オリジナルのマスターに力を入れすぎた結果、なんとコラボ(2人)でお互いのマスターのお話を書けることになりました!
コラボ相手は、カッコいい素敵なお姉さんの生みの親、つんばるさんです!
上記の通り、私とつんばるさんのオリジナルキャラ(マスター)が登場します……というか、マスター(♂)×マスター(♀)です。
そして、ところによりカイメイ風味ですので、苦手な方は注意してください。
おk! という方は……。
(つ´ω`)<ゆっくりしていってね!>(・ω・春)
*****
ミクは、一向に泣き止む気配がない。
困った末、俺は彼女を練習部屋へ連れ込んでゆっくり話を聞く事にした。
「寒かっただろ、これでも飲んで落ち着け」
「すみません……ありがとうございます」
俺からマグカップを受け取って、ココアを一口飲むと、ミクはまた小さくしゃくりあげた。
VOCALOIDも泣き癖がついたりするのだろうか。そんな事を考えながら、俺は彼女を見つめていた。
―Grasp―
悠編 第十話
ミクが落ち着いてきた頃を見計らって、俺は腕を組む。
赤く腫れた目元が痛々しいが、それとこれとは話が別だ。
「……それで?」
思いのほか厳しい声が出たが、俺はさほど気にする事もなく、立ったままミクを見下ろしていた。
寒い中、歩いて帰ってきたのは、大変だっただろうと思う。が、それを理由に甘えられては困る。
事情はしっかり聞かせてもらわなければ。ミクもその事はわかっているはずだ。
「ちゃんと説明してくれるんだろうな?」
「はい……」
弱々しくそう応えて、ミクは小さく頷く。
マグカップを持つ彼女の両手に、力がこもるのが見てとれた。
「……お話をしに行ってたんです」
「誰と」
「その……アキラさんと」
その言葉に、一瞬息が詰まりそうになるが、すぐに持ち直した。
まったく予想しなかったわけではない、が、まさかと思っていたから驚きはした。それでも、俺の目が細められたのを見て、ミクが身を縮める。
「話って、何を」
「あ、あの……私……」
言い澱む彼女を、俺は何も言わずにじっと見据える。
しばらくして耐えきれなくなったのか、うつむいて、蚊の鳴くような声で言葉を紡いだ。
「なんで、マスターに答えを返してあげなかったのかって……」
「……ったく、余計な事を」
「ごめんなさい、でも私……あんなマスター、見てられなくて、それで……!」
溜め息混じりの俺の声に、ミクがまた泣きそうな顔をする。
参ったな、泣かせたいわけじゃないのに。
「アキラとの事は俺の問題なんだ。ミクが無理に頑張らなくていい」
「ごめんなさい……」
「そんな顔をするな。……もう怒ってないから」
床に座っている彼女の目線に合わせるために、しゃがんで頭をなでてやる。
「悪かった。心配かけたな」
少々乱暴な手にも、構わずにミクは唇を噛む。
アキラのところへ行って、泣きながら帰ってきたという事は、言い負かされでもしたのだろうか。
あいつは口が達者だからな、と思うと同時に、ならば何故あの時はあんなに取り乱していたのかと、疑問に思えてしまう。
「……アキラさんは、馬鹿です」
「そ……そうか……?」
ぼーっと考えていた時に、不意にミクが呟いた言葉に、俺は度胆を抜かれる。
アキラを馬鹿と言い切るか。本当に、何があったんだ。
「私はアキラさんの事を、何もかも知ってるわけじゃありませんけど……それでも、わかるものをわからないフリをして、逃げ回るなんて……大馬鹿だと思います」
「ミク……?」
「マスターだってそうですよ」
どこか恨めしげな目を向けられて、ぎくりとする。
……否定できない。
アキラへの気持ちは、前から感じていた。
ならば何故気付くのがこんなに遅れたのか……簡単な事だ、気付いてはいたが気付かないフリをしていたからだ。そんなわけがないと、無意識のうちに切り捨てて、逃げ回っていた。
「逃げたって何も解決しないんです、どんどん向き合うのが先延ばしにされて、辛くなるだけなんです、なのに貴方たちは……」
「……逃げねえよ」
俺の声に、ミクは顔を上げる。
「そもそもこれは、俺個人の問題なんだから……逃げられるものじゃないよな」
「……はい」
安堵したように、ミクはようやく笑顔を浮かべた。
そんな彼女に、俺も微笑を返して、そこでふと思い出す。
「そうだ。ミク、俺のUSB知らないか?」
「はい?」
「USB。見つからないんだよ、コラボの曲が入ってるってのに……ミク?」
コラボの曲、と口にした瞬間、ミクの笑みが凍り付いた。
「マスター……」
「どうした?」
「あの……ごめんなさい、置いてきちゃいました」
「……はぁ?! おま、まさか……!」
「しーっ、声が大きいですよ!」
思わず声を上げた俺を、ミクが制する。
そうだった、ミクの他のVOCALOIDたちは、皆眠っている。起こしてしまっては申し訳ない。
すまん、と一言謝ってから、続ける。
「置いてきたって……アキラのとこにか?」
「すみません、ちゃんと持って帰ってくるつもりだったんですが……その……ついうっかり、といいますか……」
USBなんか持っていって、どうする気だったんだ。
そう思わなくもなかったが、俺の思考は別の事に集中していた。
「……いや、好都合だ」
「は……?」
「堂々とあいつの家まで行く口実ができた」
目をぱちくりさせるミクに、俺は笑ってみせた。
「言っただろ? これは俺の問題なんだ」
「マスター?」
「……俺が、ちゃんと決着をつけに行かないとな」
それを聞いて、ミクの表情が徐々にほころんでいく。
「その意気です」
彼女の言葉に頷きだけを返して、そろそろ寝ろと指示する。
大人しく従って立ち上がる彼女に続いて、俺も部屋を出た。
……そう、俺が、自分の力でなんとかするしかない。わかってるさ、そんな事は。
胸の内でそう呟いて、部屋の明かりを消した。
【オリジナルマスター】 ―Grasp― 第十話 【悠編】
実は前からこっそりそういう事を考えていたんですが、なんとコラボで書ける事になってしまった。
コラボ相手の方とそのオリキャラさんが素敵すぎて、緊張しております……!
わっふー! どうも、桜宮です。
悠さん、決意を新たにする、の巻。
ミクちゃんとの会話が多いですねー……今回、一番頑張ってるのは彼女なのかもしれません。
ところで、横隔膜に泣き癖がつくと、すごく苦しいと思うのですが←
さて、また悠さんとアキラさんが会ったときに、どうなるのか……。
次回、乞うご期待!
……うん、一回言ってみたかったんです、それだけなんです……!←
アキラ編では、後輩さんが色々考えているようですので、そちらもぜひ!
東雲晶さんの生みの親で、アキラ編を担当しているつんばるさんのページはこちらです。
⇒http://piapro.jp/thmbal
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桜宮 小春
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銀翼 紫苑さん>
はじめましてー!
ピアプロに入ってなかった頃からとは、嬉しいお言葉! ありがとうございます!
悠さんがなんだか人気のようで、私の方がびっくりしてます(笑
次も頑張ります、待っててくださいねー!
2009/11/28 14:17:04