【中世風小説】Papillon 6

投稿日:2010/01/30 16:47:56 | 文字数:2,471文字 | 閲覧数:220 | カテゴリ:小説

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リンもレンも最っ低だ!と、自分に言い聞かせながら書いてます。もちろん私はこの二人大好きなんですけどね。
私が二人のことを「可哀そう」と思ってしまうとね、続かないんです(展開上の都合かよ!)。
あ、いまさらですが、レンは生きてました、ちゃんと。

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「っと、わぁっ!」

 朦朧とした意識の中で、ミク姉の声をきいた。その直後に、盛大に転んだと思われる音と、何かが転がり落ちる音。
 リンもミク姉も、何もない道で転べるような人だけれど、今回は何か持っていたのだろうか。

 唯一自由に動く左手で、ベッドのカーテンを開ける。俺の部屋の床に、何故だか果物が大量に落ちているのを見つけた。

「何やってんのさ、ミク姉……」

 荒い息の下、かすれた声がもれる。自分でも苛立つほどに、情けない声。あれから数日、容体は安定してきたと言われたが。

「あ、ちょっと待ってね、拾ってからね」

 果物を拾って、箱に入れていくミク姉。しゃべりながらだって出来るだろう、そんな作業。

「朝にね、カイトと街に買い物に行ってきたよ。これはお土産。美味しそうでしょう?」

 鮮やかな色の果物を両手に抱えて、ミク姉が見せてくれる。でも、かすんだ視界の中では、美味しそうなのかいまいち分からない。気遣いは嬉しいけれど、何も食べる気しないよ。

「私とルカとメイコで食べる約束なの。レンも強制参加ね」

 なんだよそれ。

 溜息をついて、何やら楽しそうなミク姉のことを見る。
 わざわざ、俺のために街まで行ったんだろう。自惚れではなく、そう思う。
 いくら新鮮だとか言っても、王宮のものより上質だとは思えない。
 王宮に比べて、何がいいのか。間違いなく、毒が入っていないということだけだ。そして、それを気にする必要があるのは、俺だけ。
 これまで何度も毒を盛られて、どれも死ぬほどではなかったけれど、今盛られたら、間違いなく死ぬ。

「リンは……?」

 訊ねると、ミク姉の手が、分かりやすくぴたりと止まった。

「あいつ、手首、怪我してただろ? 大丈夫だった? 痕、残るかな」

 ミク姉は、答えてくれない。意識が戻ってから何日も経つのに、リンだけはこの部屋に来てくれない。

 俺のことを考えて落ち込んでいるだろうか。だとしたら、すごく嬉しくて悲しい。
 それとも、俺のことなんて忘れてしまっていて、それでここに来ないのだろうか。そうであってほしいと思う自分と、それだけは嫌だと思う自分。

「ちゃんと、食べてる? 怖がってただろ? ……俺のせいで」

 俺が、リンを巻き込んだ。それだけが恐くて、強くなろうと思ったのに。結局、自分はリンを巻き込むだけ巻き込んで、カイトに助けられて。

「それは、自分で訊くしかないよ」

 ミク姉は、そう、もっともらしいことを言う。訊こうにも、彼女はここに来ない。俺はここから動けない。

「私は、リンのこともレンのことも、大好きだよ。でも、レンにとって、私とリンのどっちが好きかなんて、比べるべくもないでしょう? ……だったら、私じゃ仲介人にもなれないと思うな」

 ミク姉は、はい、とりんごを差し出してくれた。ただし、まるごと一個のりんごに、ナイフを突き立てた状態で。

「いやさ、普段ならまるごとかじるけど、今はそんな体力ねぇから……」

 っていうか、上半身すら起こせないところに、そんな汁が垂れそうなものを。ナイフ危ないし。

「そっか……じゃあ、どうすればいいかな……」

 ミク姉は、りんごをナイフごと放り投げて、何やら他の果物を探しだした。後から来たルカ姉とメイコ姉が、ナイフの扱いについて延々説教していた。ここ、一応は怪我人の部屋なんだけど。

-----

 レンの意識が戻って、もう命に別状はない、とミク姉が教えてくれた。
 でも、あたしは未だに、弟に会いに行く勇気を出せずにいる。会ったら、弱音しか出てこない気がした。彼が怒るようなことばかり、言ってしまう気がした。
 悩むしかない、とミク姉は言ってくれた。でも、あたしとミク姉では、悩み方が違う。ミク姉は、どんなに悩んでいても、笑顔を振りまける。気を遣える。あたしは、そうじゃない。

 昨日、ふと思い出して、腕輪を捜しに、閉鎖されていた自分の部屋に戻った。でも、吐き気がして、入れなかった。後で、カイトに腕輪のことを聞いたけれど、あまりに無残な壊れように、捨てられてしまったらしい。
 元々特別なものではなかったけれど、あれがなくなってしまったことで、レンとの最後のつながりすら消えてしまったような気がした。そうレンに言ったら、怒るだろうか。それとも、泣くだろうか、無視するだろうか。

「はい」

 いきなり、メイコ姉が、あたしに果物を差し出した。あたしの部屋はあんなことがあったから、あの日からずっと、メイコ姉の部屋を借りている。

「何、これ」

「ミクが、王宮の食べ物は信用できないからって、わざわざ買ってきた」

 信用できない。それが、何を意味しているのか、一瞬で理解出来た。今、王宮で用意された食事を、レンに食べさせるわけにはいかないんだ。
 あたしは、そんなことも思いつかなかった。
 レンがあんなことになって、責任を感じていると言いながら、全部他人に任せきりで、何もしていない。もう会えなくなるのが嫌だといいながら、会いに行こうとしない。そんな自分に嫌気がさしているのに、変わろうともしない。

「で、レンは食べた?」

「一応ね。ほとんど喉を通らなかったみたいだけど、あんたほどじゃないわ」

 メイコ姉の言葉に驚いて、その目を見る。怒っているかと思ったのに、優しい笑みを浮かべていた。

「心配してるわよ、あの子」

「……分かってるよ」

 誰より優しい弟は、自分がどれだけつらくても、あたしのことを気にしてくれているに違いない。でも、あたしはそうなれない。ずっとずっと、あの子のことしか考えてないのに、それはただの懺悔で、堂々巡りで、何一つとして、今の彼のことを考えていない。せめて、会いに行って、直接謝ってしまえば良いのに。

「レンのことは、あたしが一番よく分かってるよ……」

 生まれたときから、永遠に、そうであり続けると思っていたのに。もう、何もかも、分からない。

とりあえずいろんなことに手を出しまくってる鏡音廃です。巡音も買ったようです。

マイリス→http://www.nicovideo.jp/mylist/18736642

オリジナル曲の二次創作・派生作品等は、ボカロやPIAPROの規約の範囲内でご自由にどうぞー。

小説の更新が滞ってますが、プロットはちゃんと出来てますよ><

http://hozue.blog-fps.com/

http://sns.cv02.net/?m=pc&a=page_f_home&target_c_member_id=2229
http://v-nyappon.net/?m=pc&a=page_f_home&target_c_member_id=12234

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2010/2/17 追記
HNを秋穂(あきほ)から穂末(ほずえ)に変更しました!

2010/7/18 追記
ニコ公開三曲目となる「水鏡プリテンス」で、P名を頂いてしまいました(ありがとうございますっ)。

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一応、お仕事やコラボのことに関して書いておきますね。以下の文章は、状況によってコロコロ変わります。

現在、曲・絵の新規依頼は受け付けておりません。交流のある方(複数回のメッセージ交換が目安)からの依頼ならば検討しますのでご一報お願いします。
作詞ならば依頼を受け付けられますが、依頼理由はきちんとお書きください。

一つの作品を仕上げるまで根気強く手伝ってくださる(ここ重要)絵師さん、動画師さんは常に募集しています。
また、作品ごとにイラスト募集を(突発的・〆切あり)することがあります。

コラボはお互いに本気じゃないと自然消滅するだけですので、やるなら本気でやりましょう。一報したうえでの延期・降板は受け付けますので。

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