【小説】サーチライト 9

投稿日:2010/01/17 16:43:16 | 文字数:2,103文字 | 閲覧数:79 | カテゴリ:小説

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珍しく、一日に二話アップ。あと三話で終了。そろそろレン来い!

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「うっわぁ、すごーい」

 リンは素直に感心した。
 感心すべきところではないのかもしれないが、あまりの金額に、そうとしか言えなかった。ミクの首にかけられた額。首、とはいっても、条件は生け捕り。よくも悪くもこの美貌なのだ。元ご主人様は、相当執着しているらしい。

「すごいって、リン……」

 呆れた様子でミクが言う。自分がそれだけ執着されているのが、本気で嫌らしい。当然だけれど。

「それで、レンはどうだった?」

 夜の闇に包まれた森の中。木々の間からもれる月光に、リンの金髪と白い肌だけが、どうしても目立つ。どこかで見たような光景だな、とミクは思う。

「一応、それっぽい存在は確認されてる。三十年前に失敗した革命、二十六年前の大虐殺、十八年前につぶされた集落、その他もろもろあちこちで目撃情報。成長速度は人間の四分の一から五分の一。常に「魔族」の核として動いているけれど、直接なんらかの能力を使っているところは目撃されていないらしい」

 外見は女性的で、年齢もかなり低いため、性別は不明扱い。年齢は推定で六十歳以上。
 失敗した革命など、必ずしも「魔族」に良い結果をもたらしているわけではないけれど、年齢からして自分の意志で動いているわけではないだろうという見解。
 外見的特徴は、少し長めの金髪と白い肌、中性的な外見、迫害を受ける「魔族」にしては珍しく洗練されたたち振る舞い。

「それから、これはちょっと、言うべきか迷ったんだけど」

 ルカは、言いにくそうにミクを見る。

「この隣の街のそばにある集落が、人間に見つかったらしい。明後日に役人が派遣されるって」

 ミクは眼を見開く。その身体が、ゆっくりと震えだした。

「それを、その集落の人は……」

「知らないだろうな」

 ミクは立ち上がり、ふらふらと歩きだす。その危うい足元を見て、慌ててリンは彼女を抱きしめ、止める。

「はなして。行かなきゃ」

 リンは助けを求めるようにルカを見る。魔女狩りの恐怖を知っているミクが、集落を救いたいと思うのは当然のこと。しかし、その恐怖を知っているがゆえに、今のミクは危険すぎる。

「私も、集落にそのことを伝えなければ、と思った。でも、明後日となると、いくら急いでも間に合うかどうか……」

「だから見捨てろっていうの!?」

「そんなこと言っていない。彼らを逃がしてやることは無理だと言ったんだ。つまり、行くなら戦うしかない。それとも、」

 ルカはまっすぐにミクを見つめる。

「歌って守ってみるか?」

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 その集落に辿りついたのは、翌日の夜深く。長老に、人間が向かってきていること、逃げるのは間に合わないことを伝える。
 それでも幼い子供たちを何とか集落から遠ざける。説明する時間はなかったため、リンのことは「魔族」だと紹介した。

 それから数時間後、集落の東側が、一気に燃え上がった。

「全員を逃がしてあげることは出来ないんですか?」

 リンは、すがるような目をルカに向ける。ルカは首を振る。

「逃げれば追われるだけだ。逃げ込む先も、彼らは知らない。私も、自分の集落を教える気はない。……役人を案内させるようなものだから」

 そんな、と悲鳴にも似た声をあげたリンの頭を、ルカはぽんぽんと優しく叩く。

「役人といっても、武装した軍人たちだ。私たちのことを、生き物だと思ってもいないような。犠牲を払わずには、子供たちを逃がすことも出来ない」

 ルカの優しい視線に、リンは首を振る。そんな悲しいこと言わないで、と。

「ミクに伝えた時点で、私は覚悟を決めている。ここで奇跡を起こせないなら、レンにすがることも許されないだろうし」

 リンは、ミクを見上げた。物見台に上がって、震える身体でしっかりと立っている。強くて弱い人。出逢って数日とは、思えなかった。記憶があるのはたった一年、その中で、彼女ほど長い時間を過ごした人はいない。

「……お前も逃げろ」

 ルカはそう言って、リンの背を押す。リンはよろけて二歩進み、そして振り返る。ルカとミク、集落の人々、燃え盛る炎が目に入る。
 ――あたしだけ、逃げて、生き残って、そして。
 そんなの。

「嫌だ……」

 口からもれた言葉。駄々をこねる子供のように、何度も繰り返す。

「嫌ですそんなの! あたしだけなんて、そんなの嫌です! あたしは、もう、そんなの……っ!」

 一体、いつだっただろう。封じ込めた記憶。皆いなくなって、灰の世界で、それでも自分だけが生きていた。

 身体が震えて、立っていられない。座りこんだリンを、驚いたルカが支える。
 リンはミクを見上げた。震えながらもそこに立ち、ミクは透き通る声で歌い始めた。水のような音色が広がり、集落をのみこもうとしていた炎すら包み込み、抱きしめる。

 ――あぁ、なんて、あの子は強いんだろう。
 あたしもあの子くらい強かったのなら、きっと今頃。
 リンは自分の身体を抱きしめた。

「……分かっちゃった、かも」

 リンの呟きに、ルカは首を傾げた。

とりあえずいろんなことに手を出しまくってる鏡音廃です。巡音も買ったようです。

マイリス→http://www.nicovideo.jp/mylist/18736642

オリジナル曲の二次創作・派生作品等は、ボカロやPIAPROの規約の範囲内でご自由にどうぞー。

小説の更新が滞ってますが、プロットはちゃんと出来てますよ><

http://hozue.blog-fps.com/

http://sns.cv02.net/?m=pc&a=page_f_home&target_c_member_id=2229
http://v-nyappon.net/?m=pc&a=page_f_home&target_c_member_id=12234

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2010/2/17 追記
HNを秋穂(あきほ)から穂末(ほずえ)に変更しました!

2010/7/18 追記
ニコ公開三曲目となる「水鏡プリテンス」で、P名を頂いてしまいました(ありがとうございますっ)。

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一応、お仕事やコラボのことに関して書いておきますね。以下の文章は、状況によってコロコロ変わります。

現在、曲・絵の新規依頼は受け付けておりません。交流のある方(複数回のメッセージ交換が目安)からの依頼ならば検討しますのでご一報お願いします。
作詞ならば依頼を受け付けられますが、依頼理由はきちんとお書きください。

一つの作品を仕上げるまで根気強く手伝ってくださる(ここ重要)絵師さん、動画師さんは常に募集しています。
また、作品ごとにイラスト募集を(突発的・〆切あり)することがあります。

コラボはお互いに本気じゃないと自然消滅するだけですので、やるなら本気でやりましょう。一報したうえでの延期・降板は受け付けますので。

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