瑠加が留守の間、私はあることについて考えていた。
それは気持ちという、よく分からないものであった。


・・・・・・気持ち、ってなんだろう?


私は作られたときに、脳となる部分にICカードにたくさんの知識を詰めこまれた。
瑠加からも、この世界の法律や決まりごとを教わった。

しかし気持ちというものは一度も教わっていない。


私は作られて早一週間経つが、もう職人技のようにすべての仕事をこなせるようになっていた。
ところが、わけの分からないものに、今、私は悩まされている。

無性に腹の奥となる部分がむずむずした。
どうにもこの感覚が残ってしょうがないので、大学から帰ってきた瑠加にそのことを
話すと、彼女はこういった。


「それはいいことだ」
「どういう意味、ですか?」


「ま、これから分かるさ・・・・・・」


何が、言いたい?

私は眉をしかめた。



「どうして、博士はそう勿体ぶるんですか?」


すると瑠加は考えるようにして、

「ふぅむ・・・・・」

と呟きをもらすだけだった。






「じゃ、今日も大学に行ってくるから」

私は短く答えた。


「はい」



手には、長箒を持っていた。掃除をするためだ。

「行ってらっしゃいませ」



瑠加がでていってから、私はしばらく家の掃除をした。
人間は、汚い環境の中で暮らすことに耐えられないからだ。



・・・・・・すると、裏庭のほうから動物と思われる鳴き声が聞こえてきた。
子猫だ。
猫はミャアと鳴くと、庭で育てている野菜の苗の上に乗っかった。


「あ!」


思わず声を上げた。
私は子猫をそこから立ち退かせようと大きな声をあげた。


「こら!そこの上に乗ったら駄目!」


走って逃げようよもしなかったので、私は子猫を捕まえてやろうと考えた。
そっと子猫に近づいたら、さっとそいつは駆け出した。

私は後を追った。


しかし、思ったとおりに走ることが出来ない。
どうやら、一般の人間並みにしか動けないように、制御チップが働いているらしい。

飄々と私の前を走る子猫が、得意そうに笑ったように見えた。


「くっそう~・・・・・・」



待ちなさい!


さっきよりも大きな声をあげながら、私は必死に子猫のあとを追った。

軽々と逃げ続ける子猫は、野菜の苗を次々と踏みながら行った。


私は間違ってもそれらを踏まないようにしながら、追いかけていった。



私のほうは、もう体力が限界じゃないのかと思った。


顎があがる。胸が痛い。喉が冷える。

しかし子猫は、まだまだ余裕を残しているようだった。
少し振り返りこちらを向くと、再び子猫は駆けていった。

「ぜっ・・・・ぜぇっ」


自分の体内に酸素を取り入れるため、私は必死に呼吸を行った。

体のリズムが落ち着くと、私は立ち上がり、再び子猫を追いかけ始める。



この日をはじめ、私は子猫の追いかけっこを、繰り返すようになった。





ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

科学者と機械と子猫 2

あ~~~・・・
ついに3年生の先輩、卒業しちゃったなぁ。。。

すごかったなぁ・・・ボタンを貰いに、待ち伏せしてまで押しかけるテニス部女子・・w

閲覧数:93

投稿日:2011/03/17 15:39:12

文字数:1,250文字

カテゴリ:小説

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  • AKIRA@更新停止

    AKIRA@更新停止

    ご意見・ご感想

    お久しぶりです、AKIRAです。
    すごくかわいいですねコレ!読んでてなんかニヤニヤしました。(笑)
    アンドロイドなミクさんと大人なルカさんがすごく素敵です!
    1と2両方ブクマさせて頂きますね。有難う御座いました!続き楽しみにしております。
    それでは失礼しました。

    2011/03/29 00:55:20

    • かたつむり

      かたつむり

      おわわ、AKIRAさんお久しぶりです!!
      に、ニヤニヤ・・・笑
      わぁ?♪ありがとうございます!!^ー^
      ブクマも!?わわわぁ、本当にありがとうございまs(ry
      メッセありがとうございます><

      2011/03/29 17:59:31

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