「冴えない私の、冴えない恋。」ストーリー

投稿日:2016/09/20 21:37:20 | 文字数:1,637文字 | 閲覧数:351 | カテゴリ:小説

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なんとなく詞の世界を広めてみましたw雨のち雨さんの描くストーリーもあるようなのであくまで作詞者サイドが描いたストーリーです。

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TEXT
 

自己評価「中の下」
目立つ人達のグループには入れず、
いわゆるイジメ対象や弄られ役にも属さない。

雨月 しずく (16歳)

一言でいうならば

「冴えない」


高校2年の夏といえば受験生には大事な時期、
それは私みたいなヤツにとっても
例外ではなかった。
冷房の切れた蒸し暑い放課後の教室、
苦手な数学の復習をしていたら気づけば
私しか残っていなかった。
汗ばんだ首筋に長すぎる髪が貼り付いて
気持ち悪い。
早く帰ろうと顔を上げたときに
不意に左二つ前の席の机に目がいった。

五十嵐 修 (17歳)

私評価「上の中」
サッカー部所属でスポーツは万能
目立つグループには入っていないが、
明るく人懐っこい性格で
誰とでも仲良くなれる。
イジメられっ子や弄られ役の子たちとも
普通に接することのできる「できた人」
私とは住んでいる世界が違う。
そんな風に思わせる男子だった。


あの日までは


今日のように蒸し暑い放課後、
私は筆箱を忘れて教室まで
とりに戻ろうとしていた。
別になくても構わないのだけど、
なぜかとりに戻らなくちゃと思ってしまった。
教室の前まできて足が止まった、
誰かいる。
できれば誰とも話したくなかった私は
そのまま教室を素通りしようとした。
中にいたのは
五十嵐 修だった。
誰もいない教室で一人うなだれ
泣いていた。
その光景がなぜか美しく見えて
私はその場に立ち尽くしていた。
実際はほんの数秒だったのだろうけど
私はその姿を何時間も眺めていたような
気がした。

なぜ?

あの誰とでもうまくいっていて、
悩み事とは無縁そうな「上の中」の
あの五十嵐がなぜ放課後の誰もいない教室で
一人で泣いていたのか?
わかるはずもなかった。
私は五十嵐の何も知らない、
知っていることといえば襟足の髪が
癖ではねることくらいだ。
もっと知りたい。
ただ漠然とあまりにも自然に
そう思った。
もしも私が男の子だったのならば
あの眩しい空間に足を踏み入れることが
できたのだろうか。


荷物をまとめて立ち上がる。
五十嵐の席の横で立ち止まり
そっと左手の甲で机に触れてみた。
いつも彼が右腕を置いているあたり
そんなことを思い出しながら。
胸が痛くなる…。
廊下から女子の話し声が聞こえて
私は急いで教室を後にした。
こんなところを人に見られてはいけない、
「中の下」ごときの私が彼のことを
想っているなんて人に知れたら
彼に迷惑をかけてしまうから。
これでいいんだ、私はこのままでいいんだ。
言い聞かせるように何度も繰り返して
階段を駆け降りていった。


授業中、隣の席の娘

相沢 香苗 (17歳)

私評価「中の上」
目立つグループ所属
クラスのアイドル的存在。
と、笑顔で話しているのをななめ後ろから
眺めていた。
少なくともあれぐらいじゃないと
彼とは釣り合わない。
私があの娘みたいだったら、
私があの娘だったら…。
叶わない夢を見る。
考えているうちに
教科書は次のページに進んでいた。


あれはいつだったろう?
誰にでも優しい彼はこんな私にも
笑顔で語りかけてくれた。
そのときのことは何も覚えていない、
唯一私に対して言ってくれた
他愛のない話を私は覚えていない。
なんて私はバカなんだろうと本気で思った。
でも、もう、いいんだ。

きっといつか私にも丁度いいくらいの
彼氏ができて、
いつか丁度いいくらいの人と
結婚して、子供が産まれて、
家庭を築いて、そして思い出すんだ。
冴えない私がした冴えない恋
そんな冴えない思い出を。
だから今は
これでいいんだ、私はこのままでいいんだ。


大幅に下がってしまった成績を
取り戻すために放課後の教室で
数学の教科書を開いている私。

「お、なんだ雨月。まだ残ってたのか?」

まだ蒸し暑い教室
窓の外には蝉と野球部の声。
私の髪は首筋に張り付き、
彼の襟足ははねていた。

作曲者様・絵師様・動画師様、少しでも気になったら気軽にメッセージください。歌詞使用の際は事前に一言確認してくださると助かりますm(__)m
楽曲募集タグのない作品は自分でDTM練習に使っているか既に作曲者様がきまってる可能性がありますので。

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