とある街中の喫茶店。
俺たちはデートでよくここを訪れる。
席は彼女の御所望により、いつも道側の窓際だ。
今日はせっかくのデートだと言うのに彼女は今日も行き交う男性一人ひとりをチェックしている。
彼女はいつもそうだ。多分きっと、俺みたいなチビでガキなのより男っぽくて長身のほうが良いんだろうな・・・・。
「ねえリン・・・」
「・・・何?」
応答はしてくれるものの、相変わらずそっぽを向いている。ちょっとイラっときて頬を両手でしっかりと捕らえ、こっちを向かせる。
「ッ・・・何よ?」
「今日はデートだよ?なんで目合わせてくれないの?」
「別に?あたしがあんたとデートの間必ず目を合わせないといけないと言う義務はないでしょう?」
義務とかそういう問題じゃないと思うんだけど・・・。
しかし、彼女に理屈で返されては勝ち目は無い。
「そりゃぁ、義務はないけど・・・」
「じゃあ良いじゃない。放して」
彼女に言われては仕方が無い。俺は素直にリンを解放する。
「あたし、前にも言ったよね?」
「・・・」
「強制されるのは嫌いなの。基本自己中だしねー・・・」
「・・・・・・・って言うんだぜ!?どう思うミクオ!?」
「どうって・・・えー?」
ミクオは1学年先輩で、12年来の幼馴染でもある。なんてったって親同士が友達らしく・・・そりゃ14歳にして12年来の幼馴染も持つわけだ。ちなみにこいつも俺と同じく彼女持ちだ。相手はミクオより1歳年上のミクさんだ。
そういう事もあり、こいつには恋愛相談とかしやすい。場所は決まってミクオの部屋。俺から押しかけるのだ。
「はぁー、クオぉ・・・俺嫌われてんのかなー?」
「んー・・・それはちょっと被害妄想じゃないかな?」
「なんで?デートの時でさえも見てくれないんだぞ!?さすがに悲しいって!!」
「んー・・・でも、僕も最初そうだったよ?」
「んえ!?あのミクさんが!?あの賢そうで聡明そうで賢明そうなミクさんが!!??」
「“そう”じゃなくて実際そうだよ(イラッ)」
意外すぎてミクオの御機嫌をちょっとぶっ倒しそうになった。
ミクオはマジギレしたら本気でヤバいので取りあえず謝罪する。そして再び問い詰める。
「ごっごめん!!え、マジで!?なんで!?」
「そりゃぁ、簡単でしょ。だって僕のが年下だもん」
「ぅええええ!?そ、そんだけ!!??」
「うん。しかも、付き合い始めたのが去年だとはいえその頃はミクさんより僕のが小さかったしね」
俺はミクオの“小さかった”と言う言葉に過剰反応した。
「待てミクオ・・・それ言っちゃうと、要するに俺が小さいからいけないってわけか?」
「えー?大丈夫だよっ!レン充分大きいじゃん、リンちゃんくらいは全然イかせられるって!」
「そっちの話じゃねえよブォケッ!!!////何でそういう思考回路になるかな!!??/////」
「あ、ごめんごめん。違ったのね」
「全然違うわ!!」
全く、ミクオは勉強熱心で運動神経も良くて、今となっては見上げるような長身で、男なら誰でも憧れるようなイケメンなのに・・・どうしてかな・・・こういう話のときにチラチラ見せるエロ思考は・・・なんなんだろうか・・・しかもミクオは学校以外ではメガネ(黒ぶち)をかけてるのでそれが真面目ムードを醸し出して余計に信じがたい。
「でもまぁ、とにかく・・・先走っちゃ駄目だよ?レン」
「・・・うん。努力するけど・・・なんか自信無いなあ・・・」
「ははっ!女の子ってそんなもんだよ?1年以上付き合ってるミクさんでも、まだまだ分からないことは沢山あるもん」
「本当・・・?」
「ホントホント!急に怒ったり、泣いたり笑ったり・・・僕はいつも振り回されてばっかりだよ?でも今までもなんとかして乗り越えて来たから、お互い分かりあえることも多い。勿論、分かりあえないのも少なくないけどね?」
「ふーん・・・そんなもんなのかぁ・・・なんだか難しいな、恋人って」
「難しくするかしないかは、レン次第だと思うよ・・・?」
自宅への帰り道、ミクオの言葉がずっと頭の中で響いていた。
「俺次第、かぁ・・・・」
自宅に近付いたとき、俺は不意にさっきまで道路にあった視線を前・・・すなわち自宅のほうへ移した。すると・・・
「リ、リン!?」
なんと、リンが・・・リンが居たのだ!!その手には昨日俺が貸した傘があった。何故貸したかって?だってリンちゃんったら、天気予報でも雨だって言ってたのに傘持ってなかったんだもん☆
「ん。昨日貸してくれたの。ありがとう。助かったわ」
「あぁ・・・でもなんで?今日日曜日だし、明日で良かったよ?」
「そういうの嫌いなの。自分のモノでもない物をずっと手元に置くのは」
「まあ、そうだな」
「それだけ。返しに来ただけだから・・・じゃあ」
「うん。ありがとな」
とても恋人同士とは思えないような会話。いつだってそうなんだ。これがツンデレなのか本気なのか・・・知るのは怖い。リンの心はわからない。きっと、わかろうともしない自分が心のどこかに居るのだろう。こんな現実を逃避したいと思う自分が。
だけど・・・
「リン!!」
「・・・何?強制は嫌いよ?」
「明日!一緒に帰ろうな?」
「・・・・・・・・・」
言ったあああああああああああああああああああ!!!あああああああああああああああああああ!!言ったよ!!うわああああ!!うわあああああああああああああああああああ!!俺、鏡音レン!鑑音リンさんに初めて面と向かって言いましたわああああああああああああああああああああああ!!!
へ・・・返事・・・・;;;
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「気が・・・向いたらね」
「・・・うん!」
俺は軽い足取りで自宅へ入った!そして勢いよくドアを閉めた!!気のせいか?向こうに向き直るリンの頬が、少し赤かったような・・・って、俺まで赤くなってどうするよ!?おい!!あれは期待しちゃって良いのか!?良いってことなのか!!??うわああああああああああああああああああああ(ry
「・・・って、なったのに?何これ?リンさん来ないんですけど?え?マジで?」
俺が靴箱で落ち込んでいると、さっきからずっと横にいるテトが一言。
「アンタ嫌われてんじゃないの?」
「うるせえええええええええ!!人が傷心中のときに一番聞きたくねぇ言葉を言うんじゃねえ!!」
「うるさいのはアンタよ。馬鹿。つかリンは部活よ」
「そんな事くらい知ってるよ!!ふん!」
こいつの言う事なんか知るもんか!ふん!くっそ!どうして俺の周りは敵ばっかなんだ!?味方はミクオだけだよ!!あー・・・やだなぁ・・・。プンプンプンプンプンプンプンプンプンプンプンプンプンプンプンプンプンプンプンプン(ry
「何プンプンしてんのよ?子供みたいに」
「うるせぇ!どうせ俺はまだまだ子供だよ!」
こんなやつと居てもうるさいだけなので、取りあえず校門まで歩いてみる。するとミクオがミクさんと一緒に居た。
「お、レン!」
「おー・・・どうも」
俺は礼儀正しくミクさんに挨拶する。するとミクオがミクさんに俺を紹介してくれた。別にいらないけどねー・・・。
「こいつ僕の幼馴染でレンって言うんだ」
「へえ~クオ君のお友達なんて初めて!よろしくねレン君!!」
「あ、はい。こちらこそー」
取りあえず愛想笑いwwwだって本気で笑えるような心境じゃないんだもん!!
それにしても以外に威勢の良い人でビックリだ。もうちょっと大人しめかと思ってたけど・・・そうでもない。背丈は俺より4・5cm高くて、彼女が動く度揺れるツーテールが印象的だ。まあ、話してて楽しい人ではある。
3人で会話を楽しんでいると真冬の冷たい風が吹いた。
「ひょぃいっ!寒・・・」
「あ、俺何か暖かい飲み物買ってくるよ。ちょっと売店行くからレンよろしくね」
「あ・・・うん・・・・・」
ミクさんの様子を見たミクオは売店へ走って行ってしまった。こういうのが女の子には嬉しいのかな・・・?
ボーっとしていると、唐突にミクさんが口を開いた。
「聞いたよー?レン君。彼女いるんだってね~?」
「えっ!?だっ誰に聞いたんすか!?」
突然すぎて顔が熱くなる。まさかこの人にまで知られているとは・・・!!
するとミクさんが肘で俺の腕をついてきた。
「当然、クオ君からだよー。中2なのに、やるねえ!」
「い、いや・・・でも俺、まだアイツの事、何も分からなくて・・・」
「・・・・?」
「分からないっつーか、分かれない・・・みたいな・・・カンジで・・・・」
「・・・・・・」
「恋人とか、初めてだから、どうしたら良いのかよくわからなくて・・・」
こんな事言われても困るのはミクさんのほうなのに、この達者な口は回る回る・・・。でも、女の子の立場としてどうなのか、意見を聞きたいというのもあった。
「まあーそうねぇ・・・難しいよね恋人って」
「・・・」
「私たちも色々あったんだよ?でも今までやってこれたって事は、なんだかんだでお互い好きなのよ」
「聞きました。ミクオも最初は戸惑ったって」
「ふふっ、そう。そうなのよ!だから、別に不安がる事は無い。キミはキミの感じるままに彼女に接してみたら?そのほうが彼女も嬉しいと思うよー?」
なんだか、今まで背負っていたモノが一気にふっきれたカンジがした。多分、同じ女の子の立場としての意見を聞けたからだと思う。
「・・・そう、ですね・・・」
「うん!頑張って!」
ミクさんが俺の手を取り応援の言葉をくれたその刹那。聞き覚えのある、透き通るようなソプラノが風と共に俺の鼓膜を貫いた。
「・・・・レン?」
「リッリン!!??」
別に、やましい気持ちは無い。ミクさんに対してもリンに対しても・・・・だけど、俺の脳内では危険な状況にあると判断され、ミクさんの手を力の限り振り払った。
「部活・・・終わったよ?」
「あ、そう!そうかそうか!!」
「・・・早く帰ろう?」
「うんそうだね!帰る帰るー!」
いつにも増して速足なリンを追いかけながら、一応ミクさんに小さく一礼した。
・・・さて、リンさんの誤解を今すぐ解かねば・・・・
「リン・・・」
「・・・」
呼びかけてもいつものような冷たい応答は無い。
「リン!」
「ッ・・・・」
突然リンが走り出す。理由は分かってる。明らかに俺が悪いわけでは無いけど、罪悪感はとてもある。
リンは以外に足だけは速いのだ。男の俺でも少々キツイ。真冬なのに2人して全力疾走して・・・絶対死にそうに違いないのに・・・俺はリンの腕を力強く引き留めた。
「ちょっ、リン待って!!誤解だか・・・」
「ッ・・・」
「ら・・・・・・・・・」
言葉が詰まった。
喋れる訳が無い。
振り返るリンの目では、今にも零れそうな涙が瞳を濡らしていた・・・・
じゅぶなーいる☆僕等はまだまだ子供なだけ #1
はい。冬ナツです。小説放置しててすみませんでしたm(_)m
妄想は膨らんでも文章化とかwww難しすぎて 死 ぬ \^p^/
てなわけで、コンチータとポーカーフェイスは消しました。一応データ保存はしてあるんで、続きをちゃんと書いてから後程投稿したいと思いますm(_)m
ジュブナイルだよ。見事にJBFと同Pってことでビックリでした^^///
きっと伸び続けると信じてる!!シーズン過ぎたとか 言 わ せ ね え よ !!!
自己解釈っつーか、それを基に話組み立ててるってカンジもしますが一応
自 己 解 釈
です!!
よろしくお願いしますm(_)m
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