【オリジナルマスター】 ―Grasp― 第五話 【アキラ編】

投稿日:2009/10/07 14:37:01 | 文字数:4,231文字 | 閲覧数:154 | カテゴリ:小説

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マスターの設定で異様に盛り上がり、自作マスターの人気に作者が嫉妬し出す頃、
なんとコラボで書きませんかとお誘いが。コラボ相手の大物っぷりにぷるぷるしてます。

******

アキラ、白瀬家の男子を弄りまくるの巻。

すけこましネタはだいぶ初期の頃からあった案です(笑
メールでぽろっと「白瀬家カイトはすけこまし」発言をしたら、こはさんからは
「いいと思いますすけこましで!」といわれてしまいました。びっくりして思わず
「いいんですか、すけこましで!?」とお返事しました。自分で言っておいて(笑

そういえばこの頃は、ピアプロのトップ(注目の作品)20作品のうち、15作品が
こはさんの作品だったりしたのを発見して、キャプって送ったりしてました(笑
こはさんもびっくりしてました。

悠編では、久しぶりに(笑)乙女じゃない先輩がいるようです、こちらも是非!

******

白瀬悠さんの生みの親で、悠編を担当している桜宮小春さんのページはこちら!
http://piapro.jp/haru_nemu_202

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TEXT
 

オリジナルのマスターに力を入れすぎた結果、なんとコラボで書けることになった。
オリジナルマスターがメイン、というか、マスター(♂)×マスター(♀)です、新ジャンル!
そして、ところによりカイメイ風味です、苦手な方は注意!

コラボ相手は、かの純情物語師(つんばる命名)、桜宮小春さんです!
(つ´ω`)<ゆっくりしていってね!>(・ω・春)



******



 なぜか低姿勢な悠サンからの返信には、次回日程は次の週末、こんどは私の家での作業としたいという風なことが書いてあった。うちでやることにはおおいに疑問と反論があるのだが、いつも向こうの家に行ってはフェアじゃないと思いなおして、とにかく週末までの宿題を片づけることにする。
 私の「宿題」は、とにかくできるだけインストデータをつくって送ることだ。次回の作業では、ぜひとも調声の段階までいってみたいと思う――いい加減、歌わせてやらないとめーこさんもかいとくんも不満そうだからね。



―Grasp―
アキラ編 第五話



 次の作業日まで約1週間、色々な予定も加味すると正味5日といったところ。それならば、整ったものをまとめて送るよりも、整っていなくてもばんばん案を出していった方が効率もいいだろう。メールでその旨を伝えると、悠サンもおおむね同意するような文面でメールを返してきたので、好きなようにフレーズをつくってはすこし手直しして送る、というような工程を繰り返した。……まあ、悠サンが編曲はまかせろと言っていたので、この際思い切り任せることにしよう、という一種の開き直りでもある。もちろん、ぶつぎりの断片的なものばかり出してそれじゃあとよろしく、なんてのは、気質に合わないし寝覚めが悪いので、フレーズのつなぎ合わせや和音構成なんかには手を出させてもらうつもりだけれど。
 そんな風にしていたものだから、この5日で、今までにないほどメールのやり取りをした。
 データを直接送ったり、あまりにサイズが大きくなった時にはアップロードサーバを借りてパスワードを教えたりしていたら、1日で片道5通ほどのメールを送っていた日もあった。とくに筆まめというわけではない(むしろ無精のほうな)ので、これは異常な回数だ。
 尤も、それに対して律儀に感想のメール(しかもこまかい)を返してくる悠サンも悠サンだとは思うが……。

「マスター」

 音源ソフトをいじくり回していると、ウインドウを開いたままにしているめーこさんが声をかけてくる――またか!

「さっきのメールの返事が来たみたいですけど……」
「読んで」

 作業を中断するとモチベーションも効率も落ちる。なので、メールの内容はめーこさんに頼んで読んでもらって、それを参考に(あくまでも参考だ)音源ファイルの作成を続ける。あとできちんと読むのだけれど、作業中にはこれが一番効率のいい方法なのだ。……尤も、かいとくんからは「めーちゃんは音声読み上げソフトじゃないんですよ」と叱られたけれども(たしかにキミたちの読み上げはたどたどしいけれど、キミたちの方が漢字の読み間違いが少ないから、読み上げソフトより信頼しているんだけどなあ)。
 今回書かれていたのは、音源の感想と、いくつかの改善点、それから今後に向けてのアドバイスだった――というか、それ以外のことが書かれたメールなんて来たことがない。そういうシンプルなところが、好ましいと思う。

「ふむ、ストリングス音色の指定にはこたえるけれど、ピアノ音源の方は編曲にまかせよう。かいとくん、メモお願い」
「はい、マスター」

 てきぱきとメモパッドを開いて、かいとくんが「ストリングス:音色変更/ピアノ:ハルカさんにお願い」と書きこむ。後でメールの返信をするとき用のメモだ。ほんとうに、このふたりはいい仕事をしてくれる。……尤も、めーこさんには「カイトはマスターの小間使いじゃないんですよ!」と叱られたけれど(というか、どこで覚えてきたんだ、小間使いなんて言葉)。
 そんなこんなで、めーこさんやかいとくんに助けられながら、なんとか曲の原案らしきものは出来上がり、ちょうど週末を迎えた。


「いらっしゃい、メイコさん、おとうとくん。上がりなよ」
「おいアキラ、俺もいるんだが」
「いまさら客あつかいしてほしいんですか、ハルちゃん先輩」
「あのなあ……」

 おじゃまします、と声を揃えて言うメイコさんとおとうとくんを部屋に通すと(というか、1Kなので必然的に部屋にしか行けないのだが)、玄関先にごとりと大きな音が響いた。

「……キーボード持ってきたんですか」
「ああ。使いたいだろ? ホラ」

 じいいとファスナーの中から見えたのは、どうやら私がこの間触ったキーボードらしい。が、このキーボードはさほど重くないにしてもかさばって持ち運びにくいはずだ。それをこともなげに言った辺りに、悠サンのひとのよさがよく表れていると思う。
 そして、かぶとむしを捕まえた少年のような顔をしてこちらを見るな。なんだそのどや顔。

「ありがたいですけど……」
「けど?」
「いや、よく持ってきたなあと思って、感心していいのか呆れていいのかわからないところです」
「そこは褒めろよ!」
「わーすごーいハルちゃん先輩ちからもちー」
「棒読みで言われても嬉しくねえし! しかもなんだそのガキ相手みたいな褒め方!」
「コレ、向こうに運びますよ」
「無視か!」

 いいトシした男のどや顔を粉砕して、キーボードを部屋に運ぶことにした。ケースの取っ手を取る……が、これがなかなか持ちにくい。壁にぶつけないように気をつけなければと思いながら、収まりのよい持ち方を模索する。
 部屋からこちらを覗いていたおとうとくんが、とことことこちらに寄ってきた。

「アキラさん、大丈夫ですか? 俺、持ちますよ」
「ああ、気が利くね。さすがすけこまし」
「すけっ……!」

 背後で、ぶふっと吹きだす声が聞こえた。メイコさんはこちらに背を向けているが、肩がふるえているので、おそらく笑っているのだろう。

「でも残念ながら、手伝いは必要ないよ。気遣ってくれてありがとう」
「ちょ、ちょっと待ってください! なんですかその、す、すけこましって……!」
「的確だろ? メイコさんを誑かしたんだから」
「たっ……!?」

 KAITOというのは、からかうとおもしろいようにできているのだろうか。顔をまっかにして、口をぱくぱくしながら挙動不審になったおとうとくんを敢えて無視して、部屋に機材を運び入れた(おや、メイコさんも顔を赤くしている。これはわるいことをした)。後ろで悠サンがおとうとくんに何やら声をかけているみたいだが、その顔はいつものにやけ顔だ。
 さっきのやりとりといい、悠サンは意外と元気そうだ。心配していたわけではないけれど、今日はこの間みたいな作業中断なんてことにはならなそうだ。心の中だけでよかったとひとこと呟いて、機材をパソコンにつなぐ作業に入った。


 自分の部屋がとくに狭いと思ったことはないが(宅飲みでもゆうに6人が座れるくらいなのだし)、なぜか今日ばかりは狭く感じる。いつも来客時はしまってある機材が広がっているせいか、他人の機材まであるせいか、筐体が2人分もあるせいか――いずれにしろ、

「狭苦しく感じるのは私だけですか」
「そんなに狭くはないけどな」
「……やっぱり、作業環境としてはハルちゃん先輩の家の方がいいと思うんです」
「いつも片一方の家に行くのじゃフェアじゃないとか言ってなかったか?」
「そうですけど、ハルちゃん先輩んちの方が機材豊富だし、広いし……」
「わかったわかった、とりあえず今日はここでやるぞ」

 はい、と返事はしたが、次以降は絶対悠サンちでの開催をもぎ取ろう、と思った。そんなことを考えながら、悠サンの持ってきた編曲済みのデータと、歌詞の書かれたテキストデータが入っているUSBをポートに挿す。
 データを私のパソコンにコピーして、動作確認のため歌詞データをクリックする。

「……あれ?」
「どうした」
「出ない」

 データが開けません、という、テキストデータの展開ではあまり見ないエラーメッセージ。一度ウインドウを閉じて、再度データを展開しようとするが、同じメッセージが出てくるだけだった。

「……なんで?」
「まさかアキラ、またお前妙なウイルス……」
「しつれいですね、最近はノートンもちゃんと働いてるし、そうじゃなくても、何か妙なの入ってたらかいとくんが教えてくれますもん」

 ないよね? と問うと、ディスプレイの向こうから、ないです、と低い声が返ってきたので、いちおう安心する。……尤も、「そういうのは私たちに頼らないでください!」と、めーこさんとかいとくんに叱られたけれど。

「ちょっと見せてみろ」

 悠サンが、パソコンの前に座る私の背後から、身を乗り出してディスプレイを覗く。マウスを握って、私がしたのと同じように操作しても、応答は一緒だ。エラーメッセージが増えた。
 おかしいな。そう言って、悠サンは、私の後ろから手を伸ばしてキーを叩こうとした。

 私の背後に、おおきな影が、落ちて。
 腕が、私の頬の横から、伸びて。
 伸びてきた腕は。
 それは、おとこのひとの、腕、で――

「あ、アキラ?」

 人の肉を叩いた感触も、音も、感じなかった。けれど、悠サンや筐体ふたりの表情、それから、不自然に宙に浮いた悠サンの腕から、私がその腕を振り払ったのだと知った。

「……どうした?」
「なんでも、ないです」

 座っていたイスを悠サンに譲り、訝しげな悠サンを「こっちの方が作業しやすいでしょう」と促し、その後ろからディスプレイを眺める。相変わらずデータは開けないままだったが、そんなことよりも、頭の中を占めるのは、大きな混乱の渦だった。


 恐怖だった。
 背後から腕が伸ばされたことも。
 後ろから手が伸びてくる、その手は私を狙っていなかったはずなのに、振り払ってしまったことも。
 その振り払うという行為に、何を感じることもなかったということも。

 ふいに、下腹が膿んだような痛みをはらんだ。
 その痛みは、いつか感じた、焼けた針を押し付けられているような――。

つんばるといいます。世の中のすみっこでしがないモノカキやってます。
MEIKOがすきです。KAITOがすきです。カイメイがすきです。

写真素材はサイズ・色調その他、改変自由のフリー素材です。お好きにどうぞ。
なにかが誰かの琴線に触れたらさいわいです。

⇒ブログ:http://phantomlake.blog58.fc2.com/
⇒メール:croak-crash【あっとまーく】hotmail.co.jp

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