午前4時 階段を上って
触(ふ)れた手すりがやけに冷たかった
動き出す前のこの街は
まだ静かに眠っているみたいだ
きっと私は空に近い
手を伸ばせば簡単に触(さわ)れるほど
見上げる夜空は朝に近い
あやふやな境目で息をする
混沌に溺れた明日は遠い
ずっとずっと先を走って
追いつかないよ
投げ出すように
ばら撒くように
使い果たした心はタヒんだ
揶揄(からか)うように
弛(たゆ)まぬように
私は生きた 安い人生を
気が抜けた炭酸を飲んだ
刺激のない夜に埋もれていたかった
ひっそりと顔出す朝日が眩しいから
ようやく目が覚めそうだ
大きく背伸びをしたらほら
終わりを告げるアラームが鳴った
午前5時 風が強くって
吹かれた頬がやけに冷たかった
少しずつ色付いてく街は
私を置き去りにするんだ
きっと私は空に近い
背に翼の重みを感じるほど
霞んでいく星は朝に近い
白く燃ゆるその様が美しい
忘れたい過去は酷く苦い
脳裏にこびりついたままで
変えられないよ
投げ出すように
ばら撒くように
切り売りしていた心はタヒんだ
揶揄うように
弛まぬように
私は生きた 荒い人生を
同じガムを何度も噛んだ
味気のないそれがただただ良かった
ちっぽけな世界に沈んでいく夢をみた
「命の終わりは無に還る」
そうだったらいいと空を嗅ぐ
暇つぶしのゲームオーバーに散った
私にしか聞こえない雑音が
ざらざらと脳を撫で回す
つまんない映画みたいに
走馬灯が流れていく
劇的な何かはありゃしない
涙なんて一粒も出てこない
そうやって崩れた理性や道徳は
紙くずとなんら変わらない
腹の一つも膨れやしないから
もういいやって匙を投げるんだ
そうやってあなたは逃げるんだ
投げ出すように
ばら撒くように
落下していく身体はタヒんだ
揶揄うように
弛まぬように
私は逝った 空虚な世界に
その後の話はできないね
この世に残る同志達よ
こんな歌に感化などされるな グッバイ
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