闇翻し 刃躍らせ
躊躇い傷が また刻まれる
その切っ先の 惑い揺れるは
貴様の胸の 映し鏡か
『愛しい人』と 触れた指先
偽る姿 初めての嘘
この唇で 罵ってやろう
「貴様はなんと 弱きものか」と
一目見るなり 心奪われた
幼く無垢な その澄んだ色
穢せはしない この汚れた手
触れることなど 許されはしない
その鈍らで この胸を突け
抉り広げて 千千に引き裂け
この手足なぞ 無くとも同じ
その目を閉じて 今すぐ貫け
光閃き 刃躍らせ
刃先はついに 首を捉える
見据える瞳 涙を浮かべ
貴様の方が 命乞いなど
『愛しい人』と 撫でたその髪
犯した禁忌 下される罰
この唇で 伝えてやろう
「この命など 惜しくは無い」と
二度逢えば 心を失くす
全て奪われ 我を失う
解っていても 傍に居たいと
願うことすら すでに大罪
その鈍らで この首を刎ね
二度と開かぬ 柩に捨て置け
この頭さえ 封じ込めれば
黒い翼も 羽撃きはしない
『愛しい人』と 触れた唇
それは幻 優しいその嘘
ただ君だけは 穢さぬように
最期の日まで 貫いた嘘
我は誇ろう 旅立つ先に
この現世で 唯一振りの
優しき刃 その鈍らで
ただ一人散る 弱き妖と
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