【小説】サーチライト 7

投稿日:2010/01/16 22:38:48 | 文字数:2,125文字 | 閲覧数:68 | カテゴリ:小説

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後半戦。本当はかなり長い旅の話にして、他社とか亜種とか出そうかなーと思っていたのだけれど、結局最短コースにまとめることにしました。

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「わぁ……すごい」

 フードを深くかぶったまま、ミクは感心する。街と呼ばれるような場所に訪れたのは、久々だ。その活気に、人の気配に、圧倒される。

「すごいすごい!」

 隣にいるリンは、呆れるほど元気だ。そんなリンの首根っこをつかまえて、ルカがつばの広い帽子をかぶせる。

 リン自身の過去も分からないし、レンの関係者である可能性もまだわずかに残っている。三人ともフードというのもそれはそれで怪しいため、リンには帽子をかぶせることにした。それも、ミクお手製の、とても女の子らしいデザインの。
 この帽子ならば、自然に「リンが女の子である」ということを強調できる。リンはどこからどう見ても女の子だけれど、仕草や口調や表情に男勝りな部分があるから。男だと勘違いされた場合、ミクと出逢ったときのように、レンに間違われる可能性がある。
 それはそれでレンを捜すための最短距離になるかもしれないのだが、危険すぎる。

 まぁ、レンがどのくらい有名で危険な存在なのか、ミクは知らないのだけれど。壁も鉄格子も無効化してしまえるような魔族なのだから、指名手配くらいされていても不思議ではない。

「ここに何日くらい滞在するんですか?」

 リンは、ある程度落ち付いてから、そう訊いた。

 街の近くには魔族の集落がある。
 だからとりあえず街に来てみたわけだが、これだけ大きな街では、小さな失敗が原因で魔女狩りに遭うことも考えられる。
 慎重にいかなければ。出来れば、誰にも顔を覚えられないくらい短時間で、有益な情報を得たいところ。

「泊らないよ。そんなことしたら、顔を覚えられないわけないから」

 ミクは答え、訝しげにしているリンに、耳打ちした。

「これからね、裁判所に行こうと思うの」

 リンは絶句する。
 裁判所。それは、決して公平な機関ではない。神の名の元に、異教徒と「魔族」を、ありとあらゆる「神の摂理に従わぬ存在」を、「悪魔」だの「魔女」だのと呼んで片っ端から拷問にかけていく機関だ。
 それは、ごく普通の一般市民が「正義」と呼ぶような、閉塞的な社会の中で絶対的で盲目的な破壊活動を生みだす原動力となる。

「裁判所って……ミクさんだって賞金首なんでしょう!」

 小さく絶叫したリンの言葉をきいて、ルカも唖然としてミクを見る。どうやら、ルカも聞かされていなかったらしい。

「でもね、私はまず、自分がどれだけの賞金をかけられているのか知りたい。そして、レンが賞金首とか指名手配犯とか、そういうことになってるのかどうか。それによって、この後の旅も違ってくるから」

「ミク。この街は、私たちの集落からかなり近い。徒歩でも五日あれば着くほどだ」

 ルカは、小さな声で、しかしはっきりと、ミクを威圧するように言った。

「この場所でお前が見つかれば、集落も見つかる可能性が高い。そこまで考えた上での行動なのか?」

 リンは、おどおどと二人の顔を見る。ミクは、しっかりとルカの目を見返す。

「ルカだって分かってるでしょう? この旅がどれだけ無謀なのか。私も、リンと会って、落ち付いて考えて、嫌というほど分かったよ」

 ミクの瞳に迷いはない。

「私はレンのことを何も知らない。悔しいけど、私よりもレンのことを知ってる人が、裁判所には多分いる。あそこに情報があるのなら、行くしかない。手段を選べるような状況じゃない」

「それは分かってる。でも、」

「他の街ならいいの? 他の集落なら犠牲になっていいの? そういう風に考えるのも、仕方のないことだと思う。だって、私もあの場所が他のどの場所より大事だもん。どっちか選べって言われたら、間違いなく他の場所に犠牲になってもらうもん。でも、そういう風に考えてるうちは、レンには辿りつけないと思うの。奇跡なんて起こせないと思うの」

 ルカは頷く。別にミクも、ルカが「他なら犠牲になっていい」と考えているとは思わない。だけど、一番大切な場所があって、そこだけは犠牲にしたくないと思うのは、当然のこと。皆同じ。

「でも、奇跡を起こしたいとか、どうしても旅をしたいとか言いだしたのは私。レンにどうしても逢いたいなんて、許されない我がままを言い出して、集落の皆を危険にさらしているのは、勝手な私一人。ルカじゃない。だから、ルカには、私を集落に引きずり帰る権利がある。この旅をここで終わりにする権利がある」

 引きずり帰る、とミクは言った。それは、どんなに説得されようとも、ミクがこの「我がまま」を終わりにするつもりはないということ。それと同時に、ルカに実力行使されれば敵わないということも分かっているということ。
 ミクには癒しの歌声がある。敵から大切な人々を守り抜く魔力がある。だけど、一対一でルカの剣と戦うには、どう考えても魔力では分が悪い。

「選んでいいよ。でも、ここで選んだら、その後はそれを貫いてよ?」

 まるで年上のように――実際年上なのだが――ミクは微笑む。女神のような笑顔。
 どれくらいの時間が経ったのか、ルカは溜息をついた。

「分かった。間をとって、私が裁判所に行ってこよう」

とりあえずいろんなことに手を出しまくってる鏡音廃です。巡音も買ったようです。

マイリス→http://www.nicovideo.jp/mylist/18736642

オリジナル曲の二次創作・派生作品等は、ボカロやPIAPROの規約の範囲内でご自由にどうぞー。

小説の更新が滞ってますが、プロットはちゃんと出来てますよ><

http://hozue.blog-fps.com/

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http://v-nyappon.net/?m=pc&a=page_f_home&target_c_member_id=12234

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2010/2/17 追記
HNを秋穂(あきほ)から穂末(ほずえ)に変更しました!

2010/7/18 追記
ニコ公開三曲目となる「水鏡プリテンス」で、P名を頂いてしまいました(ありがとうございますっ)。

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一応、お仕事やコラボのことに関して書いておきますね。以下の文章は、状況によってコロコロ変わります。

現在、曲・絵の新規依頼は受け付けておりません。交流のある方(複数回のメッセージ交換が目安)からの依頼ならば検討しますのでご一報お願いします。
作詞ならば依頼を受け付けられますが、依頼理由はきちんとお書きください。

一つの作品を仕上げるまで根気強く手伝ってくださる(ここ重要)絵師さん、動画師さんは常に募集しています。
また、作品ごとにイラスト募集を(突発的・〆切あり)することがあります。

コラボはお互いに本気じゃないと自然消滅するだけですので、やるなら本気でやりましょう。一報したうえでの延期・降板は受け付けますので。

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