1月30日

今日は私の誕生日

友達が祝ってくれるって言ってくれたけれども…

久しぶりにあの人に会ってみたくて



≪Reencounter≫



昼間の各駅停車の車両はやけに空いている

少し早すぎたかな

別に急行でも行けるけど、このドキドキを隠したくて

時計はまだ11:43

待ち合わせまで一時間以上ある

…なんでこんなに早く出てしまったんだろう

きっと会うのが神威だからかもしれない


私の高校時代に好きだった人


このように会う機会なんて本当はないはずだった

あの時はそういうのに疎くてわからなかったけど、離れると妙に寂しくて

結局その感情に気づいたのは大学に入ってから

つまり遅すぎたのだ

だから、あの時より大人で女の子な私で会いたくて

…君に惚れてもらいたくて

今頃って感じだけど、もう会えただけで泣いちゃいそうな勢いだ


『次の駅は、○○○、○○○です』


アナウンス


もう着いちゃったなんて絶対言えない

どこかの店を適当にみて暇を潰すしかなさそうだ

しょうがなく改札へ向けて歩きだした

電車もだったけどやっぱり駅もどことなく寂しい


「あ、すいません!」

慣れないヒールのせいか、足元がゆがんだ

ついてないな…

目の前の男性と不意に目が合った

「ごめんなさい…」

『いえ、足は大丈夫ですか?』

優しくてよかった…

「大丈夫です、ありがとうございま……」

「神威………?」

『巡音?』

目の前に、一時間後に会うはずの彼がいた

突然すぎる

待ち合わせは1:30のはずだ

「待ち合わせって…一時間後だよね?」

『……お前もな』

でも、だって、こんなの反則だ

うるさいよ、心臓。

『つか…本当に、巡音?』

「私だけど?」

『だよな、よかった…』

「でも、神威随分イメージ変わったっていうか、大人っぽくなったね…!」

『お前は変わらないなw』

「人がせっかく褒めてあげてるのに?」


懐かしい声

あの時の記憶が一気に溢れていく

…でも、今さらときめく理由なんてないんだよね

好きだった、それだけ

結局想いは伝えられなかったし、その前に気づくことさえできなかったのに、今さら手に入れようとしたって無理な話で

互いに連絡とかも取り合わなかったし、二年もたてば新しい出会いに何度も遭遇し、気持ちが消えていくのはもはや必然だ

ただ、私が進めてないだけ。

だから、好きなんて、思っちゃいけない

「なんか、うん。神威にしては成長しててビビったっていうか」

『なんでそこ上から目線?直接カッコよくなったとか言っていいのにーw』

「やっぱ前言撤回。相変わらず神威は神威ね」

『せっかく誘ってやったのにwきっとお前がぼっちで悲しく誕生日を過ごすと思ったから』

「さすがにそれはないから安心して。ちゃんと友達できたから」

『…さすがに立ち話もあれだし、そこらへんのカフェにでも入るか』






〈…はい、注文は以上でよろしいですか?〉


長い

とてつもなく長い沈黙

実際はそんなに時間はたってないだろう

でも、神威の立ち振る舞いがずっと大人で、気後れしてしまった

…きっと彼女はいるのかな

むしろいないとおかしいぐらいの優良物件だ

かっこよくて、ユーモアがあって、頭が良くて、すこしひねくれているけど優しくて

…これ以上考えるのはやめよう

『…まあ、あんな適当な会い方だったけど久しぶり、ルカ』

「こちらこそ。二年ぶり?かな」

『案外長い間会ってなかったんだな』

「二年だし…ね。そういえば、神威は大学どう?」

『どうって…』

神威は日本でも有数の難関大学に行って一人暮らしをしているらしい

まあだからなんだって話だけど。

でも、二年たっただけで人ってこんなに変わるんだなって思う

君の目に私がどう映っているかは知らないけど

『あ、そういえば』

「え、何??」

『ノラ猫がどら焼き食って走ってるのみた』

「サ○エさん…!?」

『あー、なんかはだしで追っかけてる女の人もいたな』

都会にはそんなにアクティブな女の人がいるんですか!?

私も一人暮らしはしてるけどさ、そんな光景みたことないよ!?

『巡音はなんかないのー?』

「なんかって……」

『いや、例えばおかっぱの赤いスカートはいた女の子が近所にいるとかさ』

「あー、いた気がするかも。たしか名前がなんかのアイドルと一緒だった気が……って!!違うから!!ちび○子ちゃん!?」

『知らねーよww…でも元気そうで何よりだ』

「馬鹿」

『え?どの口が言うのかな??休み時間になっても問一しかできてなくて俺の休み時間まで潰しt…』

「はいはい、すいませんでした」

『ったく、巡音も変わっちまったなあ』

「どこのおじさんよ」

『大学はいると変わるもんなんかねー…』

変わる、か

神威はとても手が届かないぐらい上にいってしまった気がする

君もそう思ってくれてたり…はしないね、きっと

…さっきから思い上がりすぎです、私

『ルカはさ、俺のこと名前で呼んでくれなかったよね』

「あんた女子がどれだけ恐ろしい生き物か知らないでしょ」

あの頃、本当に怖かったんだから……

神威親衛隊やらなんやらに何回注意勧告浴びたことか

でも、今となってはそれでも神威のそばにいた私を尊敬するけど

『…ルカって本当、鈍感だよね』

「いきなりの悪口ですか!?」

『いや、そーゆーんじゃなくてさ、』

『…気付こうよ、これくらい』

視界が急に暗くなった

瞬間、優しい唇が、触れた

「…!?」

意味が、わからない

思考回路がショートする

「し、神威!?」

『今日は何の日?』

「いちがつ…さんじゅうにち……」

『…ルカの誕生日、でしょ?』

「そういえば……」

『好きだよ』

「!?」

今、なんて言った??

好きって、、、言った?

聞き間違い…じゃないよね……?

「いま…好きって……言った?」

『もう本当に鈍感。ありえん』

…私だって、この気持ちに、気付いてた

ただ、怖くて

本当は認めたくなかった

でもね……

「あのね、本当は、私も神威が大好きだった。でも、気付いた時にはもういなくて……」

伝えたかった

ずっと思ってたこと

同じ気持ちだったんだね

『もういい、大丈夫。言わなくてもわかるから』

君の暖かい胸の中にいる

まるで夢みたいだ

目から君への想いが零れてく

今、

出会った偶然、笑いあえる偶然、この瞬間を君と過ごせる偶然、

全ての偶然に感謝しよう

そして願うよ

”こんな偶然がいつまでも続きますように”って

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【超遅刻】 Reencounter 【がくルカ】

えっと、とりあえず結果はまだなんですが、試験は終わったので書きかけだったものを仕上げました

ちび○子ちゃん伏字の意味ないしその他にもかなりクオリティ低いww

設定的には、ルカさんとがっくんは同じ高校でまあいろいろあって大学いってー再会してーみたいな感じです。
そこらへんはシリーズ物にして書けたらいいなと思います

ルカ誕…です。はい。文字通り超遅刻です。殴って構いませんルカさん。
気分はそれでも1/30←

閲覧数:672

投稿日:2014/03/06 22:17:47

文字数:2,804文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • しるる

    しるる

    その他

    遅れても祝う気があるっていうのは、感心ですねw
    「ルカちゃんのキーホルダー(5)」ですねw

    2014/03/14 01:16:18

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