「はぁ・・・」
俺は、ため息をつく。あれからメイド服に着替えたのだが、途中で「細いわねー」だの「可愛いわねー」だの散々ルカに言われて、ついには押し倒れそうになった。
「可愛いわねー」
その張本人は、にこにこ笑顔で座り込む俺を見ていた。
「っていうか、スカート丈・・・」
「いいじゃないの。可愛いわよ」
ふとルカの瞳が優しくなる。俺は息が詰まった。
「あ、そうだ」
固まる俺を気にせずルカは立ち上がり、収納棚から1冊の冊子のようなものを取り出して見せた。
「これ。『レッツ・メイド!』っていうんだけど、題名から分かるように、入門編からさらには上級編まで幅広いのよ!」
そう言って、俺の隣に座るルカ。・・・近すぎる距離感が気になる。
「まずは、もっとも有名な言葉から。『お帰りなさいませ、ご主人様!』」
「・・・」
ルカは完璧なメイドボイスなるものを披露する。
「・・・・・・お、お帰り、ご主人さま・・・」
「てっきり言い直しなさいとかなんとか言われるかと思ったが、
「きゃー! それ、いい! すごくいい! ショタ過ぎなくて、レンきゅんにぴったりよー!!」
「・・・」
褒められてることには変わりないんだろうけど、何だろうこのやるせなさ。
「じゃあ、お客さんが店内に入ってきたら、そう言うのよ」
「・・・」
ほんとは気が進まないけど、ルカが一緒にいてくれるのなら、なんとかなるだろう。そう思って、こくこく頷く。
「じゃあ、次。・・・次は、・・・どれにしよーかなー・・・」
それから約30分に亘って、俺はメイドとしての基本的な立ち居振る舞いを仕込まれたのだった。





「・・・さて、とりあえずはこれだけの知識があれば大丈夫と思うわ」
「はぁ・・・」
本を閉じてにっこりして言うルカの言葉に、俺は思わずため息をついた。
「あとは、いつからメイド・カフェをやるかよねー。一応、週月金土なんだけど、月曜日は平日だから・・・、」
俺はなんとなくいやな予感がして、ルカから目を逸らす。
「土曜日から、本格始動したいわね、できれば」
「・・・」
今日は、土曜日じゃない。平日だ。俺は、自分に心の中で言い聞かせる。
「まぁ、時間がまとまってから、マスターに連絡するから。・・・ちゃんと、マスターの言うこと聞くのよ?」
「分かってるよ」
いくらルカでも、何度も子ども扱いされるのは好きじゃない。・・・ちなみに、リンはああ見えて俺のことを子ども扱いしない。レンきゅんって呼ぶけど。
その後、メイド服から元の服へ着替えて、俺はやっとカフェ・カフェから出たのだった。外は、すっかり夕方色。・・・そんなに、カフェ・カフェで時間を過ごしたのか。









・・・でも、メイドも案外、悪くないかもな。

ライセンス

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日常的環和 34話 ルカと一緒に、レッツ・メイド!

こんにちは、もごもご犬です4日ぶりですね、こんばんは。
日常的環和のタグを31話からつけてなかったことにさっき気づきました←


次回は、まだ未定ですが、お楽しみに!^^

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投稿日:2011/03/17 17:14:09

文字数:1,141文字

カテゴリ:小説

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