クリスタル・メロディ Chapter1-2

投稿日:2019/05/23 20:13:07 | 文字数:1,800文字 | 閲覧数:8 | カテゴリ:小説

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個人サイトでも連載中のボカロさん達のファンタジー小説。

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Chapter1-2

ムジカシティ郊外の丘の上にある、一見すると教会のように見える建物。
それこそがミク達の住む家だ。
古いけれど、中は広く快適で、一年を通して過ごしやすい良き住まいである。
のんびりとしたペースで、緩やかな坂道を登っていくミク達。
その耳に微かだが、エンジン音が聞こえてきた。一同が一斉にくるりと振り返ると、
漆黒のシャープなデザインのバイクに乗って誰かがこちらへ向かってきている。
「あ…!!」
ミクとリンが瞳を輝かせ
「まあ…!!」
とルカが嬉しそうな声をあげた。
レンも何か納得したように頷く。
騒音を立てず、一定の速度を保ちながらバイクを乗りこなしていた人物が彼女達の近くで一旦止まると、ヘルメットを取った。
浮世離れした、透き通るように清らかな雰囲気を纏う者だ。
すらりとした長身に、神々の彫刻の如く整った凛々しい目鼻立ち。太陽の光を思わせる色彩の長い髪は眩しく、
柔らかな睫毛の奥の瞳は、どんなに晴れた空も南国の海もかなわぬほど澄んだ色に輝いている。
「みんな、おかえり。それとただいま」
凛とした、しかしどこか甘くふわりと心を包み込むようなハスキーボイスが響いた。
「リリィちゃん!!」
「おかえり~!!」
「あなたも帰ってきたのね」
ミクが人懐こい子犬のように、リリィに駆け寄り、リンやルカもにこにこしながらそれに続いた。
彼女も幼い時にマスターに引き取られ、ミク達と共に育った1人だ。
普段は都市部の学園に通いつつ、街の人々から寄せられる困ったことや、悩みの解決への助力、手伝いを請け負う何でも屋として
働いている。
「今日は思っていたより早く終わったんだ」
「あら、そうだったの。確か、明日の図書館の読み聞かせ会の準備と練習だったわね」
ルカの問いかけにリリィが頷く。
1週間前、出る予定だった司書の1人が風邪を拗らせてしまったため、読み聞かせ会が終わるまで助っ人に入ってくれるよう
図書館の館長から彼女に依頼が来たのだ。
「ああ。館員の皆さんと懸命に取り組みつつ、楽しみながら出来た。明日の読み聞かせ会も、来てくれた人たちみんなに喜んでもらえたら嬉しい」
リリィの口元がほんのりとほころび、澄んだ瞳が優しく輝く。
普段はポーカーフェイスや、常に落ち着いた佇まいから、クールな印象が強い彼女だが、
実際のところは愛情深く純真なのが本質なのだ。
「必ずそうなるわ。だって、あなたが一生懸命なのずっと見てきたもの」
ルカがリリィに向けて、まるで天使のような微笑みを浮かべる。
頬は淡い桃色に染まり、彼女を見つめる空のように優しい色の瞳はきらきらと輝いていた。
ミクやリンも「そーだよ!!」「ルカちゃんのいうとーり!!」と口々に言い、
レンも「だな」と飄々とした笑みを浮かべた。
「ありがとう、みんな」
リリィが柔らかな眼差しで、皆を見回した。
ふいに、何かを思い出したかのように、リンが彼女とルカの片腕を引く。
「ね、ね、そういえばさ、2人とも今日ご飯当番でしょ?夜ご飯なに作るの?」
リンが、リリィとルカに期待を込めた眼差しを向ける。
ミクも同じように、両目を星のようにきらきらと輝かせていた。
「今日は、パンと魚のムニエルよ」
「あと野菜スープとポテトサラダだ」
2人とが告げた献立を聞いて、ミクとリンが歓声をあげた。
「おお~!!」
「今日もおいしそう!!」
万歳をしながら、にこにこと笑い合う2人。
喜びに浸る2人を見つめ、リリィの瞳が再び優しげな光を帯びる。
そんなリリィとミク達の様子にルカも柔らかく微笑んだ。
「オレも手伝うよ」
レンが、軽く手を挙げた。リリィの瞳が瞬く。
「レン、昨日当番ではなかったか?」
「この前、リリィに代わってもらってただろ?だからそのお礼」
レンが微笑みを浮かべる。リリィも目元を微かに緩めた。
「レン、ありがとう。じゃあ、今日はよろしくな」
「ああ」
2人がパシッと互いの手と手を一瞬合わせ、打ち鳴らした。
その後、皆でゆっくりと坂を登り歩き(リリィはバイクを押しながら)今日の出来事を各々語り合う。
家にたどり着くと、3人の食事当番はすぐに夕食の準備を始め、ミクとリンはバスルームの掃除と、洗濯物の取り込みへと向かった。
沈みかけた太陽の温かい光が、ミク達の家もこの街全体も、ふわりと柔らかく包み込んでいた。
つづく

VOCALOIDさんが大好きな絵描き兼物書きです。よろしくお願いします。
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個人サイト(ボカロ小説連載中)→https://flowerfantasy.amebaownd.com/

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