終わったはずのそれに手を掛けた。
過去の残骸(わたし)は脆くてちゃちで
握り潰す。
鉄の匂い(甘い汁)と甘い雫。
望んだ筈のお話はもう先を書けなくなって。
黒く塗りつぶされた呪い。

蛇のように唆すの。
あの赤い実は美味しいから食べておしまいなさい。
楽しい快楽(けらく)に耽(ふけ)れば私は。
『セカイイチフコウナオヒメサマ』
ワインのグラス傾けて妖艶に笑う。

ワインのグラスに注いだ緋の涙。
片手に嗤うの。魔女だもの。
オヒメサマは潰れたの。
抉った傷は刻んだ体の残骸(わたし)。

頗る(すこぶる)残念でしたと私は笑う。
私の大事な『オヒメサマ』
潰したあの人は許さない。

蛇のように嘲笑うわ。
お前を許すことはできない。
さぁこの呪縛解いてみなさい。

病色に染まった私は
『オヒメサマ』じゃなくて。
闇色に、染まった私は。
『魔女だもの。』

荒唐無稽な表裏一体。
あなたのお傍にいられないわ。
この手で抱きとめるから
ゴチソウサマと嗤うの。

黒い姫は嘲笑う。
記憶を食べて生きている。
見抜かなかったその罪も。
見抜けなかった拘束も。
もうそんなの知ったこっちゃないわ。
この体は私のものですもの。


楽しげに歌いながら彼女は奪う。
『オヒメサマノキオクヲ』
蛇のように嘲笑う彼女はパクリと食べた。

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魔女姫フロイレン

小さな魔女でお姫様の歌。
蛇の唆しは彼女を魔女に仕立て上げるにはちょうど良かったようです。

閲覧数:102

投稿日:2015/03/19 01:14:39

文字数:559文字

カテゴリ:歌詞

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