!!!Attention!!!
この度、ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、コラボ(二人)で書くことになりました。
自分が書く「青犬編」とつんばるさんの書く「紅猫編」に分かれております。
原作者様には全く関係なく、そして勝手な解釈もいいところで、捏造だろうと思われる部分もあると思います。
そういった解釈が苦手な方はブラウザバック推奨。
なお、カイメイ要素を含みますので、その点にもご注意ください。

大丈夫だよ!寧ろバッチ来い!の方はスクロールで本編へどうぞ。








【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#16】





 名乗ったきり、俺もめいこも互いに口を閉じてしまって、次の言葉が出てこなかった。だからと言ってこのままずっとこうしているわけにもいかず、俺は視線をさまよわせた末・・・ふと、部屋に案内されてからその存在をすっかり忘れていた、足元にちょこんと座っているしぐれを目にとめた。
 そうだ、確かしぐれはめいこのところに連れてこられたはずだ。今思えば、しぐれの目の前で女中さんがしゃがみ込んでじっとその姿を見たのも、その時に見て知っていたのだと思えば不思議なことではない。
 ・・・とか、のんびり考えている場合じゃないんだよ!
 俺は自分の考えていることに対して心の中で叫び、めいこに再び視線を向けた。
(う・・・)
 目が合っただけで、緊張しすぎの心臓は早鐘を鳴らし続けていて、開こうとする口は小刻みに震えて声を出すに至らない。これは、思っていたより更に重症だ。
 共通の話題なら幸い事欠かないはずなのだが、まず何から話せばいいんだろう。
 手紙読んだよ、というのは絶対に言えない。どちらが本当の内容かはよくわかっているつもりだが、もしそれでめいこが苦しむとしたら・・・俺には言えない。昔の約束のこともそうだ。それから、昔一緒に遊んだことも最初は避けた方がいい。
 それなら・・・やっぱり一番近い共通の話題がいい。
 れんくんとりんちゃんに出会ったという話だし、それを言っても・・・いや、やはりここはしぐれのことにしよう。ここにいることだし。
 えぇと、最初は・・・しぐれの世話してくれてありがとう・・・よし、これだ。
 俺は頭の中で一度その言葉を言ってみてから口を開いた・・・のだが、それよりも先にるかさんが立ち上がる。
「わたくし、お手洗いに行ってきますわ」
「え、ちょ、るかさ・・・・・・!」
 自分の声に恐いぐらい重なっためいこの声に、思わず視線が重なる。めいこの目が見開かれて、恥ずかしそうに逸らされるのを・・・自分も目を逸らしながら確認した。
 るかさんに視線を向けると、何やら驚いたような表情の後、綺麗な笑顔を浮かべて「まぁ、仲がよろしいこと」と言ってのける。
 何だかるかさんのことを誤解していたみたいだ。もう少し真面目な人かと思っていたが、どうも悪戯好きな面も垣間見える気がする。
 るかさんは「妬けてしまいますわね」なんて言いながら、俺たちが引き止めるのも構わずに扉の向こうへ消えていった。その後ろを、さも当然のようにしぐれがついて出て行ってしまうのが見える。
「え」
 思わず声が漏れた時には、扉が完全に閉まった後だった。めいこは俺が思わず上げた声は耳に入らなかったようで、呆然と扉の方を見つめている。
 ・・・一体どうしろって言うんだろう。
 しぐれがいなくなってしまった今、もう何も言えなくなってしまった。とりあえずるかさんが座っていた椅子に半ば放心状態のまま座り、また辛い沈黙が襲ってくるのを感じながら頭の中でああでもないこうでもないと話題を探す。
 ああもう、最初の言葉さえ男らしく出してしまえば後は何とでもなる!
 俺はほとんど投げやりな気持ちになりながら口を開いた。
「あの」
 驚いたことに、またもや綺麗に混ざる声。
 ・・・一体どうしろと・・・!
 またもや焦りながら視線を逸らして俯く。おそらく、彼女もそうだろう。
「お、お先にどうぞ」
 どうにかこうにか搾り出されたその言葉に、俺はびくりと体を震わせる。今更何も言うことがなかったのに声をかけただなんて・・・言えるわけがない。
「い、いや、俺は・・・・・・」
 再び襲ってくる沈黙。冷や汗が流れてきそうなほど緊張している。はっきり言って緊張しすぎだというのは自分でもわかっているのだが・・・。
 よし、やっぱり男らしく俺から何か言うべきだ。もう一度腹を括り、目の前にある机に手をついて身を乗り出す。
「あ、あああの!」
「は、はい?」
 驚いた目が瞬くのも忘れたように開かれていた。興奮状態にある今の俺には、自分の口が上手く回ってないことすら気にならない。
「め、めいこって呼んでも・・・い、いいかなっ・・・?」
 手紙の中や心の中ではいつも呼んでいた名前。昔から「めーちゃん」と呼んでいたが、「めいこ」と呼ぶのは初めてだ。本人を目の前に「めいこ」と声に出すと、血が突然流れやすくなったように体が熱くなる。ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、と心音も強く、さっきよりもはやい。
 めいこの目が丸く見開かれるのを見ると、急に恥ずかしさがやってきて顔が熱くなった。
 こういう時は謝るべきなんだろうか・・・いや、もう一押しして無理なら諦めよう。
「・・・・・・だめ、かな?」
 一向に返事をする様子のないめいこに不安ながら問いかけると、めいこは声をかけられてようやく気付いたように慌てて口を開いた。
「そ、そんなことない! わ、私も」
 声にも慌てたような色が濃く出ているのがわかる。そこで一度躊躇うように口を結んだめいこが、一体何を言おうとしているのかわからずに小さく首を傾げた。
 めいこが一瞬顔を俯かせて、ゆっくり下から俺を見つめる。その上目遣いに、眩暈がしそうだった。
「かいと、って、呼んでも、いい?」
 躊躇いがちに上乗せされたその言葉に、俺の心臓が体から飛び出しそうなほどに鳴り響く。
 ちょっとはやすぎる。このままめいこの傍にいると、心臓が一生分鼓動を打ってしまいそうだ。
 俺は言葉も選べずに数回頷くだけで応える。
 何だか二人して緊張しているのがおかしくて、目が合ったらどちらともなく笑い始めていた。それは、自分の中に昔の幸せだった日々を思い出させ、懐かしい気持ちにしてくれる。
 どうしても言いたいことが二つあるのに、俺はそのどちらも言えなかった。遅くなってごめんも・・・まだめいこのことが好きだということも・・・俺は、言えなかった。もし言ってしまったら、今は目の前で笑っているめいこのその表情が、曇ってしまうような気がして。
「めいこ」
 俺が名前を呼ぶと、くすくすと微笑む彼女。その姿が昔のその姿に重なる。愛しい・・・初めて愛しいと思ったあの頃のめいこに。
「何?・・・かいと」
 俺もその言葉に微笑む。
 緊張と、この小さな幸せを崩したくないというその気持ちも手伝って、笑い合うだけで暫くはほとんど何も喋らなかった。
 このまま時間が止まってしまえばいいと思うのと同時に、どこかでもっとと望む自分がいる。相容れない気持ちがぶつかり合って、俺の中で蠢いているようだ。気持ちをどうにか押さえ込んで、とりあえず今はこの瞬間を楽しむことに決める。
 そうしないとおかしくなってしまいそうな気がした。彼女の本心を・・・尋ねてしまいそうで。何故だろう、彼女にそれを尋ねたかったはずなのに、俺は今、言わない方が良いんじゃないかと思っている。きっと、そんな俺は卑怯者なのだろう。
 考えが頭の中で渦巻いてしまって、胸がいっぱいになる。そのせいだろうか、手紙のことまで思い出した。俺の元に届いた二通の手紙。
 そのままそんなことを考えているわけにもいかず、俺は少し俯いて目を閉じてから元通りの笑顔を浮かべた。
 せめて、めいこの前では笑っていたいと・・・そう心から思った。




ライセンス

  • 非営利目的に限ります

【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#16】

何だかとっても恥ずかしいカイメイのターン!
めーちゃん可愛いよ、めーちゃん。
それにしても・・・かいとくんテンパりすぎだよ(笑
いちゃいちゃ成分が足りなかった故にこうなった様子です。
読み直しても体中かゆくなりました。
何この恥ずかしい人たちー!照れる。

さてさて、紅猫編も何やら恥ずかしいことになっているのでそちらも是非ご覧ください!

+++

「紅猫編」を書いているコラボ主犯
つんばるさんのページはこちら → http://piapro.jp/thmbal

閲覧数:380

投稿日:2009/10/03 11:26:07

文字数:3,262文字

カテゴリ:小説

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    >>sunny_m様
    はじめまして、sunny_m様!
    野良犬疾走日和の二次小説を投稿されたことは知っていました。といいますか・・・正直に言います。
    #13の投コメに書いた素敵なお話というのはsunny_m様の投稿された野良犬です。
    つんばるさんと打ち合わせメールしながら「野良犬投稿されてるぅぅ!」「大作ktkr!」的なやり取りをしておりました(何か違うけど内容は大体そんな感じでした
    つんばるさんの余波ktkr!!(黙れ
    かいとくんがああなったのは可愛くて強いめーちゃんのおかげです。
    双子もしぐれも気に入っていただけて嬉しいです。
    つんばるさんに褒められたよ!って自慢しときm(ry

    おぉぉ、何だか無駄な話ばかりしてしまいましたが、メッセージありがとうございました。
    続きも頑張ります。

    2009/10/04 10:06:35

  • sunny_m

    sunny_m

    ご意見・ご感想

    はじめまして!

    野良犬疾走日和を読ませていただきました!
    なんかもう、ここまで来るのに何度、悶えすぎて呼吸困難になってしまったか、、、!

    かいとくんが、なんだかとても格好良く、かつ愛らしい大人で素敵です!!
    双子も、可愛いし!!しぐれも賢いし!!

    私も、こっそり野良犬疾走日和の二次小説を書いていたのです。
    書いている間、絶対影響を受けてしまうから。と読むの我慢してたのです。
    本当に、やっと読めた☆な気分です。

    続きを楽しみにしています!

    2009/10/03 22:02:27

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