【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#02】

投稿日:2009/09/01 21:27:31 | 文字数:3,827文字 | 閲覧数:286 | カテゴリ:小説

ライセンス:

やっとわんこの名前が・・・このネーミングセンスのなさを誰かどうにかして・・・!
季節違いにもほどがありますが今に始まったことじゃないのでスルーで。
本当はつんばるさんにお任せするつもりだったのに、気付いたら自分で付けてたとかいう・・・あれ?
リンレンは今までの彼らとはまた違った感じに見えていたらいいなと思っています。

つんばるさんが書いている紅猫編にも新キャラ登場するので是非ご覧ください~。

+++

「紅猫編」を書いているコラボ主犯
つんばるさんのページはこちら → http://piapro.jp/thmbal

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TEXT
 

!!!Attention!!!
この度、ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、コラボ(二人)で書くことになりました。
自分が書く「青犬編」とつんばるさんの書く「紅猫編」に分かれております。
原作者様には全く関係なく、そして勝手な解釈もいいところで、捏造だろうと思われる部分もあると思います。
そういった解釈が苦手な方はブラウザバック推奨。
なお、カイメイ要素を含みますので、その点にもご注意ください。

大丈夫だよ!寧ろバッチ来い!の方はスクロールで本編へどうぞ。








【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#02】





 最後の新聞を郵便受けに投函して振り返ると、犬は尻尾を振りながらその場でくるりと一回転した。朝はあまり吠えると近所迷惑になるから駄目だと一度確かに言ったが・・・まさかたった一度で通じるとは。それからは一度も吠えることなく、一回転することで喜びを表してくれるようになった。その仕草がまた、すごく遊んでやりたい衝動をかき立てるわけだ。仕事中にも関わらず。
 最後までその衝動に耐えて仕事を終えた後、俺たちはいつものように川岸まで競争することになった。新聞配達をするのも半ば競争みたいなものなんだが、これは男と男の真剣勝負というやつだから、仕事とはまた別物だ。
 合図は、俺が落とした石が地面に当たった瞬間。
 もう数回同じことをやっているから、この犬もすっかり覚えているようで、俺の手から石が落ちるのを今か今かと待ち構えている。俺は近くに転がっている小石を拾い、すぐに走り出せるように準備をしながら、拾った小石を指で摘んで犬にも見えるような位置から――落とした。
 コツンという小さすぎる音は、それを合図に走り出した俺たちの耳には届かない。
 空気を掻き分けて走る俺の横を、軽く空気を切って過ぎ去っていく犬が恨めしい。風と一体化したんじゃないかというほどの速度で駆けて行く犬の後姿を見つめながら、俺は必死で手足を動かしていた。
 
 数分後には決着がついていた。
 毎日の新聞配達のおかげで体力がついたと言っても、結局のところは犬に勝てるはずもない。あの速度を生み出す瞬発力と脚力は、どうあっても人間には手に入れられないものだ。
 俺は息も絶え絶えで、土手に仰向けに寝転がった。死にそうなほど横っ腹が痛いし、心臓の鼓動が熱を持っている全身に伝わっていく。
 犬は口を開けて荒い息を吐きながら、当然のように俺の横に腰を下ろす。
 視界に広がる白んだ空は、どうやらこれから色付いていくらしい。手を伸ばして近く見える白を掴もうとしても掴めるわけがなく、ぎゅっと握り締めた手からそのまま力を抜いて落下させた。軽い衝撃と小さな痛みを訴えて、俺はようやく落ち着いてきた息を深く吐き出す。
「あー・・・っも、無理だ・・・!」
 突然声を上げた俺に驚いたのか、頭を下ろそうとしていた犬が顔を上げた。驚かせてしまったらしい。少し笑いながら「ごめんごめん」と撫でてやると、犬は気持ち良さそうに目を細めながら改めて頭を下ろした。
 こうしていると、これはこれで毎日が充実していて、手紙がなくてももしかしたら何事もなく普通に過ごしているのではないかと考える時がある。実際そうなった時のことなんて考えたくもないのにおかしな話だ。
 もしも俺が彼女に・・・めいこに出会わずに生きているとしたら、それはきっとくだらない人生に違いない。気の強いところがあって厳しいところがあって・・・俺みたいな奴にも屈託なく笑ってくれるとても優しい人。これから先も、俺の目にはめいこ以上の人は現れない・・・そう思わせてくれる、ただ一人の女性。手紙でしか互いのことを知る術がないことが歯痒いが、それももう少しの我慢だと言い聞かせている。
 このまま少しのんびりしていようかと思って目を閉じた瞬間、上の方からキキッと油をさしていないブレーキ音が響いて目を開いた。
 体をゆっくり起こしてほとんど首だけ振り返ると、一台の自転車に乗った仕事仲間・・・眩しいひまわり色の髪の双子――そこまで長くはないだろう髪を頭の後ろで結っているレンくんと、自転車の荷台部分に乗っていた白い大きな髪飾りを頭に付けたリンちゃん――が、こっちへと駆け寄ってきていた。
「あ、やっぱりにぃにぃだ!」
「やっぱりあんちゃんだ!」
 口々に言いながら後ろから抱き付いてきたレンくんとリンちゃん。レンくんの上にリンちゃんの体重が思いっきりぶつかってきて思わず今朝食べた握り飯を吐き出すところだった。苦しそうにしていたら、二人とも「ごめんあんちゃん」「ごめんにぃにぃ」と離れてくれたわけなんだが、明らかにわざとだということは既に周知の事実・・・今更それについてどうこう言おうとは思わないが。
「あ、わんこだ!でもさ、」
「あんちゃん犬なんて飼ってたっけ?」
 全くもって何故そこまで息が合うんだと思うほど、この双子は息がぴったりだ。代わる代わる喋るタイミングはぴったりだし、互いに考えてることもほとんど同じなんだろう。誰でも、二人の会話を聞いていたら他人にはわからない沈黙の中ですら無言の会話がなされていることがわかるはずだ。
 俺は二人を見つめている犬の頭を撫でながら、「仕事中に懐かれちゃって」と短く成り行きを説明した。
 二人は興味津々に犬に手を伸ばし、俺よりも小さいその手で彼の頭を撫でている。
「にぃにぃ、名前は?」
「この犬の名前は?」
 二人に名前、と言われてそういえば彼のことを「お前」か「犬」としか呼んでいなかったことに気付いた。常々呼び辛いとは思っていたが、名前を付ければいいという発想にまで行き着かなかったのだ。少し考えれば誰でも思いつくことだというのに。
「もしかして」
「ないの?」
 レンくんとリンちゃんは顔を見合わせてから俺を見て、呆れたような顔をした。
 そのタイミングまでぴったりというのだから思わず笑ってしまう。笑ったことで何か言われるかと思ったが、二人はそんなことは日常茶飯事なのか、気にした様子はない。
 俺は二人に撫でられている犬を見つめながら、そうだなと小さく呟く。
「・・・冬の気まぐれ雨みたいな感じだから・・・『しぐれ』はどうかな?」
 そう言った瞬間、彼は勢いよく俺を見て元気良く一声鳴いた。「気に入った!」と二人の声が重なって、俺は笑いながらたった今しぐれと名付けた彼の頭を撫でてやる。これからもよろしくなという意味を込めて撫でていると、視線が突き刺さっていることに気付いた。双子だ。
 二人は不思議そうな視線をこっちに向けている。突然しぐれと言ったことが不思議なのか、俺がこうしてしぐれと仲良くしていることが不思議なのか・・・そう考えていると、リンちゃんとレンくんはにっこりと笑った。こうして笑うと年相応なんだが、この二人はひょっとして俺よりも年上なんじゃないかとたまに思うことがある。そんなことは絶対にないわけだが。
「そういえばさ、あんちゃんは何で働いてるの?」
「にぃにぃが一日中働く理由ってなあに?」
 働く理由と言われた瞬間、頭に蘇るめいこの笑顔に、俺も相当我慢しているんだなと小さく笑う。二人が訝しげに眉根を寄せたのだが、見ないフリをして「それはね」と話を切り出した。
「すごく好きな人がいるんだけど、俺なんか本当は会うことさえ許されないようなお嬢様なんだ。昔は近所だったし二人でよく抜け出して遊んで・・・今は、彼女に・・・めいこに近付くために、めいこを迎えに行くために・・・こうして働いてるんだよ」
 尤も、それはもしかしたら意味のないことなのかもしれないんだけど、とは続けられずに言葉を飲み込む。
 リンちゃんは「駆け落ちだ!」とレンくんの方にきらきらした目を向け、レンくんは「駆け落ちのためだな」とこれもまた目を輝かせていた。
 二人とも、残酷なものだとは思っていないだろう。人事だから、ただ流して聞ける。俺にとって彼女との壁は例え何年かかっても超えなければならないものだということも、俺の真剣なその気持ちも、二人には半分ほども伝わっていないだろう。誰かに笑われても構わない、馬鹿にされても構わない。ただ、いつか二人で笑っていられる日を夢見て、今できることをしようと決めたから・・・どんなものにも屈したくはない。
「そういえば、めーこさん?…って、前にもちらっと聞いたけど、」
「本当に存在してんの?もしかして脳内彼女?」
「可哀相な幻覚だったりして」
 交互に言う二人は冗談交じりで、俺はそう思われても仕方ないかと半ば諦めながら小さく笑った。よくカッとなって怒鳴らなかったなと自分でも思いながら、「違うよ」と静かに言い聞かせるように口にする。二人は俺のいつもと違う様子を悟ったのかその一言だけで黙り込んだ。ほとんど無意識に近くそんな言葉を口にしていた俺は、それを隠すように笑って二人の頭をくしゃりと撫でる。
 俺がどんな風に思われても構わないが、彼女のことを悪く言われるのは耐えられなかった。
 ・・・それなら、知ってもらえばいい。俺が好きな彼女のことを。
「――少しだけめいこの話をしてあげるよ」
 長くなるだろうなと思いながらも、自分の口から出た言葉がそれと正反対だったことに心の中で笑った。




思いついたことをマイペースに書いていけたらいいなぁと思っている暇人。



2012
~1/ 3  ツギハギだらけの今(完結・全9話+α)

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