初恋は、鏡の中の自分。
 鏡の奥に映っていたのは、私じゃなくて、私によく似た少年。
 好きで、好きでどうしようもなかったけれど、告白は出来ない。
 だって彼は自分自身。どうあがいたって、こちら側には来てくれない。
 だから、私は、彼を諦めた。
 徐々に、彼を記憶から消した。

 次に好きになったのは、知り合いの青い人。
 私よりもずっと年上で、でも、likeじゃなくてloveだった。
 でも、その人には好きな人がいた。その人と歳も近くて、子供じゃない女性。悲しかったけれど、どうしようもないと理解していた。

 次に好きになったのは、緑の少女。
 姉のような人で、同じ女。友達に……そして、親友になりたいと思った。
 でも、その人には好きな人がいた。勿論友達の意だったと思う。でも、凄く仲がいいんだとすぐにわかった。
 それは薄桃色の髪の、美人な人。
 
 それから、いくつか好きな人は出来たけれど、私を一番に思ってくれる人は現れなかった。
 それはとても悲しくて、自分の事が大嫌いになった。
 皆に愛して欲しいわけじゃない。好きになった人に好きになって欲しい。でも、それは叶わなくて。
 どうしてなのか、わからなかった。
 誰でもいいから、愛して欲しい。そう、願った。

 ある日、久しぶりに鏡を見た。
 でも、そこには自分が映っていて、初恋の彼がいなかった。
 悲しくなった。私は彼までも消してしまった。私をずっと見てくれるはずの彼までも。

 涙があふれ始めた。私は、やっと理解した。
 やっぱり、本当に好きなのは彼なんだと。
 彼は、私を、ずっと見ていてくれるから。
 でも、彼はもういない。外に行ってしまったんだろう。
 彼にも、きっと好きな人が出来たと思った。
 私なんかを、ずっと愛してくれているわけがない。

 辛くて、辛くて、涙をこぼし続けた。
 とうとう、一人きりになってしまった気がした。
 
 しかし、

 「リン」

 声がした。私はこの声を知っている。
 だって、この声だけが、私に愛をもって呼んでくれていたから。

 「リン」
 
 私はゆっくりと後ろを振り向く。

 「やっと逢えた」

 彼がいた。鏡に映った私。
 私の片割れ、レン。

 「これで、キミの隣にずっといられる」

 その言葉に、私はレンに抱きついた。
 



 これからは、ずっと一緒。

 姉弟のようと言われてもいい。

 私たちは、二人で一人。

 キミは私を、初めて愛してくれた大切な人。

 

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

片割れのキミ

一人語り。
適当に解釈をお願いします。

閲覧数:82

投稿日:2010/01/21 20:37:18

文字数:1,055文字

カテゴリ:その他

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