「カイト。・・・元気が出ない」
「マスター・・・」
夜。マスターを抱きしめていると、マスターはぽつんと呟いた。
「うーん・・・」
強く抱きしめても甘い声ではなく、思索にふける声。もっと強く抱きしめたら、マスターの体温が強調されて僕が危うく溶けそうになった。危ない。
「マスター、気にしなくていいんですよ?」
僕だけを感じて下さいとは少し恥ずかしくて、無難な言葉を僕は言う。
「・・・・・・この世ならざるモノとの板挟み・・・。そもそもあの人だったやつが早々に身を引けばよかったのに・・・。この世ならざる“彼女”に勝てるわけないし。うーん・・・」
「え・・・?」
なんだかファンタジックな単語(?)に、僕は首をひねる。
「“彼女”は、あの人だったやつを消し去ることが出来るんだけど・・・なぜそれをしないのかって、そりゃあ、どれだけ想いを募らせても最終的には“彼女”にかしづくってことを見せつけたいからか・・・。・・・次回は、多分消し去るな、あはは」
早く消し去ってほしいよ、とマスターは笑う。
「存在ごと、ですか・・・?」
僕はつくづくマスターがいて良かったなと思う。だって、マスターのおかげで自由な発想ができるからだ。
「微妙なところを聞いてくるね、カイト」
マスターは僕の腕の中で、にゃははと笑って、
「所詮は存在自体はあってもなくてもそんなに大差ないからさ。見た目とか外見とか、似せようと思えば、簡単に似せれるからね」
「へー」
「だから、存在自体は消せないっていうか、それは“彼女”も分かってるはずだから・・・記憶を全消去するだろうねー」
しゃべっている内に気が和らいだのか、ほっぺたがゆるゆるになってくるマスター。・・・やっと僕の腕の中にいるって自覚を持ったかな。
「・・・ちなみに、マスター」
僕は、抱きしめている手に力をさりげなく入れながら、僕は聞いてみる。
「・・・僕は、どうなんですか?」
「カイトは別にいいけど?? ・・・どうして、そんなこと聞くの?」
微妙な沈黙が気になるのは僕だけかな??
「だたの確認ですよ、マスター」
マスターがいつも言う本気という単語。実際に僕が本気を出したらすごいことになりそうなものだ。・・・なんて、もうマスターには少しだけ見せたけど。
「そっか」
僕のそんな思いに気づか(ないふりをしたのか?)ずに、マスターはにっこり笑って頷く。
「・・・マスター、あと1つだけ聞いていいですか」
「あはは、カイトの声が低くて本気だー」
「・・・」
別に呆れたとかそういうわけじゃなくて、ただただ純粋に可愛いと思ってしまったからだ。・・・勘違いするなよ?
「“彼女”って、誰なんですか?」
「恩人」
「・・・?」
いまいちピンと来ない。
「ものすごーく綺麗でね、優しくてね、大事にしてくれる女の子でね、私が絶対に裏切ろうとしない人だよ!!!」
「へぇー・・・?」
「“彼女”だったら跪けるな。・・・あ、でも、“彼女”だったらそんなことしないでいいわよとか言いそうだなー♪」
「・・・そうですか・・・?」
会ったことはないので、つい首を傾げてしまう。まぁ、でも、マスターが元気になったので良かったと思うことにした。
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さあ
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IMO
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衣泉
勘違いばかりしていたそんなのまぁなんでもいいや
今時の曲は好きじゃない今どきのことはわからない
若者ってひとくくりは好きじゃない
自分はみんなみたいにならないそんな意地だけ張って辿り着いた先は1人ただここにいた。
後ろにはなにもない。前ならえの先に
僕らなにができるんだい
教えてくれよ
誰も助けてく...境地
鈴宮ももこ
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