リンは棚から一冊のアルバムを手に取った。
表紙を開けて、ペラリとページをめくる。
一ページに写真が2枚、縦に並んでいる。

写真に写っているのはリン。
とリンに似てるようで似てない小さな少年だった。

「レン……」

写真の頃の自分より、小さいレンをそっとなぞった。








今、君へ送る -1-




リンが五歳の時、レンが生まれた。
その時、甘えたいという感情と、大人になりたいという感情が
入り混じったリンの心は、複雑だった。

甘えたい。から、行動に移そうとすると、父親に止められた。

「リンはもうお姉ちゃんなんだから、ママを譲ってあげようね」

それからリンは、母親がおいでといっても、行かなかった。
「わたしは、おねえちゃんだから、ママのところにはいかない。」
リンの精一杯だった。

『わたしはおねえちゃんだから、レンにママをゆずってあげる。
そうすればきっとママもパパもよろこぶとおもうの。』

だから、精一杯頑張ったのだ。

大好きな絵が、上手くいったとき。

誰よりも一番母親に見せたくても我慢した。

歌がうまくなったから、聞いてほしかった。
でも、我慢した。

お菓子が好きだった。
だが、小さいレンを相手している母親と買い物に行くと、
「自分で好きなお菓子、選んできて」といわれ、
二人で選ぶことはなくなってしまった。

さみしい さみしい さみしい

我慢は大切だとリンも分かっている。
これでも子供の中では、自分は【考えが大人】なのだ。

母親がお願いしたら、それを頑張る。
レンの面倒を見てる。
お留守番もする。
リンは頑張っていた。

保育園と家までの距離は、ほんの100Mほどだった。
だからリンは、レンが生まれてから歩いて行くようになった。

でも、保育園に行くと、いるのだ。
一人っ子の子が。
リンは心底うらやましくて、どうにかなりそうだった。

『わたしはっ がんばってるのにっ!
ママはレンのことばかり!
きっとわたしのこと、キライなんだ!』

そう思うと泣き出しそうになる。
でもこれも我慢しなければならない。
リンは唇を強く噛んで、家よりも保育園に近いおばあちゃんの家に向かった。




1end...

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

今、君に送る

リアルに自分が経験した話。「柚子の木の下で」の歌のお話になります。
リンとレンは姉弟ですが、双子ではありません。リンはレンとと5歳離れてます。後々少し、悲しい話になります。というか、これを書いてる時点で、自分はもう泣いてました。

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閲覧数:272

投稿日:2010/06/02 22:17:35

文字数:932文字

カテゴリ:小説

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