【オリジナルマスター】 ―Grasp― 第二話 【アキラ編】

投稿日:2009/09/14 14:15:48 | 文字数:3,969文字 | 閲覧数:192 | カテゴリ:小説

ライセンス:

マスターの設定で異様に盛り上がり、自作マスターの人気に作者が嫉妬し出す頃、
なんとコラボで書きませんかとお誘いが。コラボ相手の大物っぷりにぷるぷるしてます。

******

アキラ、挙動不審な悠サンにいらっとするの巻。

なんかめちゃくちゃ短気で気遣いのない子だな! と思いながら書いてました。
そこは普通の人ならいらっとするとこじゃなくて心配するところだろ……うん、
アキラだから仕方ない(ぁ

ちなみにアキラがお土産で持ってきたメープルシロップ入りのバウムクーヘンは、
つんばるの最近のお気に入りおやつです。紅茶とセットでうまうまです!

悠編では、なにやら先輩が純情乙女(!?)なようなので、こちらも是非!

******

白瀬悠さんの生みの親で、悠編を担当している桜宮小春さんのページはこちら!
http://piapro.jp/haru_nemu_202

前のページへ
1
/1
次のページへ
TEXT
 

オリジナルのマスターに力を入れすぎた結果、なんとコラボで書けることになった。
オリジナルマスターがメイン、というか、マスター(♂)×マスター(♀)です、新ジャンル!
そして、ところによりカイメイ風味です、苦手な方は注意!

コラボ相手は、かの純情物語師(つんばる命名)、桜宮小春さんです!
(つ´ω`)<ゆっくりしていってね!>(・ω・春)



******



 週末、いつもの鞄とパソコンを抱えて家を出た。めーこさんとかいとくんは起こさずに出てきたから、彼らが次に呼び出されるのは、悠サンの家でのこととなる。目が覚めたらそこには筐体型がたくさん――なんて、めーこさんは喜びそうだがかいとくんは複雑だろうなあ。
 そんなことを思いながら、目的地に向かう自分の足取りが異様に軽く感じた。なぜだろう、荷物はいつもより重いはずなのに。



―Grasp―
アキラ編 第二話



 件の家に着いてチャイムを鳴らすと、ほどなく扉が開いて、悠サンが顔を出した。おじゃまします、とひとこと言うと、出迎えてくれたのは二体のVOCALOIDだった。

「こんにちは、アキラさん」
「今日はよろしくお願いしますね!」

 やっぱりウチのかいとくんとめーこさんとは少し声質が違うなあと思いながら、こちらこそと言葉を返して、上がらせてもらう。練習室にしている部屋へ足を向ける(勝手知ったる他人の家というやつだ)と、廊下から黄色の頭がふたつと、緑の頭がひとつ目に入った。

「あ、アキラちゃん来たんだ? 久しぶりー」
「こんにちは、アキラさん」
「やあ、久しぶりだね、りんちゃん、初音さん。……れんくんはそんなに久しぶりでもないような気がするけれど」
「お、お久しぶりです……」
「そうだ、おみやげ。メープルの入ったバウムクーヘンなんだけど。はい、初音さん」
「ありがとうございます」
「おお! アキラちゃんさすが、気が利くぅ!」
「……リンに渡さないあたり、ちゃんと人選んでるよなー、アキラさんは」
「なにそれレン、どーいうことよ!」

 仲よさげに口げんかをはじめた双子を一瞥したくらいにして、再び練習室の方へと向かう。
 ……初音さんの視線が、すこしだけ冷たかったのは気のせいだろうか。


 練習室と呼ばれているその部屋は、つまり悠サンの家の音楽関係機材が置いてある部屋だ。数は多くないが、美憂先輩から預かっているものや古くなったものも雑に置いてあるので、感覚としては小学校の音楽室にちかい、と、私は思う(もうすこし整理すればいいのに)。
 さて、と。どこで作業しようか。さいわい部屋は広い。とりあえず荷物を床に置いて、適当な場所を探す。

「机かりますね」
「え? あ、ああ」

 あまり要領を得たとは言えないような返事だが、まあいい。雑多に積まれた機材を少しだけ寄せて、パソコンを置くスペースをつくる。電源を入れながら、起動するまでの間にコンセントにつなぐ。ああ、ノートパソコンってやっぱりべんりだ。
 早速エディターを呼び出して、めーこさんとかいとくんを起こす。おはようございますマスター、と、お決まりの挨拶をしためーこさんの顔は晴れやかだ。隣に立つかいとくんの表情は、雨降り直前の曇天よろしく曇っているけれど。

「……ここ、どこですか」
「昨日の夜も言ったろう、ハルちゃん先輩の家だよ」

 眉間のしわを深くしたかいとくんを無視して、筐体VOCALOIDのふたりに視線を飛ばして、こっちおいで、と呼べば、ふたりは素直にこちらに来た。私よりすこしだけ体格のいいふたりが、パソコンを覗きこむ。

「ほら、白瀬家のメイコさんとおとうとくんだよ。ふたりともご挨拶なさい」

 アプリケーションのふたりに向かって言うと、めーこさんの瞳はこれ以上ないというように輝いた。よっぽど楽しみにしていたみたいだ。嬉しそうなめーこさんを見て、こちらまで笑みがこぼれる。

「わぁ、筐体の方……! よろしくお願いしますね! メイコさん、カイトさん!」
「よろしくお願いします、メイコさん……と、おとうとさん?」
「弟、ですか……」

 かいとくんのひとことに、おとうとくんと呼ばれた筐体カイトはあからさまに困った顔をしてメイコさんに目配せした。
 私がおとうとくんを「おとうとくん」と呼ぶのは、一種のからかいというやつだ。白瀬家のMEIKOとKAITOは人間でいう恋人関係だ、と、いつか美憂先輩が言っていた。ついでに、メイコさんと初めて会った時「姉さん」と呼んだおとうとくんが殴り飛ばされたという話も。だから、以前美憂さんに連れられてこの家に来た時(言うまでもなく私も美憂先輩もスーパーの袋に酒をぶら下げていた)、からかい半分でおとうとくん、と呼んだのだ。しかし、意外と普通に対応されてしまったものだから、そのまま呼び方を変える機会を失ってしまった。
 うん、私がわるいわけじゃない。

「ちょっとカイト、カイトさんにしつれいでしょ」
「ん? おとうとくんがいいならいいんじゃないか? どうせ名前なんて記号だよ、誰を指しているのかわかればいいんだから」

 たしかにちょっと失礼かもしれないが、でも、その呼称で普通に反応してしまうおとうとくんもどうかと思うんだ――と、おとうとくんに責任転嫁した自己弁護を、かいとくんの代わりに言うと、おとうとくんは、そう呼びたければそれでいいですけど、と、苦笑を洩らした(なんと穏やかなことだろう)。
 さて、早速インスト制作に入ろうかと準備をはじめることにしたが、ふと先ほど寄せた機材に目がいく。私は触ったことがないが、しかし使い勝手がいいと評判のキーボード。今リリースされているものより、ひとつ古い型のようだが、キーボードを買う余裕もなく、いつもぽちぽちとマウスで打ちこんでいる私にとっては、興味の惹かれるものだった。

「ハルちゃん先輩、なんでこんないいもの……」
「ああ、それ、美憂さんからいただいたものなんですよ」
「使っていないのかい?」
「いえ、いつもはパソコンにつながっているんですけどね」

 メイコさんが説明してくれるが、悠サンのパソコンには、別の機材がつないである。とりあえず、今使っていないのなら私が使ってもいいということだろう……か?

「使っていいかな」
「大丈夫だと思いますよ、ね、マスター?」

 おとうとくんの呼びかけに、しかし答える声はなかった。
 振り向いて悠サンの姿を確認すると、どういうわけか、悠サンは先ほどから動かずに、ぼんやりと突っ立ったままだった。ハルちゃん先輩、と呼びかけても、ぼーっとしたままだ。どうかしたのだろうか。

「ハルちゃん先輩!」
「あ……悪い。どうかしたか?」

 語気を強めて呼ぶと、やっと反応が返ってきた。メイコさんもおとうとくんも不思議そうな顔で悠サンを見ている。
 というか、どうしたじゃないだろ、どうしたじゃ。

「いや、インスト制作したいんですけど、ちょっと教えてもらえませんか?」

 ちょいちょいと指でキーボードを指すと、すこし慌てたように悠サンが近づいてくる――が、一定距離を保ったまま、こちらに来ようとしない。パソコンへのつなぎ方、操作方法、その他を指示してもらっている間も、その距離が縮まることはなかった。
 なんだ、この妙な感じ。私なにかしたか。
 居心地の悪い不快感をともないながらも、なんとか、セットは終わり、音のテストついでにワンフレーズ弾いてみた。……あ、これ意外といいかも。曲のブリッジ部分にでも使えそうだ。

「これ、ちょっとよくないですか。即興ですけど」
「あ、いいんじゃないですか」
「でも、少し音が軽い感じですね、低い音入れてみればどうでしょう」
「なんか……こう言っちゃ難ですけど、マスターらしからぬ優雅さですねー、この音」
「マスター、やっぱりキーボード買いましょうよ、おれ、アイス我慢しますから」

 音を流してみて問うたが、いちばん意見の欲しかったひとから反応が返ってこない。どうしたものかと振り返ると、相変わらず不自然な距離を保ったままだ。
 私はそこまで短気ではないつもりだが……これにはさすがに、いらつく。

「……ハルちゃん先輩、なんでそんな遠いんですか」
「あ、いや……」
「もっと寄らないと聴こえませんよ」

 すこしだけ怒気を含ませて言ったが、歯切れの悪い回答に、ようやく、何か様子がおかしい気がしてきた。悠サンの顔が、心なしか赤くなっている。機材の説明をしていたときも、とくに気はとめなかったが、そんな感じだった。部屋の温度がとくべつ高いわけでもないのに。そういえば、この部屋に入ったころから動作がぎくしゃくと不自然だった。いったいどうしたというのだろう。

「ハルちゃん先輩……さっきから顔色へんですよ。具合悪いんですか?」

 ずいと寄って行って、その額に手をかざしてみるが、すんでのところで身を引かれた。なんだ意外に元気じゃないか――と思う間もなく、くるりと背を向けられた。

「……悪い、ちょっと、席外す」
「は?」
「ちょっと、マスター!」

 メイコさんが呼ぶが、やや乱暴目に開けられたドアは、すぐに閉められてしまった。

「マスターってば、もう……!」
「めーちゃん、俺が行ってくるから、アキラさんと一緒に曲作り続けてて」

 にっこり微笑まれて、メイコさんが言葉を失った隙に、おとうとくんが部屋から出ていく。
 取り残されてしまったが、果たして勝手に曲を作っていいものか。

「……メイコさん、悠サンはどうかしたのかい?」
「……さあ……?」

 なんだというのだ、いったい。

つんばるといいます。世の中のすみっこでしがないモノカキやってます。
MEIKOがすきです。KAITOがすきです。カイメイがすきです。

写真素材はサイズ・色調その他、改変自由のフリー素材です。お好きにどうぞ。
なにかが誰かの琴線に触れたらさいわいです。

⇒ブログ:http://phantomlake.blog58.fc2.com/
⇒メール:croak-crash【あっとまーく】hotmail.co.jp

もっと見る

作品へのコメント2

ピアプロにログインして作品にコメントをしましょう!

新規登録|ログイン
  • userIcon

    ご意見・感想

    コメントありがとうございますー!

    こっそりによによしていただけて嬉しいです、こっちこそによによしちゃうぜ!(笑
    たぶんこの包み隠さないあたりがアキラの「らしさ」なんだと思いますが、
    もうちょっと繕おうよ! という感じです、三次元じゃ生きていけない子だと思います(笑
    歯切れはいいかもしれないですが、真似しちゃだめですよ!(誰がするかよ
    それでも格好いいと言って頂けるのはうれしいです、ありがとうございますー!

    続きは気長にお待ちください~!

    2009/09/17 19:09:45 From  つんばる

  • userIcon

    ご意見・感想

    こっそりによによしている西の風が通ります。
    このオリジナルマスターのお二人の行く末が楽しみで仕方ありません。作品内のコラボもどうなるのかわくわく。

    晶さんは何だかそのままで良いと思います(待
    上手く表現できない自分がもどかしいのですが、…歯切れが良いというか、ありのままというか、変に取り繕ってない辺りが格好良いなあ、と。うん、やっぱり晶さんの形容詞は「格好良い」ですね。

    続きもゆっくり待たせて頂きますーっ。

    2009/09/16 23:19:01 From  西の風

オススメ作品10/19

もっと見る

▲TOP