――トリック・オア・トリート。

  あなたが選ぶのは、お菓子か、イタズラか。

  …?何、これだけしかくれないの?

  ならば…
  








<<【コラボお題】trick or treat――?【ハロウィン】>>










「兄貴ー!」
「グミ!」

グミが俺の姿を発見するなり、こちらに駆け寄ってきた。
そして――

「お菓子をぉぉぉぉよぉぉこせぇぇぇぇぇ!」
「ぐはっ!?」

俺の鳩尾に蹴りを入れてきた。

「いきなり脅迫して暴力!?」
「えぇ?脅迫じゃないよ、兄貴」

グミは手を出してきた。

「トリック・オア・トリート!兄貴、お菓子寄越さないとぶん殴るよ☆」

ああ…ハロウィンか。
でも後半、ちょっと脅迫入った気がするんだけど。

「ああ…はい、お菓子」
「やほーい!仕方ないなぁイタズラは免除しよう。残念…」
「あきらかに俺をいじめようとしたけどあきらめた発言したよなお前!?」

グミは足早に遠ざかっていった。

「まったく…」

俺は自分の家に戻った。













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深夜、俺は自分の家にいる。
ドアをノックする音がする。

玄関のドアを開けると、帽子を深く被った子供がいる。
そして手を差し出して言う。

「trick or treat」と。

子供に菓子を与える。
すると、子供は

「…コレダケナノ?」

そう言い…‘何か’を突き刺す。

突如、身体に痛みが走る。
床に滴るは俺の…

「…フフフ」

子供の顔が見える。
そこには―――









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俺は目を覚ます。
なんだ、夢か…

今は夜8時。
さっきは、うっかり寝てしまったようだ。

ま、ワイン二本も飲んだしなぁ…


俺は新聞を広げる。
今日の新聞、読むの忘れてたし。


すると、俺のケータイが鳴る。





ピッ





「はい、もしもし?」
「―くぽさ…助け…イ、いやぁ――!」


ガチャっ…

ツー…ツー…ツー…



「なんだ?」


誰からの着信かを確かめると


[To・ミク]



「…?」




なんだったんだ。今の電話は。


もう数分すると、また誰かから着信が。


「…はい?」
「がっくん…願い、…げて…」
「…リン、どうした?」

受話器の向こうには、ひどく掠れたリンの声。


「あたしは…う…目……の子供に…意し…」


そして、切れた。


「…なんなんだ、今日は?」


二人とも、どうしたのだろう。
嫌な予感がする。


そして…また着信。
二度あることは三度あると言う。
つまり、…かかってくるのは、同じ内容?


「はい」
「がくぽさん…帽子の子供の悪戯に…注意して!」
「どうした!?」
「‘夢’が…」

ザシャァ…


プツッ


まただ…また、同じ内容…
共通しているのは…三人とも、何かから逃げていること?
そして…レンは、‘夢’と言った…

着信履歴を見てみる。


ミクの前にはカイトが、カイトの前にはメイコが電話をかけたようだ。


ふと、俺は思った。


次に‘何か’から逃げることになるのは…俺なんじゃないか?


電話をかけてきたのは、順にメイコ、カイト、ミク、リン、レン。

これは――俺たちがVOCALOIDとなった順番。

もしこの次に狙われるなら、俺のあとに、ルカ、グミ。


それに、レンからの電話は…嫌な音もした。
そこから推測すると…




――みんなが危ない!


ケータイで、ルカに電話しようとする。

その時だった。




トントン




ドアをノックする音がする。



俺は恐る恐る玄関のドアを開ける。

そこで、帽子を深く被った子供が、手を差し出して言う。


「trick or treat」



そういえばハロウィンか。
菓子を与える。



「…コレダケナノ?」




―!?
これ…まさか…

俺はあの夢を思い出し、逃げる。

走りながら、ルカに電話をかける。


やばい、あの‘夢’、もう追いついた。
速さが人間ではない。


「…もしもし、どなたですか?」
「ルカ、危険だ、逃げろ!」
「え?どういうことですか!?」
「‘夢’という、深く帽子を被った子供に――」


突如、身体に痛みが走る。
俺はケータイを落とし、倒れる。

俺の左胸から――…


「フフフ…」


まさか、正夢になるとは、思ってもいなかった。
狂ったように笑う、子供の顔が見える。
そこには――


「ヒトって、なんでこんなにカンタンに、壊れちゃうのかなぁ?ツマンナイヨ?」


まるで般若の面を被ったような、狂った笑顔があった。


「‘夢’(ボク)は、ツマンナイヨ」



…なんなんだ。この感じは。
俺の意識は遠ざかる―――





+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+




trick or treat。

手元には、二枚のカード(選択肢)

「お菓子」か「イタズラ」か。

でも、狂った‘夢’には、どんな量のお菓子を与えようが

死ぬ運命は免れない。


その‘夢’は、今日も狂ったように笑っている。


ハロウィンの夜にお菓子をもらって楽しく回るのもいいですが、

もしかしたらその中には‘夢’が混じっているかもしれません。

その夢は、今あなたの家に向かっているかもしれませんよ?



ほら、「trick or treat」と言っているのが聞こえませんか――?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【コラボお題】trick or treat――?【ハロウィン】

「二択でも、答えは一つ」


すみませんでしたorz
病んでる。

雰囲気としてはこちらの曲↓
[【鏡音リンレン】trick and treat【オリジナル曲】]
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5094908
[【鏡音とがくぽ】バイオレンス・ハロウィンパーティ【オリジナル】]
http://www.nicovideo.jp/watch/nm12568896

閲覧数:1,660

投稿日:2011/10/31 21:57:09

文字数:2,506文字

カテゴリ:小説

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  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    結末はわかってた……
    わかってたけど、そこへのもっていき方が、並じゃないのがゆるりーさん

    そして、読み手も参考になる何かを得ることができるのが、ゆるりーワールドか……

    2013/06/27 02:09:03

    • ゆるりー

      ゆるりー

      こういう結末が推測できるような、ベタ(?)な展開が好きなんです。
      並というか、結構雑ですよねw
      常に急展開といいますか、切り替えが急すぎるといいますか…w

      ゆるりーワールド…基本的にgdgdとその場のノリと辺なテンションで構成されるものだと、私自身は考えています←
      さ、参考…だと…(ガタッ

      2013/06/27 14:49:31

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