読み方と解釈と世界観


<<在りし記憶(ひ)の出来事 憶えてはいるか?>>
<<在りし捧腹(ひ)の願望   忘れてはないか?>>

如何(どう)か授けよ 快楽と美貌を
(訊こうか其の願いと欲望)
為らば与えよ 名声と巨万を
(限り無きは愚かな欲望)

――さぁ破滅を踊れ――

天つ雲居(あまつくもい)よ届けておくれと 祈誓(きせい)せん
(気付かぬ下等な人間よ、神と悪魔も判らぬのか)
悪業(あくごう)祓い 我が身を蝕む邪智(じゃち)滅せ
(気付かぬ卑劣な人間よ、己(おの)が願いも忘れたのか)

【在りし記憶(ひ)の出来事 沈めてしまえと】
【在りし捧腹(ひ)の願望 蓋してしまえと】

(逃しはしない 絶望と絶快を)
奉読(ほうどく)せし詠(うた)と舞を舞う
(逃しはしない 生命尽きるまで)
限りなきは自分(おのれ)の欲望

――さぁ破滅に狂え――

(獄裡(ごくり)捉えて 自由を奪いて 飼(こ)うてやろう)
気付かぬ愚弄(ぐろう)と悪戯(あくぎ)為り、神よ如何か我赦さん
(虚像を謂(い)うか・・・今更晩い、朽ちて往け)
代償と引き換え悦楽よ そうさ忘れてなどないさ


するり するり おちて やみにとけて
からり からり いたみ くりかえしを
ゆらり ゆらり こころ こわれていく




+++意味合い++

捧腹(ほうふく)=腹をかかえて大笑いする・こと(さま)。
天つ雲居=雲の浮かんでいる空。大空。
祈誓=神仏に祈って、心に誓いを立てること。願立て。
邪智=よこしまな知恵。悪知恵。
奉読=つつしんで読むこと。
獄裡=牢獄の内。獄中。獄内。



++解釈、世界観(物語的なもの)++

ある男は、他人が羨ましかった。
綺麗な服や、美味しい食事。幸せそうな微笑が。
自分にあるのは、己の命と、雨風が凌げる古く汚れた小屋と服。
ほんの少しの食料と水。それだけだった。
人からはさげすむような眼を向けられていたのだ。
そしてある日、小さく願ったのだ。「私に与えん」と。
すると、どこからともなく声が聞こえたのだ。美しく妖艶な低音の声。
男は其の声に願ってしまった。己の欲望を。それが罪とも知らず。

男は美しい顔と声、巨万の富や名声、美しい恋人・・・
ありとあらゆるものを手に入れた。
男は頭の片隅で、思い出した。
今手にしているものをあの「声」に。それが現実になった今、恐ろしくなる。
そして、恐れをなした男は神に祈るのだ。
手に入れる為にしてきた悪行や自分の心に宿る考えや穢れを落としてくれと。
「声」は呆れてため息をつく。自分が願ったことなのにと。
今更その黒いモノをどうにも出来るわけがないと。
契約を忘れさせはしないと。再び男の耳へと「声」を届けた。

日に日に「声」は男の精神を蝕んで行く。
“逃がさない”という恐ろしく冷たく恐ろしい「声」。
男は何度も天に祈りを捧げた。「ゆるして欲しい」と。
気付かなかった事だと。自分のした行為が。その時は知りもしなかったと。
だが「声」は逃がしはしないと低く哂った。

全ては等価であり、叶える為には代償と犠牲がいるものだ。
男は分かっていたのだ。忘れてなどいなかったのだ。忘れたかっただけ。
そうして、「声」は男の精神を破壊していった。
その魂を・・・己がモノにする為に。


+++++ ++++ ++++ +++++ ++++ ++++ +++++ ++++ ++++ +++++


歌詞の世界観と意味合いはこんな感じ。
最初から最後まで重たい話ですね、こうやってみると・・・!

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

在りし日の幻想(ふりがな+解釈)

前回の歌詞のフリガナ追加と世界観を表したものです。
神話の中の悪魔の話っぽいですかね?
言葉は日本的なものも多く使っておりますが、世界観は西洋っぽいかも。
和洋折衷的な歌詞ですね(哂)

閲覧数:234

投稿日:2008/11/16 23:29:46

文字数:1,484文字

カテゴリ:その他

クリップボードにコピーしました