怖いもの見たさとか、臭いもの嗅ぎたさという言葉がある。

ようするに、ダメと言われるとやってみたくなる人間の天邪鬼な性質を表す言葉だ。

だから、ただこれが食べてみたいからってだけの理由ではるばる6月に北欧のスウェーデンまでやってきた君の行動は、ある意味すごく人間らしいとも言えるかもしれない。

……だけどさ、好奇心は猫を殺すってことわざもあるわけだから、やっぱやめとかない?

だってさ、世界一臭いっていう缶詰めだよ? 臭気指数が焼いたクサヤの6倍以上なんだよ? 缶がぱんぱんに膨れちゃって開けた瞬間に中身が吹き出すって代物だよ? 屋内での開封が禁止されてる上、レインコート着用での開封が推奨されるというおぞましい物だよ?


……まあ、百歩譲って君が食べたいのは止めないさ。

でも、なんで俺がレインコート着て、このシュールストレミング缶と缶切り持たされてるわけ?

あと、なんで君はそんなに遠くに離れてるのかな?


Fin.

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シュールストレミング

読み切りオリジナルショートストーリー第2話

シュールストレミング、最初に食べた人間は勇者です。

閲覧数:109

投稿日:2014/07/12 21:50:56

文字数:431文字

カテゴリ:小説

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