ちゆく


――――
ひらがな
――――

＿Ａ１
なよたけのにわ　さらさらと
ねむれぬどうじ　おびやかす
となりよこたふ（う）　やすらかに
ちかしたしくとも　いとしひと


＿Ｂ１
されどもざんこくに　わかれはおとずれた
そのきわきらめいていた　しずくわすれじ


＿Ｓ１
こいはまにまに　あなたとわたし
いたむこころは　すずろに
ちひろのくもい　おもいたなびく
つきのみち　たどれず


＿Ａ２
せきばくのひび　つらつらと
くらすだけなら　たえなけりゃ
おわずにあれば　くずれそう
せおいしものが　きとしても


＿Ｂ２
しからばみとしろを　ふみこえすすもうか
もんぴをくぐりぬけして　このみをかぜに


＿サビ
こいはまにまに　あなたとわたし
ゆるされざろう　としても
かげをかたむけ　おにごとならむ
つきのみち　めざして


＿Ａ３
しずまるやしき　しんしんと
きづかれぬように　しのびこむ
とりかごのなか　はばたけぬ
ちいさなあなたを　つれだそう


＿Ｂ３
しかしてかけだした　ふたりはおさなすぎた
にぎったてぬくもりだけが　たしかであった


＿サビ
かみのまにまに　ふたりはふたり
そむきをもさが　まにまに
ひとのはかなさ　うたわれるだけ
すべてかみのまにまに


＿サビ
こいはまにまに　あなたとわたし
めぐりめぐって　あいした
あかつきまでの　おろかたわむれ
つきのみち　おちゆく