!!!Attention!!!
この度、ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、コラボ(二人)で書くことになりました。
自分が書く「青犬編」とつんばるさんの書く「紅猫編」に分かれております。
原作者様には全く関係なく、そして勝手な解釈もいいところで、捏造だろうと思われる部分もあると思います。
そういった解釈が苦手な方はブラウザバック推奨。
なお、カイメイ要素を含みますので、その点にもご注意ください。

大丈夫だよ!寧ろバッチ来い!の方はスクロールで本編へどうぞ。








【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#01】





 両目ひらく朝靄と、辺り響く太陽の音。ただ駈けろと囁く時は、野良犬の足と土埃。

 まだ誰もが寝静まっているだろう夜も明けきらぬ時間に、俺はぱちりと目を覚ました。そのまま目を数回瞬いて、覚醒したばかりの頭の働き具合を確認しながらゆっくりと体を起こす。
 何か、夢を見ていた。そしてそれは、とても幸せな夢だった気がする・・・おそらく、彼女と一緒に笑っていられた昔の夢だったんだろう。おかげで寝覚めも良い。別段いつもと変わらない忙しい一日がこれから始まろうとしているのだが、その始まりの何て清々しいことだろうか。これから休む間もほとんどない働き詰めの一日が始まるというのに。
 全てが洗われたかのように清々しい気分になれる朝は好きだ・・・・・・少なくとも、あの頃はそう思っていた。今は、胸を張ってそうだとは言えない。
 あの頃は、彼女とまた新しい気持ちで会うことができる一日の始まりが好きだった。今では、彼女に会いに行くと決意してから少しも進めずにこの場所で目を覚ました自分に、暗鬱な気分で起きることも多くなってしまった・・・それは少し残念なことだ。
 眠っている時はまだいい。夢を見ているうちは小さい頃のままで彼女とずっと笑っていられるから。だが、起きた途端に夢は終わって全てが溶けてなくなってしまう。まるで、彼女と出会って過ごした時間すら幻であったかのように。
 立ち上がり、ボロボロの障子に手を伸ばした。暗鬱な俺の気持ちを映し出しているかのように、開いた障子の向こうには朝靄が立ち込めている。まだ暗い小路には街灯が灯ったままだ。
 いつまでも呆然とその様子を見つめているわけにはいかず、障子を閉め、手早く着替え、布団を畳んでいそいそと押入れにしまい込む。頭上でカリカリと小さな物音が聞こえたから、おそらく屋根裏に住んでいる鼠が物音に驚いて駆けていったんだろう。
 そろそろ退治するべきなのだろうか。そんなことを考えながら天井に向けていた視線を元に戻す。
 作り置きした握り飯を口に運ぶ前に、涼しい外の風でも浴びようかと思って欠伸を噛み殺しながら縁側に足を運ぶと、後ろから軽快な足音が聞こえてきて何かが突然俺の足にぶつかった・・・否、体当たりしてきた。
 そこにいるだろうものを予測しながら足元に視線を落として振り返る。案の定、それは俺の後ろで尻尾を振って行儀良くお座りしていた。その愛嬌のある顔といったら・・・思わず微笑んでしまうぐらいだ。鼻に引っかかっている鞄の紐もまた、そう見せるのに一役かっているのかもしれない。
「おはよう」
 俺の声に応えるように元気よく一鳴きしたのは、つい先日仕事中に見つけた犬だ。少し相手をしてやったら懐いて家までついてきてしまったのだが・・・一人暮らしだし、寂しくないわけでもなかったから家に上がり込んできても良しとしている。
 幸い、足は汚れていないようで、足跡はついていなかった。賢い犬のようだから、玄関に置いたままにしている布キレ――すぐに汚れてしまう履物をはらうために置いているんだが――で足を拭いてきたのかもしれない。
 俺は犬の鼻に引っかかったままの鞄の紐を手に取り、その少しごわついて見える毛を撫でてやった。見た目よりはふわふわとしていて質量のある毛は、俺の手を少し沈ませる。大人しく、撫でられるがままになっている犬は、とても気持ち良さそうに目を細めていた。
 耳が物音にぴくぴくと動き、尻尾は嬉しい気持ちの表れなのか、畳をこすりながら右へ左へと揺れる。そんな姿を見ていたら、疲れが少し取れるような気がした。
「ありがとう、持って来てくれて」
 そう言って手を離し、昨夜作り置きしていた握り飯を手に取り頬張った。一口二口と順調に口に入れ、その残りはお礼も兼ねて犬に差し出してやる。すぐにかぶりつくかと思ったが、犬は俺の顔と食べかけの握り飯を見比べた。
 いつものことだというのに、この犬は毎日同じように遠慮する・・・犬にまで遠慮されるとは、一体俺はどれだけ貧乏に見えるんだろうか。
 何だか惨めな気分だったが、それを払拭するようにぐいっと手を差し出す。もう一度だけちらっと俺を見た犬は、それで俺の気持ちを悟ったらしく、嬉しそうに尻尾を振りながら握り飯にかぶり付いた。結局ぺろりと平らげていつも嬉しそうに一鳴きするというのに・・・妙なところで遠慮するやつだ。
 どこで飼われていたかは知らないが、本当に賢い犬だ。
 俺は自分の手についた米粒を口に入れ、一度手を洗ってから鞄を肩に提げる。そして、それほど寝相は悪くないのに、妙な癖がついてしまっているだろう髪を撫でつけて直し、玄関へと向かった。
 後ろから小さな足音を立ててついてくる犬に気付いて振り返ると、一心不乱に俺の足を追いかけているようだった。可愛い犬だ。まだ数日しか経っていないが、もう俺の家族になりつつある。
 ふっと笑みを浮かべて、昨夜慌てて脱ぎ捨てたせいで揃っていない履物を拾い、一度揃えてから履こう・・・かと思ったところで、俺は机の上に置いたままだった手紙のことを思い出した。
 慌てて部屋に戻り、机の前でしゃがみ込む。その机の上には二通の手紙。
 手触りも色も全く違う。その違いが俺たちの今の差なのだが、それを完全に埋めるまでは至らなくても、俺と彼女の距離なら埋められると思っている。生活するのにも精一杯で、まだまだ時間はかかるけど・・・それでも諦めたくない。
 彼女からの手紙を、今まで送られてきた手紙と同じように引き出しにしまい込む。その山を見つめながら「待ってて・・・俺、必ずそっちに行くから」と小さく呟いて引き出しを元に戻し、自分が書いた手紙を持って立ち上がった。
 せっかく書いたのに忘れたなんて知られたら怒られそうだ。気の強かった彼女が怒るところを想像すると、自然と笑みが零れる。
 玄関に向かおうかと思って方向転換すると、痺れを切らしたように玄関の方から犬の一声。近所迷惑だなと思いながら、これ以上鳴かれないように慌てて身を翻してそっちへ向かった。お座りして俺を出迎えた犬は、近所迷惑だとは思っていない様子で先に外へと出て行く。
 鍵をしっかりと閉めて、指を折りながら他のところはきちんと戸締りしたかどうかを確認。全て確認し終えて、俺はようやく今にも走り出さんとしている犬に視線を向けた。
「さて・・・今日も一緒に行きますか」
 息と共に吐き出した言葉を合図に、俺たちは競争するように走り出す。風を切って土埃を上げながら。

 待ってて、めーちゃん。今はまだ手紙だけど、俺は必ず君を迎えに行く。




ライセンス

  • 非営利目的に限ります

【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#01】

しかしこのかいと、めーちゃんにぞっこんである(笑
つんばるさんとこのめーちゃんはそりゃ可愛いでしょうよ。
・・・・・・最後の一文、「序」とほとんどいssy(ry
しかしあれです・・・犬の可愛さを表現しきれません・・・!犬飼ってるのに何故なのか・・・。
打ち合わせしていると、どこが自分の考えた部分かわからなくなります。
寧ろ全部つんばるさんが考えたところでおk。
・・・とか言ったら怒られそうなので黙っておきます(遅
この期に及んでまだこんなこと言ってる自分・・・いい加減に腹括れ!

あ、肝心なことを忘れそうに・・・
めーちゃん視点の紅猫編もどうぞよろしくお願いします~。

+++

「紅猫編」を書いているお茶目なコラボ主犯(笑)
つんばるさんのページはこちら → http://piapro.jp/thmbal

閲覧数:592

投稿日:2009/09/01 21:25:28

文字数:2,999文字

カテゴリ:小説

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