【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#05】

投稿日:2009/09/01 21:33:21 | 文字数:3,686文字 | 閲覧数:226 | カテゴリ:小説

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かいとは休みを貰ったって何していいかわからないに違いない、と勝手に・・・。
何か気付いたら彼女は疾走していました。あ、タイトルっぽい!(笑
この辺りは確か、相方宅のお嬢さん(小説内のオリキャラ)の話をしていました・・・というか主に自分が彼女に惚れてるだけです(笑
あとはHPNOTIQ HYPNOTICっていう短編を書いたんですが、それにこっそり出てきたお酒の話ですかね。
HPNOTIQがカイトなら、あかい酒はめーちゃんでいいんじゃないかな。
・・・どうでもいい話でした。

相方つんばるさんが書いている紅猫編も是非ご覧くださいませ。
もしよろしければ上で話した素敵なお嬢さんもいらっしゃるので、他のお話もおすすめします。是非!

+++

「紅猫編」を書いているコラボ主犯
つんばるさんのページはこちら → http://piapro.jp/thmbal

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TEXT
 

!!!Attention!!!
この度、ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、コラボ(二人)で書くことになりました。
自分が書く「青犬編」とつんばるさんの書く「紅猫編」に分かれております。
原作者様には全く関係なく、そして勝手な解釈もいいところで、捏造だろうと思われる部分もあると思います。
そういった解釈が苦手な方はブラウザバック推奨。
なお、カイメイ要素を含みますので、その点にもご注意ください。

大丈夫だよ!寧ろバッチ来い!の方はスクロールで本編へどうぞ。








【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#05】





 珍しく休みをもらった――実際のところは決して自分から欲してもらったというわけではなく、上の人に「毎日朝から晩まで働きすぎ。一日ぐらい休め」と無理やり休暇を取らされた――のだが、毎日働き詰めのせいで、家の中にいても何をしていいのかわからなかった。
 何故だかわからないが、今朝はいつもと同じ時間帯に同じように目が覚めたというのに、気だるさを感じていた。暑さにやられてしまったのか、少し痛む頭に顔をしかめながら髪をかきあげる。
 障子を開けてまだ白んでいる外を見ながら、ひやりとした畳にごろりと寝転がった。うつ伏せになって左頬をぴたりと少し毛羽立った畳に当てる。いつもの匂いがした。
「・・・・・・こんなことしてる場合じゃないのにな」
 本当なら俺は今もせかせかと働いているはずなのに・・・俺から仕事を取ったら、何もなくなってしまうじゃないか。
 めいこのために仕事をしているのが生きがいだった。それがなくなれば、俺は抜け殻みたいなものだ。
 ため息をついて目を閉じたところで、俺はふと思い立っていつもより重たい体を起こす。そういえばこういう時には必ず俺を励まそうとしてくれる相棒がいたことを思い出したのだ。あの健気なしぐれはどこへ行ったのだろうか。ついに愛想をつかして出て行ったのだろうか。俺が起きて障子を開け始めたら来るはずなのに、今日はその姿をまだ見ていない。
「出て行ったかな」
 最近は当たり前のように隣にいてくれたが、別に飼っているというわけではないし、しぐれ自身も俺に飼われているなんて思っていないだろう。
 このまま寝転んでいるわけにもいかず、頭痛を感じながら立ち上がり、まずは郵便受けを確認しに行く。もちろん昨日投函したばかりなのだから、まだ返事がきているわけがない。
 その考え通り郵便受けは空っぽで、俺の体の中にもぽっかりと穴が空いているようだ。いつもは仕事のことばかりでめいこのことは心の奥の方でしか思っていないが、こうして仕事から解放されるとめいこのことばかりが頭の中に蘇る。しぐれがいたのならもう少しはましだっただろうに・・・今にも駆け出して会いに行きたくなるほど、めいこのことしか思い浮かばない。かと言って、俺が彼女の元へ今すぐ行くことなど結局できないわけだが。
 考えすぎて沈みそうになりながら、冷たい水で顔を洗う。その後ゆっくりといつもの握り飯を縁側で食べて、そのまま空を見ていた。
「・・・犬一匹でこんなに変わるものなのか」
 ふと自分の隣に手を伸ばして、そこになかったあの感触を思い出して小さく笑う。
 ちくちくと刺しそうに見えて、意外にやわらかい毛並み。気付かないうちに寂しいと思っていた俺の傍にいて、その寂しさを和らげてくれたしぐれ。もう戻ってこないかと思うとやはり寂しいが、それが野良犬というものであるだろうから仕方のないことだ。
 彼女は自由に好きなところへ行くことができる。思うままに行動できた、昔の俺たちのように。
「自由に、自分の好きなところへ・・・好きな人のところへ・・・」
 自分で考えていたことを声に出すと、それは思ったよりも大きく耳に届く。
 もしも俺が野良犬だったなら、今すぐに迷うことなくめいこを探しに行けたのだろう。もしも俺が鳥だったなら、今すぐめいこのいるところまで羽を休めることもなく飛んで行ったのだろう。何度も何度も同じことばかり考えているが・・・実際は、そんなものになれない俺は、自分に自分で手枷足枷を付けてここに縛り付けられたつもりでいる。
 行こうと思ったなら、行けない距離じゃない。お金なんかなくたって、走って行けばいい。そう思っているのに、今すぐに行けない自分がわからなかった。
 彼女に見合う男になってからじゃないと会えないというちっぽけな自尊心。もしかしたら文通に付き合ってくれているだけで、もう俺のことなんてどうとも思っていないんじゃないかという不安。
 いろんなものが混じり合って、俺の中で靄となって渦巻いている。
「とりあえず・・・掃除でもしようかな」
 じっとしていると悪いことばかり考えてどんどん沈んでしまいそうで、履物を履いてそのまま外に出て、草むしりを始めた。
 自分の中にある不安なんかを引き抜くようにどんどん抜いていく。仕事ばかりで手入れしていなかったそこは、雑草がこれでもかというほど生い茂っていた。隅の方は蛇でも出そうな感じだったが、それに対する恐怖なんかはなく、汗を拭いながら草を引き抜く。
 それを抜き終わってからのことなんて考えていなかった。ただ、もやもやした気持ちを少しでも晴らしたかった。
 陽が出てくると体は汗でびしょびしょになったが、気にも留めずに草を引き抜いては雑草の山を大きくしていく。自分の家だけでは飽き足らず、気付けば俺は家を飛び出して、お世話になっている近所周辺の草引きまで始めていた。

 結局5件分の草引きを終えると、最後に草引きをした駄菓子屋のおばあちゃんが、気を遣って「お疲れさん」と少しだけかき氷を出してくれた。
 赤い液体をかけられた氷は涼しそうで、それが今まで人の家の草引きまでして思い出さないようにしていた彼女の影を思い出させる。いつでもどこでも本当に俺の頭の中はめいこのことばかりだ。
 シャリシャリと音がして、ひやりと冷たい氷が喉を通ってお腹に消えていく。頭が少しキンとした。
「・・・おばあちゃん」
「何だい?」
 駄菓子屋の前を通り過ぎる人たちを眺めながら、俺は無意識におばあちゃんを呼んでいた。
 今、俺は何を言おうとしていたんだろうか。おばあちゃんの返答を聞いて口を閉ざす。
 「ごめん、何でもない」と言えば、おばあちゃんは「そうかい」と言って軒先に置かれた椅子に腰掛けた俺の隣へ、自分も腰掛ける。
「悩み事でもあるんかいねぇ」
 え、と思ったが、おばあちゃんは俺を見てもいなかった。その視線は目の前を通り過ぎていく少し疲れた顔をした男の人を見つめている。一瞬自分のことかと思っていた俺は、小さく息をついてその男の人の背中を目で追った。
「どうかな。ただ疲れてるだけかもしれない」
「上手くいってないて顔に書いてあるよ」
 少し訛りのあるのんびりとした声。
 俺には疲れているようにしか見えなかったが、おばあちゃんが言うならそうなのかもしれない。「よくわかるね」と言うと「無駄に年食ったわけじゃないからねぇ」と返事が戻ってきた。
「自分のことが一番大事で、自分だけを守っとるうちは見えてないこともあるんよ」
 本人は自分を守って他のことに目が行ってないことすら気付いてないやろけどねぇ。
 男が見えなくなった方角を見ながら、まるで独り言でも呟くかのようにおばあちゃんはそう言った。
 自分が一番で自分だけを守る。それはまるで、自分のなけなしの自尊心にしがみ付いて素直に彼女のところへ行けない俺のことのようで、少し苦笑が零れた。
「・・・でも男にはさ、譲れないものってあるよ。女の人にはわからないような小さすぎるものだけど・・・女の人から見ればくだらないものかもしれないけど、それでも男には大事なことなんだ」
 おばあちゃんはようやく俺を見て、微笑んだ。
 そして立ち上がり、店の奥へとゆっくり歩いていく。何故か、曲がったその背中が子どもの頃に見たもののように、とても大きく見えた。
「そのせいで大事なもん手放したらあかんよ、かいと。婆の戯言やけどね」
 そのまま奥へ入っていったおばあちゃんに、声が出なかった。
 どうやらおばあちゃんが話していたのは目の前を通り過ぎていった男ではなく、俺だったらしい。
「・・・おばあちゃんには敵わないな」
 諦めたように呟いて、赤に溶けた氷を見つめる。氷の形はもうほとんどない。器を持った手は冷え切っていて、体の熱は随分下がっていた。
 このまま、このイチゴ味の甘い赤い液体に消えていく氷のように、自分で自分に付けた手枷も足枷も溶けていってしまえばいいのに。そうすれば俺は何も考えずにしぐれみたいに走っていけるのに。
 一瞬でもそう考えた自分に、俺は小さく笑い、器の中身を飲み干した。
 今まで忘れていた頭痛が再度襲ってくるのを感じながら、俺はそれでも構わずに器を椅子に置き、家の方へと足を踏み出した。




思いついたことをマイペースに書いていけたらいいなぁと思っている暇人。



2012
~1/ 3  ツギハギだらけの今(完結・全9話+α)

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