優しい傷跡 第17話「今度は私が護ってあげる」

投稿日:2008/12/14 17:25:38 | 文字数:1,842文字 | 閲覧数:862 | カテゴリ:小説

ライセンス:

【登場人物】
増田 雪子
帯人
咲音 メイコ
呪音 キク

【コメント】
久しぶりに更新することができました♪
長らくお待たせしましたね^^;
実は受験もあったので、ドタバタしてました。
ごめんなさい><

それではまた来週!……かな?ww

前のページへ
1
/1
次のページへ
TEXT
 

キクの記憶の断片が、メイコの脳に流れ込む。
それはあまりにも悲しくて―。

「どいてッ!」

キクが力一杯メイコを蹴り飛ばした。
もろにくらったメイコは痛みのあまり、うずくまった。
キクはゆっくりと立ち上がる。

「さよなら」

「ま、待ちな、さい…ッ!」

「…」

メイコの言葉を返さず、キクは静かに窓辺に近づく。
その背中にメイコは叫んだ。

「助けてあげるからッ!!」

張り裂けそうな声が、部屋に響いた。
キクは一瞬、動きを止めた。

―そのとき、たしかにキクは微笑んでいた。
 今にも泣きそうな笑顔だった。

「さよなら、メイコさん…」

キクはそう言い残し、ベランダから飛び降りた。

今度は、雪子と帯人に危険が及ぶ…。
二人を傷つけたくない。それだけは避けたい。

メイコは携帯を取り出すと、電話をかけた。

「バカイトッ!なにやってんのッ!さっさと救援よこしなさいッ!!」





同時刻。クリプト学園旧館の一室。

「帯人…大丈夫?」

帯人は壁に背をあずけ、座り込んでいた。
帯人の肩にそっと触れる雪子。
彼はただ、静かな呼吸を繰り返すだけだった。

きっと、そうとうダメージを負っているに違いない。
あの高さから飛び降りたんだ。
いくらボーカロイドだからって、つらいだろうに…。

私はそっと、帯人の体を抱きしめた。

「ごめんなさい…」

「……ます、たー…」

「なにもできなくて、ごめんなさい…」

「………あなたは僕を助けてくれた」

「…帯人?」

私の手に、帯人の手が重なる。

「…傷だらけの僕を、救ってくれた。
 だから、今度は、僕がマスターを護る、から……」

彼の包帯の下から、不凍液が流れている。
あの無理な行動のせいで、古傷まで開いてきている。

すごく、痛いだろうに―。

胸が苦しくなって、私は帯人の肩で泣いた。
声を殺して、泣いた。
泣くほど苦しいのは、彼のほうだというのに。

「……泣いてるの? マスター」

「…違うよ」

「………?」

「ちょっとだけでいいから、肩を…貸して……」

「はい…」

とにかく今は身を隠さなければならない。
メイコ姉さんのことが心配だけど、きっと大丈夫だと思う。
それよりも一番怖いのは、呪音キクのほうだ。
彼女の怖さはもう二度と体験したくない。
直接、空気を伝わる死の予感。
彼女を目の前にしたら、私は震え上がって立てなくなってしまうだろう。

でも。
隣にはボロボロになった帯人がいる。
もしものときは、私が戦わなきゃならない。

護られるだけじゃダメだ。
私も彼を護ってあげなきゃダメだ。
マスターなんだから…!

そのとき、どこかでガラスの割れる音がした。
ビクッと体が震える。
粉々になったガラスを踏み鳴らしながら、誰かが旧館に入ってくる。

私は立ち上がり、息を殺して待つ。


ガチャ。


扉が開かれた。
震えが止まらない。冷や汗が頬を伝う。悪寒が背筋を走る。

(怖い怖い怖い怖い怖い)

入ってきたのは、生徒でもなければ警察でもない。
その赤い流れるような長髪は、紛れもなく彼女だった。

「あなたの《愛》をえぐらせて」

「嫌!」

大声でそう叫ぶと、彼女は笑った。
帯人がゆっくりと立ち上がり、私の前に立つ。

「……マスターを傷つけたら、許さない…」

「そんなナリでなにができるっていうの?」

「……ッ」

帯人の表情が痛みのせいで歪む。
キクはそれをおかしく笑っていた。

そのとき、雪子が戸棚から透明な液体の入ったガラスビンを取りだした。

「悪かったわね。キクちゃん!」

「…!? なにするつもり?」

「ここはねぇ、理科準備室って言う部屋なの!」

そう言って、ガラスビンを床にたたきつけた。
その液体が帯人とキクの間に広がって、突然炎上した。
動揺するキク。

「きゃッ!」

「純度100%のアルコールって燃えるんだから!
 現役女子高校生を馬鹿にしないでよねッ」

雪子は帯人の腕をつかむ。

「行こう!」

二人は走り出した。
とにかく見つかってしまった以上、ここに身を潜める意味はない。
炎上する旧館からいち早く脱出しなければならなかった。

火はいつの間にか勢いを増し、煙柱をいくつも上げ始める。

これできっと、メイコ姉さんたちも気づいてくれるはずだ。
そう思いながら、雪子は帯人とともに非常口を探した。

(私が、護ってあげるから)

【お休み中】

===========================================

「優しい傷跡」は三部作ですが、三部の途中で書けなくなりました。
続きは書けませんが、そこまでのお話は残しておくつもりです。
二次創作やら派生やらは、一言いただければ基本okです。
これからは何となく書いた歌詞を載っけていくつもりです。
よろしくお願いします。

帯人・がくぽ・ミクオ・欲音ルコが大好きです。

下から飛べますよ♪

===========================================

優しい傷跡
http://piapro.jp/content/7q5hqtkfhff7gpll

優しい傷跡 番外編
http://piapro.jp/content/prenayotf2qetyrj

優しい傷跡-魔法の音楽時計-
http://piapro.jp/content/p6xkwgja3thb4jvs

優しい傷跡-君のために僕がいる- (中断)
http://piapro.jp/content/3itb7ja54w5dp7y1

もっと見る

作品へのコメント1

ピアプロにログインして作品にコメントをしましょう!

新規登録|ログイン
  • userIcon

    ご意見・感想

    そうだぞ!雪子だぞ!影薄いけど忘れちゃだめだぞ!><
    ちなみに我が家の場合↓
    雪子=主人公。帯人=ヒロイン。みたいな(笑

    はーい!
    がんばります!!^ワ^

    2008/12/14 18:36:56 From  アイクル

オススメ作品10/22

もっと見る

▲TOP