こんな生活なんて、いい加減うんざりだ。
 白い箱の中に閉じ込められ、太い管に繋がれて、ずっと天井を見つめる。パパやママは「いい子にしてれば病気が治る」とか言うけど、こんなとこで“いい子”にしてたら、余計病気が悪くなるわよ――実際、私の病状は、決していいとは言えないし。
 こんなバカらしい治療を続けた結果、私に残ったものは何も無い。友達なんていないし、話し相手はパパとママ、それからあれこれうるさく言ってくる、医者やら看護師だけ。好きな人とかフツーの女の子ならいるのに、私にとって恋愛なんて、夢の中の夢。
 本当に“囚われの身”って言ったっておかしくない。
「ねぇ、パパ」私はパパに話しかける。「私、いつになったらこんなとこ出られるの?いつになったら病気が治るの?」
「リンがいい子にして、治療をしっかりしたら退院出来るよ」パパは微笑んだ。
 ほら、また。同じことを言う。
「それっていつなの?」私はまた聞いた。
「すぐだよ」パパは私の頭を少し撫でて、ごまかす。
「・・・・ふぅん」
 私はプイッとパパから顔を背けて、枕に顔をうずめた。大きくため息をつく。
 ――せめて、恋が出来れば・・・・神様、最後のお願いです。もう、わがままは言わないから、せめて私は恋をしてみたいの。とっても素敵で、キラキラして・・・・――。
 
 窓から見える、青い空。もう何年外に出てないかなぁ・・・・。外は気持ちいいだろうな。こんな消毒のヘンな匂いじゃなくって、甘いお花の香りがして、それから暖かい陽の光が当たって・・・・外に出れればなぁ。
 ・・・・そうよ!出ればいいんじゃない!なんてバカだったのかしら?あの人たちの言うことなんて、聞く必要ないじゃない!

「じゃあね、リン。大人しくしてるんだよ」パパが言う。
「はぁい」我ながら白々しい嘘をつく。
パパが病室から出て行った。今ここにいるのは私だけ。やるなら、今。
 私は点滴の管を取った。痛い。でもそんなの慣れっこだし、輝かしい外の光を考えれば、どうってことない。私はベッドから立ち上がって、淡いピンクの帽子と、ワンピースと、ボレロで出かけた。
 行き先はそう、パパの仕事場。強制収容所だ。

 

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

囚人―Prisoner―02#白箱【前編】

囚人3作目。
なんか続けて書くと長くなりそうだったんで、切りました。
ちなみにパパは素敵なPVのパパのままのイメージ。
ママはルカさんですwめっちゃ若い。でも気にしない。
メイコさんにしようかと思ったんです。最初は。
でも、リンの目の色が矛盾するんでルカにしました。
パパは金髪なんで、ママは目が緑かなって思ったんです。
ヘンな所細かいwww

続きも読んでくださると嬉しいです。

閲覧数:818

投稿日:2009/04/28 16:11:06

文字数:917文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました