まっさらな顔をして
ぼくの前に立つ
風は 人々の心を掻き回して
ひとつの 虹色を作った

端正な顔立ちで でも
もう ここにあるものは
見えていない顔で
そっぽを向く彼は
"さよならを言う前に"
と言った そして

"もしも きみが
ひとつ ゆるされたなら
どこに ちいさな
あかり ともす?"

くしゃくしゃに丸めた
白画用紙に描いた
クレヨンの落書きみたいな 朝に
彼は 訊ねた
花は 透明に揺れる

夜の底に 沈んでいた
かなしみを 拾い上げて 彼はぼくを見る

"彼は それをがりりと 齧るのです
中は 目を見張る黄金でした

いつの間にか ここには二人だけのようでした
彼が それをぼくに差し出します
懐かしい香りでした
私も それを齧ります

はるかむかしに爆ぜた夜空が
すっかり 萎んでしまい
ぼくの指先が すっかり 朝に浸かったころ
彼は 消えていました

朝陽に いっそう空気は冷えて
言葉があった場所は 空っぽになりました…"

…………

"もしも きみが
ひとつ ゆるされたなら
どこに ちいさな
あかり ともす?"

そう 窓辺の あざやかな檸檬に彫った
一滴の 淋しさが 乾けば
傍らに いつまでも 優しい歌

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

たずねる

閲覧数:98

投稿日:2019/06/18 10:58:52

文字数:518文字

カテゴリ:歌詞

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