会社の机に向かっていた、ルカさんのそばで、美里課長が言った。
「ルカさん、ちょっといっしょに来てくれる?」
「あ、はい」

課長のあとをついて言った彼女は、
会社の駐車場に止まっている、中型の自動車のバンを見た。
そう、これは“移動式の店舗”となるクルマだ。

「課長、このクルマは...」
美里課長はバンの車体に手をおいて言った。
「新しい、私たちの“お店”よ」

●“移動するお店”はじまる

美里課長と、ルカさんが勤める会社の「ギフト事業部」。
インテリア玩具や、クッキーなど、ギフトやプレゼント・アイテムを扱っている。

こんど、バン(自動車)を使って、
人形やクッキー・雑貨などを売る、移動式のお店を始めることにした。

ヨーロッパの街かどにあるような、お菓子を売るような感覚の自動車。
出没はおもに、イベントや展示会会場。
新商品の、人気のリサーチも兼ねるのだ。

「課長、この自動車...というか、お店の名前は?」
「それが、まだ決まってないの」
美里課長は言った。
「どんな名前がいいかしら?」

「どんな名前...。どんな..そうね、どんな...」
ルカさんは考えた。
「ドナドナ、なんてどうですか?」

●ドナドナ号で、夢を売ろう

「ドナドナ号?」
美里課長は思わずほほえんだ。
「何だか、どこかへ売られちゃいそうな名前ね。でも、可愛いわね」

「ほら、テトさんやデフォ子さんたちが作ってる雑貨があるでしょ。それも、この動くお店で扱えるわね」
課長は言った。
「うわあ、楽しそうですね!」
ルカさんは心がはずんだ。
「ドナ・ドナ・ドーナ・ドーナ♪ 売られていくよ♪」

ほがらかに歌うルカさんを見て、
...ほかの名前のほうが良いかな...
ちょっぴりそう感じたった美里課長だった ?c(゜.゜*)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

玩具屋カイくんの販売日誌 (32) ルカさんの、ドナドナ号

イベント会場によくいる、カフェやシシケバブのクルマの店。あれ、ちょっとやってみたいですねw

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投稿日:2009/11/22 09:48:42

文字数:760文字

カテゴリ:小説

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