タグ「女マスター」のついた投稿作品一覧(7)
-
07
「おはよう、カイト。
さぁ、どんな気分だ?」
とーさんの声がする。
マイク越しではないそれは、知っているものよりも少しだけ低い気がした。
目を開く。
覗き込んでくる顔が近い。...Spinnerlie -紡ぎ歌ー 07 (完結)
-
06
たくさんのCDを聞かせた中、創られたココロは「この人の歌を歌いたい」と笑顔で告げた。
だがその矢先、彼女は事故に合った。
歌えなくなったんだという男に対して、決して人に従順であるようにとはプログラミングされなかった擬似的な魂の主は酷く愚図った。
それなら、自分が彼女の変わりに歌いた...Spinnerlie -紡ぎ歌ー 06
-
05
そのニュースが駆け巡ったのは唐突だった。
本当に順調に進んでいたのだ。
期待の新鋭MEIKOとネット界で話題のKAITOのデュエット。
KAITOのデビュー、そこまでは。
しかし・・・
「どいつだ?ソースは」
「トシアキのグループの元メンバーですね。
例の、ヤクでとっ捕まった奴です」...Spinnerlie -紡ぎ歌ー 05
-
04
しばらくして。
周囲がにわかに騒がしくなってきた。
それは歌い手として認められたことの証明といえたが、唄を最優先とする存在であるカイトには少々のわずらわしさを伴った「雑音」にも、彼女には聞こえた。
マスターである彼女がなまじ「元」有名な歌い手であったことも一つの原因だったかもしれない。
公...Spinnerlie -紡ぎ歌ー 04
-
03
カイトは呼ばれたような感覚に顔を上げた。
プログラムでしかない彼にとって、それはただしい表現とは言いがたかったが、同時に彼の意識ではそれは事実。
マスターは食事中で、この「いえ」にはふたりしかいないはずなのにと思いながら誰?と「意識」を向けると、「彼女」が「目の前」で、やは、と軽く手を上げ...Spinnerlie -紡ぎ歌ー 03
-
02
その部屋の壁ひとつに、モニターがついた。
ワイド画面のPCくらいの。
その画面には、いつも一人の笑顔が映りこんでいる。
外部スピーカーからは、穏やかな声が響くのだけれど、少し違和感がある。
「カイト、そこのキー、すこしつらい?」
「いえ。違和感でましたか?」
「ちょっと弄りましょうか」
...Spinnerlie -紡ぎ歌ー 02
-
それはあっという間の出来事だった。
確かな日常、変わり映えのない日々。
それは不満や違和感なんて縁のない、純粋に心のままに歌う為の日々。
自分にとってこの上なく愛しい当たり前。
ないがしろにしたつもりも、変化を求めたことも、不満を抱いたこともなにもない。
けれど「それ」は私を直撃した。
悲鳴のような...Spinnerlie -紡ぎ歌ー 01