今日も彼の目に地球なんて見えない。空しかない。
 いつも――彼は独りで部屋で何かを考えている。
 けれど、アラームはそれを破る。
「冷たいやつだな」と、ぽつり。

 屋上には誰もいなかった。
(どうせ、答えが解りきってしまうなら――)
 彼は、そう思って鎖を超えようとして――
 不意にマフラーが後ろに引っ張られた。
「?!」
「なにしてんのー」
 彼女だった。確か、今の時間は授業中では無かったのか。
「抜けて来ちゃったテヘペロ☆」
「ちょ……」
「ま、それはいいとして。なんでここにいるの?」
 彼女の言葉にシンタローは答えない。
 だって。彼が考えていること。
 『このまま死んだって誰かが代わりになるから』とシンタローは言いたかっただろう。
 だけど、彼女がいたからか、そんなことすらも馬鹿らしくなってしまうのだった。



「はい、じゃあ明日の授業で試験答案を返却します。大分低かったから返したらちゃんと復習しておけよー」
 注意されることもなく授業が終わる。だけど彼はそんなことなど眼中になかった。
 ――彼女がいない。
 ――彼女はどこに行った?
 いつもは、気にするはずのない存在を、彼は気にし出した。
 なぜだろう。そんな問いかけもしないまま。
 彼はいつもはいるはずの隣の席を眺めて、そしてまた空を見つめた――。





 ある日、彼女がやってきた。
 だが、それはいつもの朝などではない。放課後だ。
 彼が帰ろうとしたとき、彼女が教室にやって来たのだ。
 ひさしぶりにみる彼女は少し窶れていた。
「どうした?」
 シンタローは気付けば、そんな言葉を口に出していた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

カゲロウプロジェクト 14話【二次創作】

シンタロー過去編その2。

―この小説について―

この小説は以下の曲を原作としています。


カゲロウプロジェクト……http://www.nicovideo.jp/mylist/30497131

原作:じん(自然の敵P)様

『人造エネミー』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm13628080 
『メカクシコード』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm14595248
『カゲロウデイズ』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm15751190
『ヘッドフォンアクター』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm16429826
『想像フォレスト』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm16846374
『コノハの世界事情』:http://www.nicovideo.jp/watch/sm17397763 
『エネの電脳紀行』
『透明アンサー』
『如月アテンション』http://www.nicovideo.jp/watch/sm17930619
ほか

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閲覧数:838

投稿日:2012/05/29 21:00:46

文字数:697文字

カテゴリ:小説

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