僕の目の前の鏡の残像
僕と同じ黄色い髪の
二人きりのこの部屋で
忘れ得ない声を聞く

私を包む白を解(ほど)いて
愛しい君の眼前へ
微笑み私の名を呼んで
君は私を受け入れた

冷たい指先
そっと触れ合う
結んだ白が
秘密を産んで
僕は君になり
私は君になった

君がいた場所
落ち着かない椅子の上
白に潜んだ横顔には
優しく笑う眸が常に

慣れない君の仕草
秘やかに笑(え)む
言葉にしない誓い
僕はずっと君の側に

差し出された手
爪紅(つまべに)の指が触れた
隔てる椅子が
役目を印(しる)して
私は君になり
僕は君になった

鳳(ほう)の性を胎んだ少女と
凰(おう)の衣(ころも)を纏った少年
少女はその身に包帯を巻き
王座に座する少年に仕えた
ふたりの眸は合わせの鏡
同じ姿を映し出す
ひとつの体にふたつの性
ふたりの体にひとつの色彩
混ざり合っても
ふたりはひとつの色を持つ