―本当は、思い出しているくせに
何の事だよ。
―拒んでどうすんだよ。
だから、何が?
―何時までもたらたらしてねえでもう終わらせようぜ。
これは自問自答なのだろうか?
でも、確かにこのままじゃいけないという気がした。

―3章5頁目

「何かが欠けてる・・・」
「・・・?メイトさん?」
 思い出せそうなのに、それが何か分からない。
 レイがマスターでそれを俺が忘れていたなんてオチなのか?
 いや、それにしてはおかしい。
 起動してからの記憶は全部ある。
 マスターにレイはいない。
 なら何がどうなってるんだ。
 きっと思い出すのを放棄してはいけない、それは逃げてる気がする。
「レイ、多分俺達は外で会ってる。それが思い出せそうで俺には思い出せないんだ。」
「…外の事はやっぱり思い出せません。」
「何か、何かないのか・・・!」
 不意に、小さな音楽が聞こえる。
 どこかで聴いた事があるような歌。
「な!王様!?」
「ラスボスが出向くゲームが何処にあるんですか。」
「ごめん。でもお城暇で…進展なさ過ぎて。それに、二人はここで終わりだよ」
 歌を紡いでいるKAITOはベージュの帽子にベージュのマント(コート?)をきていた。
「笛吹きさんみたい―」
「笛が無い笛吹きさん」
「笛吹きさんのコスプレ―」
 二人がくるくると回る。王様と呼ばれたKAITOの周りを。
「レイさん、この世界のエラーで記憶が飛んでしまっていたようです。すいませんでした。記憶を届けに来ました。」
 そう言うを彼は歌い出す。跳ねるように、踊るように、楽しげな歌声が響く。
 音楽がきっと好きなのだろう。歌を本当に楽しそうに歌って居やがる。
 その歌でどうしようもない眠気が襲った。意思に反して意識を手放しかける。
 先に崩れたのはレイだった。とっさに受け止めると、その場で座り込んで寝てしまった。



「目戸!目戸!」
「何だよ麓。」
「家だよ!ここで暮らせるんだよ!」
「そうだな。此処で二人でずっと一緒だ!」
 レイのロケットで見た男女二人組。
 騒いでいる場所は
―家だ・・・!?
 今、俺が住んでいる家。しかもまだ新築。
「ごたごたを片付けたら帰って来るから、それまで待っててくれないか?そしたら、結婚しよう。」
「・・・!」
 レイのような人が頬を染めて口元を両手で隠す。
「じゃあ、行ってくる。」
 そう言って歩き出した男がこちらに気付いた。
 呆然と立ち尽くしてる俺は不審者でしか無いだそうな…。
「で、いつまで待たせるんだ?」
「・・・え?」


 其処で夢が途切れた。
 歌が止んでいた。
「お兄ちゃん、レイさん、有難う。また会えるかは解らないけど、楽しかったよ。」
 王様がはかない笑みでそう言うと何処かへ消えていった。
「・・・め・・・・と・・・さ・・?」
「ああ、レイ。起きたか?」
「私・・・」
「気絶した、みたいだ。」
「とても、懐かしい夢を見た気がするの。」
「その続きは外で話そう?きっとおれも同じ夢を見たはずだから。」
 思い出した。
 俺は彼女を待たせて…。
「ええ、いきましょう。」
「王様が隠し通路作ってくれたよ。」
「よかったね、クリアおめでとう。」
「裏技だけどね。」
「結果よければすべてよし、でしょ?」
「そうだね。それじゃあ・・・」
『お幸せに』
 2人が地面の隠された扉を開けた。
「ありがとう」
 礼を言うと俺は麓と一緒に其処から出て行った。行先は光…






あるところに結婚を反対されたカップルがいました。
そんなのはよく聴く話。
でもそこから先が違う。
結婚をするため親を説得しに行った男は途中で事故に遭います。
それでも家に帰りたくて、彼女に会いたくて。
そんな時、一人の女性が声をかけてきました。
『アナタの恋がまだ叶うのならば、私はこの体を喜んで貸しましょう。私の恋は彼の手で終わらさせられてしまうから…その後の人生なんていらない。記憶(わたし)が消えたらこの体は好きにして。』
それは研究者に恋したVOCALOIDでした。
 男は喜んで彼女のいなくなった後の体を借りる事にします。
 しかし、男は知らなかったのです。
 彼女もまた、事故で無くなっていた事も。
 其処からかなりの月日が流れていた事も。
 しかし彼女は待ち続けて居ました。来るはずのない彼を。
 ある日、彼女は諦めて消えてしまいました。
 皮肉なことにそのあと彼は来たのです。
 なんとしても合わせてあげたいと思う男が一人。
 彼はハッピーエンドが好きなのです。
 そんな時、チャンスが巡ってきました。
 王様に協力する代わりに彼は一つ約束して欲しいといいました。
 その二人を合わせてほしいと。
 王様は事情を知りませんが、離れてしまった人たちならば会わせてあげたいと思いました。
 それをするために国を作ったのですから。
 男から歌を一つ受け取って、王様は王宮をこっそり抜け出しました。
――しかし、男は少し後悔することになるのでした。王宮を離れさせるべきではなかったと。

この作品にはライセンスが付与されていません。この作品を複製・頒布したいときは、作者に連絡して許諾を得て下さい。

「亜種・」手のひらサイズの彼1.5[崩壊注意] 第3章5頁目

止まっていた冒険。しかしそこは寄り道ではなく彼の終点<ゴール>であった。

はい、なんか収集結局付かなかったんです。
待たせすぎだろうと言う事で直りきって無いままですいません。
何時かすっきりした話にリメイクしたいなあ・…。
ちなみに今本部でも(大分止まってますが)リメイク作業中。
散らばった規格の話が時系列純にすべて並ぶ・・・はず。
http://blogs.yahoo.co.jp/tagodennsetu
放置は仕様です。皆ツイッタ―で遊びだしたので・・・現実逃避大好き集団でスイマセン。
http://twitter.com/suraimup
ここで自分だったり違ったりする純チョコやうちの子もつぶやいてます。生存確認にどうぞ。

さあ、次はメイン組でごたごたするようです。

閲覧数:228

投稿日:2010/08/16 23:58:54

文字数:2,096文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました