タイトル未定(5)

投稿日:2019/10/17 21:16:04 | 文字数:814文字 | 閲覧数:21 | カテゴリ:小説

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ボカロ小説(童話)つづき

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「タイトル未定」

5.真夜中の果樹園

 とても落ち着いた声だった。
 その人を見た時、「少女」のようにも、「老女」のようにも、思えたのは、その声色と、髪色のせいだったのかもしれない。
 ある束は、薄い黄緑で、ある束は、濃い緑の髪。

 「私の髪をお切りなさい。」

 包丁を持った、手が震えた。びっくりして、振り向いたら、アロエの精が、いたんだ。

 「どうせ、それは、よく切れないでしょう。あなたの手を痛めるだけよ。」

 台所は、最初、蛍光灯の白で明るかったのに、私の眼が悪いせいか、いつの間にか、くすんだ色になっていた。灰色の壁のように。

 それだけではない。冷蔵庫から、いつの間にか出てきたようなもの、ニンジンとか、レタスとか、ピーマンとか、トマトとか、モモとか、ブドウとか、イチジクとか、あらゆるものが、いっぺんに、同じ樹に実っていたんだ。

 野菜や果物たちに、見守られる中、一人の少女が、泣いていた。最初、その声は、他人事のように、私の外側で響いていたので、私は自分が泣いていることも、忘れてしまったようで、ついに私から出た私が、幽霊のように、立ちつくし、泣いている私を、不思議そうに、眺めていた。そう、泣いている私の姿が、隣に見えるんだもん。幽体離脱、成功!

 でも、アロエの精にも、私にも、私の姿は見えないから、やっぱり、私は、幽霊になったんだ。

 「私でも、いいよ。」「僕は、どうかな? 食べごろだよ。」

 そんな、野菜と、果物の声まで聞こえるんだから、笑っちゃう。何で、それなのに、私は、泣いているんだろう。

 夢見るように、私の抜け殻は、言った。

 「夜、眠れないの。お薬、ください。」

 「どんなのが、いいかしら。」

 「今日あった嫌なことを、その日のうちに、忘れられるお薬。」

 「それで、ぐっすり、眠れるお薬ね。」

 私の意識は、アロエがぼやけると思ったら、なくなっていた。

 ガーリーで、キュートな作品を目指したいと思います。
よろしくお願いします。

 

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