〔字幕〕
この街にひっそりと語り継がれる
『百年桜』の云い伝え――
桜の老木の根元に
亡くした想い人の骨灰を撒くと
百年後、その桜に魂が宿るそうだ。
桜は再び巡り逢う日を待つかのように
百年、千年と鮮やかに花を咲かせるという。
A1(11 6-7 11 11)
春を迎え思い出す
遠い昔 交わした契り
命短し私の
桜に託した想い
B1(9-3 9-8)
今も目を閉じれば 浮かぶ
灯台の淡さと あなたの微笑み
S1(12 8-5 14 8-4)
百年先で逢いましょう
まだ約束には 届かない
この桜の下(もと)で待っている
いつまでも此処で 咲いてる
A2(11 6-7 11 11)
春に気付くと桜を
ふいに 想う 込み上げてくる
霞みかかる懐かしさ
恋にも似た愛おしさ
B1(9-3 9-8)
薄紅色の宵 照らす
ガス灯の光に 導かれたなら
S2(12 8-5 14 8-7)
“百年先で逢いましょう”
呼ばれた気がして 花嵐(はなあらし)
桜時雨(さくらしぐれ)の中 走馬灯
ずっと昔から 知っていたんだ
〔字幕〕
「私が死んだら、百年桜として埋めて下さい。
この命はあなたと永くは生きてゆけないけれど、
桜となってずっとあなたに春を告げるわ」
「けれど君が桜になる頃まで僕は生きてゆけないよ」
「それなら百年後、来世のあなたが逢いに来て。
来世のあなたが思い出せるよう、精一杯花を咲かせるから」
「ああ。ならば百年後、再び逢おう。きっと君を思い出そう」
「百年先で逢いましょう。約束よ」
S3(12 8-5 14 8-4 8-5)
百年桜逢えたなら
あの云い伝えに ない先を
私たち二人で紡いでく
これからも此処で 咲いてる
あなたを想って 百年と
百年桜
百年桜となって、あなたを待っている。
あなたを想って咲き続ける。
ずっと桜をテーマとした幻想奇譚を書きたいと思っていました。
mish,さんに「桜をテーマとした和風歌詞を」というお話とデモをいただき、長年抱いていた願いを叶えさせていただきました。
時代設定としては江戸(ほぼ幕末)~明治。
いろいろと当時の文化などを資料館や書籍で勉強したものの、今回は“幻想奇譚”ということで、具体的な職業などが出てることがなかったため、役立てることができなかったです。
よって専門知識の面での解説ができません。寂しいです。
直接テーマの参考にはしませんでしたが、
梶井基次郎「桜の木の下には」、夏目漱石「夢十夜」のうちの一夜目みたいなものをという意識はありました。
自分でストーリーを考えたかったので、オマージュ作品にならないよう考えて作りました。
ただし“百年”というキーワードであるとか、桜に灰を撒く→死体を埋めるという行為はこれらの作品で培ったものと言えます。
内容は先に述べました幻想奇譚。
そして最近研究中の“純粋(オーソドックス)でない恋愛もの”。
普通に同じ時間軸で、直接的な恋愛をするものでなく、少し捻ったものをやっていきたいと思っています。個性を持たせる、といいますか。
生前交わした“百年桜”の契りをめぐって、
時をこえた絆が、桜が二人をまた巡り合わせる。そんなお話。
最初は、ラストは「いつか来世は人としてまた結ばれよう」という願いを込めて終わるものにするつもりでしたが、そうすると「ずっと咲き続ける桜」の意味が薄れてしまうように感じて軌道修正しました。
「いつか人として二人は幸せになるだろうな」というのは、歌詞に書かれていないその先を、視聴者の方々が思いを巡らせていただければと思いました。
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