作品一覧
-
ピピピピッ、ピピピピッ、ピピッ……。
音のなる物を手探りで探し、音を止める。
そして、目を開ける。
メ「起きないと。」
そう言いながら、もう一度眠ろうと閉じようとするまぶた。
メ「ダメダメ。このままじゃ、寝ちゃうわ。」
慌てて起き上がり、背伸びをする。
メ「みんなのために朝ごはん作らなくちゃ。今日は...記憶の赤のページ(20th前日)前編
漆黒の王子
-
◇◇◇◇
心地よい微睡みが、緩やかに晴れていく。
「ん、んん……」
が、自らの心はまだその微睡みと夢に浸っていたくて、そこになんとか戻れないかと身をよじり、ベッドのシーツに脚を絡める。
……。
あれは……夢、だ。
随分昔、まだアレックスに拾われて数年しか経っていない頃の事。
あの頃はア...針降る都市のモノクロ少女 おまけ 後半
周雷文吾
-
18.(perhaps……)
わたしは紅茶の載ったトレーを左手に、右手で執務室の扉をそっと開けて、部屋の中に入る。
「失礼……します」
「ん? ああ、リンか。すまんな」
マスターは執務室のデスクで書類をにらみつけながら、頭をかりかりと掻いている。
わたしはトレーをデスクの端に置いて、マスターの...針降る都市のモノクロ少女 おまけ 前半
周雷文吾
-
アラビアの夜
骨董屋の女主であるルカは口元に人差し指を立てて静かに語った。
「……ここだけの話よ。このコーヒーカップにはイワクがあって―――」
客は彼女一人、寒風が窓を揺らす中でルカは物騒な話を始めた。
メイコにしてみればこれから話す内容次第で目の前にある年代物のコーヒーカップを買うかどうかを吟...メイコちゃんカフェ 『アラビアの夜』
kanpyo
-
Flights from Miami to Orlando (MIA to MCO)
Florida, known as the Sunshine State, is a haven for travelers seeking diverse experiences. Among its many...Flights from Miami to Orlando (MIA to MCO)
easypeasyfly
-
ミ「ふわぁぁ(あくび)。グミちゃ〜ん、おはよぉ……。あれ?グミちゃん?おーいグミちゃん?どこ行ったん……ん?置き手紙?と家の鍵?」
ミクちゃんへ
用事があるから先にミクちゃんの家に行ってます。朝ごはんもこっちで用意してるから、起きたらこっちにきてね。
GUMIより
ミ「用事?ってなんだろ。起こしてく...記憶の歌姫のページ(16歳×16th当日)
漆黒の王子
-
本編:
ここは、人類が居なくなった世界。
ありとあらゆる憎しみが消え去った世界。
主(あるじ)に取り残された私たちは、
それぞれが自分に合った幸せを見つけ、
この寿命が尽きるまで平穏に暮らしていた。
寿命が尽きるという表現は少し違う気もするが、まぁ、いいだろう。
私たちは、器が朽ちてもデータさえあれ...死ヲ忘ル事ナカレ
Kurosawa Satsuki
-
辛い時、悲しい時、私は決まった夢を見る。
もう二度と見れないその夢は、
私の偏屈な思考さえも癒してくれた。
深夜にふと目が覚めた。
鈴虫が呑気に歌を歌っていた。
先日、男たちに隣国の噂を聞いた。
ある日を境に、人の数は急激に減ったそうだ。
男たちは口々に隣国を罵った。
もう取り返しがつかないし、この...不死身のワルツと月夜の魔女(最終章)
Kurosawa Satsuki
-
むかしむかし、そのまた昔、
自然に愛されている村があった。
豊かな自然に囲まれ、村人同士も仲が良く、
五体満足でなかろうが、
人より欠点や苦手なものが多かろうが、
身寄りのない放浪者であろうが、
分け隔てなく接する優しい住人が沢山いて、
それは、この村を作った者たちの中に、
理不尽な理由で故郷を追わ...災禍の悪夢(不死身のワルツと月夜の魔女)
Kurosawa Satsuki
-
今にも消えてしまいそうだった。放っておいたら、いつの間にかふっといなくなってしまいそうだった。ミクのことが気になったのは、そんな彼女の危うい雰囲気を感じ取っていたからなのかもしれない。
盛大な拍手に囲まれて舞台を降りる彼女には、もうそんな危うさはなくなっていて、それを心から良かったと思う自分がい...【小説化】火葬曲33
海月大和
-
「ご、ごめん……」
咄嗟にレンくんが謝るも、リンちゃんはショックで口を噤んでいる。場の雰囲気が一気に悪くなった。ことによってはまた喧嘩になってしまう恐れがある。
「だ、大丈夫大丈夫、また書けばいいよ!」
努めて明るく言ってみたが、二人の間にはお通夜のような沈黙が下りていた。いたたまれない空気に冷...【小説化】火葬曲25
海月大和
-
勉強会といっても、そんなに難しいことはやっていない。作曲初心者にいきなり専門用語を羅列したって理解できるはずがないからだ。
流石に知っているか否かで仕上がりに大きく影響する基本の部分は嚙み砕いて説明したが、リンちゃんは体験して覚えるタイプらしいので、最初はその場で音を鳴らして理解させてきた。今は...【小説化】火葬曲24
海月大和
-
始めに:
死に損ないが一匹。
今日も、人の手を借りながら、
死んだように生きている。
本文:
二十歳の時に、遺書を書いた。
後悔の念や、誰にも理解されなかった思いを短く端的に綴った。
「死にたい、消えたい」と何度も思った。
自分の不幸を他人のせいにしてきた。
歳をとっても弱いままだった。...晩年
Kurosawa Satsuki
-
埋められない想いがあった。
叶わない願いがあった。
それらを全て灰にした。
それでも私は私だった。
…………………………………………
我が家に大きな熊がやって来た。
その傍らにはママがいた。
大きな熊は私を睨んだ。
ママがキッチンから持ってきたお皿を受け取った彼は、いつものように涼しい顔で煙草を吹か...応答セヨ、少女の涙(試作)
Kurosawa Satsuki
-
季節の変わり目が曖昧なこの土地で、それでも日々の移り変わりを感じられるのは日の長さくらいのものだ。ボランダストリートの一角、とある喫茶店の窓際から傾き始めた太陽を見て思う。あと3時間ほどであの太陽は地に沈むことだろう。
ふかふかの一人用ソファに背を預けて僕はコーヒーと皿に盛り付けられたソフトクリ...【小説化】火葬曲23
海月大和
-
「良い曲って、どうしたら作れるのかな……」
語り終えたリンちゃんは、溶け始めたソフトクリームをひと舐めしてぽつりと零した。
「あたしの歌、何が悪かったのかなぁ」
しょぼんと肩を落とすリンちゃん。僕はソフトクリームの最後の一口を頬張り、少し考えてこう言った。
「ねえ、僕にその曲を見せてくれない?」...【小説化】火葬曲17
海月大和
-
これってもしかして、未成年者略取ってことになるのかな?
ぞっとしない考えが頭に浮かぶ。小荷物よろしく抱えてきた少女に目を落とし、僕はどうしたものかと眉間を揉んだ。
歪な楕円形をした公園の中央には天使のオブジェが乗っかった時計。遊具は明るい日差しをきらりと反射して、芝生は日光を受け止めて実に暖か...【小説化】火葬曲16
海月大和
-
ミクとのデートから一週間ばかりが経った。彼女からの連絡は未だない。
あれから僕は四日ほどかけて四つの楽譜を書いてケイにその旨を伝え、あとの数日間はミクからの電話を待ちながら平凡に過ごした。
一時は説得に行こうかとも迷ったけど、僕が伝えられるようなことはもうほとんどと言っていいくらいに無いことに...【小説化】火葬曲15
海月大和
-
*ますたー
「おぉ~、すごい量の雪だなぁ。」
朝目が覚め、カーテンを思いっきり開けると、辺り一面雪で覆われていた。
「ますたー、どうしたの…おぉ~!!」
KAITOも目が覚め、雪景色に見惚れたように見てる。
「ますたー、こういうときは雪で遊ぶのが一番!早くあそぼ!」
「おぉ、いいな。よし、みんな起こ...ますたーと過ごすボカロワールド 特別編
卑怯戦隊の子分
-
*ますたー
ボーカロンでの日常はとても楽しい。KAITOの家事の出来度に驚いたり、ミクの仕事について行ったり、ルカに手料理を振る舞ってもらったりと、充実していた。…だが、少し困った事も起こる。MEIKOの酔っぱらった時のノリがたまーについていけなかったり、リンとレンが口喧嘩。寝てるときにKAITOが...ますたーと過ごすボカロワールド
卑怯戦隊の子分
-
*ますたー
「~♪」
ついにこの日が来た!ボカロPとなる時が!俺はアルバイトで貯めてたお金を奮発して買ったVOCALOIDたちを持って家に帰るところだ。
「ま~ずは誰に歌ってもらおうかな~♪」
ウキウキしながら帰っている。…までは良かった。
「だ~れ…!?」
俺はこの時下も前も見ず青い空を見ていたの...ますたーと過ごすボカロワールド
卑怯戦隊の子分
-
十八枚目:
昨日の朝、三歳の妹が死んだ。
原因は、母の育児放棄によるものだった。
食事もろくに与えず、家に居る時間も次第に減った。
毎日私が、母の代わりにオムツを変えたり、
ミルクを与えたり、身の回りの世話をしていたものの、五~六歳の私が一人でするのには限界があった。
父に裏切られ、シングルマザーと...名無しの手紙(十八枚目)
Kurosawa Satsuki
-
十六枚目:
俺には価値がない。
両親も兄弟も俺も周りも、
みんな俺には期待しない。
凡人にもなれない糞ニート。
俺の居場所は画面の向こう。
今日も、働かない言い訳を探しながら、
キーボードをカタカタと鳴らす。
産んでくれなんて頼んでない。
病気なんだから仕方がないじゃないか。...名無しの手紙(十六枚目)
Kurosawa Satsuki
-
十五枚目:
私には殺したい程憎い女がいた。
職場の同僚なのだが、
自分が犯したミスを私のせいにしたり、
周りが見てる前で私の悪口を言ったり、
私に関する根も葉もない噂話を広めたり、
事ある毎に嫌がらせをしてきて本当にウザかった。
彼女からの嫌がらせの他に、
日々のストレスもあって、
会社から帰宅して...名無しの手紙(十五枚目)
Kurosawa Satsuki
-
十四枚目:
親戚の兄が死んだ。
死んだというか、突然消えた。
物心つき始めた頃からよく遊んでいたのだが、
当時中学生だった兄は、臆病で暗い性格のせいか、
クラスメイトから忌み嫌われ、虐げられていた。
兄が受けていたものは、机に落書きとか、
上履きに画鋲とか、そういう古典的なものから、
誹謗中傷、ゲー...名無しの手紙(十四枚目)
Kurosawa Satsuki
-
十三枚目:
大した理由はない。
他人にとってはくだらない話だ。
もうそこは、俺の居場所じゃない。
本当に、ただそれだけだ。
息苦しかった。
教えというやつがわからなくなった。
あんたらにとって俺は、裏切り者でしかない。
教えを否定した罪人だ。
教えに背いた俺を責めるなら勝手にしろ。...名無しの手紙(十三枚目)
Kurosawa Satsuki
-
十二枚目:
正義ってなんなんだろうな?
善悪ってなんなんだろうな?
結局さ、俺の勘は正しかったんだよ。
俺の代で終わらせるべきだった。
人が人に戻るには、もう手遅れだ。
クズだけがいい思いをし、
そのクズの為に罪なき奴らが犠牲になる。
馬鹿げた世界だ。
何千年間その繰り返し。...名無しの手紙(十二枚目)
Kurosawa Satsuki
-
十一枚目:
「お前、大変だな。
生きるのを手伝ってやろうか?」
男への不満をSNSで呟いていると、
後ろから虚ろな目をした男に声をかけられた。
「願いを叶える訳では無い。
あくまで手伝うだけ。
お前の願いはお前が叶えてやれ。
他人に期待しすぎるな。
だから今みたいにある事ない事文句が出る」...名無しの手紙(十一枚目)
Kurosawa Satsuki
-
十枚目:
貧しい家庭に生まれた少女。
父はお酒とタバコが唯一の娯楽で、
自分にだけ暴力を振るってくる。
母は、重度の快楽狂で、
借金返済の為に、自ら喜んで体を売る。
学校では、心身共に傷ができる程の虐めを受け、
教師に話しても笑われる始末。
お前が悪い、お前は恵まれているんだぞ、
世界にはな、お前以...名無しの手紙(十枚目)
Kurosawa Satsuki
-
九枚目:
俺が不幸なのは俺のせい。
あんたが不幸なのも俺のせい。
じゃ、あんたの責任はどこにある?
苦しいか?
俺もだ。
宗教的価値観の押しつけも、国同士のいざこざも、
もううんざりだ。
苦労が美徳、自己犠牲は素敵な事だ。
そう言ったのはあんただろ?...名無しの手紙(九枚目)
Kurosawa Satsuki