＃２「REBORN－リボーン」



REBORN(形)：生まれ変わった





私は自分が何者かわからなくなった

でも、私がグミに手をかけてしまったのは、十中八九間違いないだろう

私は怖くなり、家を飛び出し、一人で山に入る

街中では、またいつ、発作が起きてしまうかわからない


そして、その日も夜がやってくる

怖くて眠れない……

山の中に一人というのもあるが……

なによりも自分が自分でなくなってしまうような気がして……



でも、睡魔は無条件でやってくる

うとうとしては、たき火の木がはじける音で目が覚める

そして、たき火の火を見るとグミの笑顔がちらつく

私は……その笑顔を……

涙がこぼれる……

こんな体でも、泣けるんだ……





【がさがさ……】

その時、背後で草木が揺れた

私は、素早く立ち上がり、距離をとる


そして、次の瞬間、木の陰から一人の人影が現れた


「……誰？」


木の陰なので、暗闇で顔が見えない

すると、その人影は私に近づいてきて、たき火の火で顔がわかる距離に入る


「え……そ、そんな……」


私は目を疑った


「私だよ！グミだよ！リリィ、探したよ！」


それは今日の朝、体から体温がなくなっていた人物……

自分が手にかけたであろう、私の友人だった……


「ほんと、本当にグミ……なの？」


私は声が震えてしまう


「うん！」


ニコリと笑うグミは、私の記憶に残るそれと同じで……

私はうれしくなって、グミに抱き付いた


「グミっ！グミっ！よかった……よかったよぉ……」


顔をぐしゃぐしゃにしながら泣いている私をグミは優しく包んでくれた













気持ちがいくらか落ち着いた私は、たき火を挟んでグミの反対側に向き合って座る


「ごめんね……それ、痛かったよね」


私はグミの首にぐるぐる巻かれている包帯をさして謝った


「……どうして、リリィが謝るの？」


グミがたき火を見たまま真顔でそういった


「だ、だって……それ、私がやったんでしょう？」

「……うん」


グミが少し悲しそうな顔をしてうなずいた

やはり、あれは私がやってしまったことらしい……わかってはいたが、つらい



暗闇にたき火のはじける音だけが、あたりに響く





「ねぇ、リリィ……」


グミが口をひらく


「リリィ、自分が人間じゃないってわかっちゃったよね……」


私はグミのその言葉に驚く


「なに？その言い方…………まるで、知ってたような口ぶりじゃない……」


グミが私の目をまっすぐ見つめる


「……うん、知ってたよ…………だって、【私も人間じゃないから】……」



私の目の前にいるのは、いつも笑顔のかわいい友人のはずが……この時は、少し怖くも見えた