偽物の父親

ささのあP

CeVIO Color Voice Series 赤咲湊を使ったオリジナル曲です。

ささのあP　twitter @P44853069

偽物の父親　　詞・曲ささのあＰ

夕焼けに染まる帰り道　
幼い君の手を引いていた
道端で綿帽子見つけては
君の息で空へ舞いあがる

かけっこで負けて泣いた夜
何を云えば良かったのだろう？
本物の父親だったなら
君に何を云ってあげれただろう？

思春期の頃に君が
帰って来ない夜があった
必死に探して見つけたけど
叱ることさえ出来なかった

私は偽物の父親です
本物にずっとなりたかった
君が誇りに思える父親になりたかった
茜の空に飛んでいった
たんぽぽの種をずっと観ていた
悩んでばかりでいつまで経っても
駄目なままだった

妻に連れられてやってきた
３人で暮らし始めたけれど
なかなか懐いてはくれなくて
気を引く為に頑張ってたんだ

程なくして妻は病気になり
２人残して逝ってしまった
墓参り家路への帰り道
長く長く感じたんだ

君も年頃の娘になって
結婚したいと言ってきた
本物の父親だったなら
一度くらい反対するだろう

父親らしく背筋を伸ばして
君の話を聞いていた
真剣な眼差しを見ていたら
反対なんて出来なかった

結婚式の前の夜に
もらった手紙に書いてあった
「本当の子供じゃないのに
　大事に育ててくれてありがとう」

君に腕を組まれて歩く
赤い絨毯と拍手の中
涙を浮かべて微笑んでいる
君の横顔を見ていた

私は偽物の父親です
結局、本物にはなれなかった
それでも私は、世界で一番
幸せなんです
　