耳に響くうるさいチャイムとともに、給食の時間になった。私の学校はスクールランチが出ているため、嫌いなものがあっても頼まなくてはならない。今日の給食は案の定、私の嫌いなものが給食にはいっていた。
リンとともに食券を握りしめて席を立つ。リンはまじまじと、私を見てきた。
「ミク、今日は苦手なピーマンだよ」
「う、うん…わかってる…」
給食を取りに行きたくないのだが、仕方がない。それにいつも私の分のピーマンを食べているのは、自分自身ではないのだ。隣でニヤリと笑う一人の男。
「おい初音、今日の分のピーマン、俺によこせよ」
ピーマンが大好きだと豪語する、カイト君。彼とは三年生からの知り合いだ。三年生になってから転校してきたのだった。彼は<うるさい男子>グループにも、孤立している類にも属していない。男子とも程々にしゃべっているし、私とだってしゃべる。毎回の席替えでなぜか彼とは近くなっていたため、いつの間にか私の嫌いな食べ物も把握していた。
「うん……っていうか、ピーマンのどこがおいしいんだかわからないわ」
「ったく、食べもしないで言われちゃ困るぜっ」
自分で何か劣等感のようなものを感じつつ、少しの抵抗気なものを試みたが特に大きな反応はしなかったカイト君。そんなやり取りが終わると、私の学生服をちょこちょこと何かが引っ張った。
「ねぇミク、もうこんな時間だよ。早く行かないと小盛り取られてなくなっちゃうよ」
リンが時計を指さしながら私にそう言ってきた。
「そうだね。じゃ、カイト君よろしくっ」
「おうっ、早く行ってこい」
カイト君にひとつセリフを残すと、席で足を組みながら右手を挙げた。

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嫌いなピーマン②

閲覧数:70

投稿日:2010/07/30 16:51:12

文字数:693文字

カテゴリ:小説

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  • かたつむり

    かたつむり

    ご意見・ご感想

    カイトのくせに、
    いい役とりすぎだ!!(笑)←

    2010/08/03 14:14:07

  • かたつむり

    かたつむり

    ご意見・ご感想

    おわ、カイトがこんなカタチで登場するとは^^
    続きが気になります。

    2010/08/03 14:08:00

    • 初音ミミック

      初音ミミック

      コメントありがとうございます^^
      たまにはカイトもいい役にww

      2010/08/03 14:09:24

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