「そうですか…でしたら、『gift』という、眠れる薬をだしておきますね」


そう言い、giftを渡すと、患者様はお礼を言って帰っていった。

私は医者の娘なので、薬や医療に関してはなんでも知っている。
最近、不眠症の患者様が多いので、それによく効く薬「gift」を調合し、患者様にわけているの。
giftは他の病気にも効くスグレモノなのよ。

そんな私は眠らせ姫。

giftを配る目的?
そんなの、決まってるじゃない。
貴方の幸せの為に。










<<【七つの大罪】眠らせ姫からの贈り物【自己解釈】>>












エヴィリオス年代記609年

*眠らせ姫からの贈り物*





ブランケンハイム家は、政略の果てに息子を、街でも裕福な医者の娘に婚姻を決めたそうだ。
その医者の娘というのが、私。



政略の果てに決められた婚姻。それでも私は、貴方を愛した。
昔、小さいころの、優しい貴方を愛していた。

でも今の貴方は、欲に溺れた、無能な遊び人に成り下がってしまった…
でもね、前から好きだったのよ?

彼らは、医者の娘の、莫大な財産だけが目当て。
別にね、それでも幸せなのよ?

今の貴方は、幼いころの、私との約束も忘れてしまって。
「絶対忘れない」って言っていたのに。
でも、いいの。貴方の傍に、いられればいいから…



まぁ、私自信に興味を無くして、遊んでばかりいる貴方も、お悩みのようね?
私は貴方が好きだから、助けてあげたい。

私は一応、貴方の妻なんだから、相談くらいしてくれたっていいじゃない?
なによ、五月蝿いって。
まぁいいわ。

私は医者の娘よ!
貴方の悩みなんて、すべてお見通し!
不眠症でしょ?よく眠れないようね。

安心して!
よく眠れる薬を探してあげる!



…なんだけど、問題が発生。
不眠症対策の薬が街にないの。
困ったわ…
貴方を助けることができない…


街を歩く。

…そうだ!
ジュリアなら何か知っているかしら。

ジュリアの家に向かう。



コンコンコンコンコンコン


「ジュリアー居るー?」


ガチャ


「居るわよー…居るから6回もドア叩かないで…」
「あはは。ごめんごめん」


ジュリアの家に入る。


「…で、用件は?」
「なんかね、最近、カスパルが不眠症なのよ」
「あんた医者の娘でしょ?自分でなんとかできるじゃない」
「うん、そうなんだけど、その不眠症の薬が、この街に一つも無くて困ってるの」
「え?そりゃ大変だ」
「そりゃ大変だ、じゃなくてなんとかなんないの?」


ジュリアも暢気なものだ。


「自分で精製すればいいじゃない」
「…は?」
「giftよ。なんの病気にも効くわよ」
「そんなもの、精製方法知らないし」
「…はぁ、仕方ないわね。教えてあげるわよ」
「おお!頼もしい☆」

「そうそう。あとね、マルガリータ…」





***




コンコン



私はカスパルの部屋をノックした。



「カスパル、入ってもいいかしら?」

「…あぁーもー、うるさいって言ってるだろ!?
 静かにしろよ!
 眠れないんだからさー!」


ドアの向こうからは、私の夫…カスパル・ブランケンハイムの怒鳴り声が聞こえてきた。
ちょっとノックしただけなのに…。呆れた。



「知ってるわよ、だから不眠症に効く薬を持ってきたんじゃない!
 それなのに、何よその態度!」

「…不眠症に効く薬、だと?」



カスパルが部屋から出てきた。
その顔には、目の下に隈ができていた。



「そうよ」
「ていうか、なんでお前そんなこと知ってたんだ」
「私、一応医者の娘なんだけど?」
「そうだったっけなぁ?」
「ちゃんと覚えといてよ」


…この女タラシめ。
まぁ「誰?」って言われるよりはマシね…



「で、これ渡しとくわね」
「なんだ、これは?」
「giftっていう薬で、なんの病気にも効くのよ」
「へぇーそりゃ便利だなー」
「でしょ?感謝してよね」
「はいはいありがとさん」


私からgiftを受け取ったカスパルは、そう言って部屋に戻ってしまった。
この苦労知らずめ…



「あ、言い忘れてたけど、giftは少しずつ飲んでねー?」
「はいはいわかったようるさいな」
「なっ…!あなたねぇ、giftを探すのにどれだけ苦労したか分かってるの!?」
「お前は黙っていろ!」


カスパルは、本当に昔と変わってしまった。
どうしたら、彼はこんなふうになってしまうのだろう。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

眠らせ姫からの贈り物 前編【自己解釈】

くわしくは本家様の動画で。
本家様 http://www.nicovideo.jp/watch/sm14539838

閲覧数:3,315

投稿日:2011/10/19 18:08:21

文字数:1,882文字

カテゴリ:小説

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