空に捧ぐまじないの歌【背景設定】
※裏歌詞のネタバレがあるので、自分で解読したい人は気を付けてください。
とあるファンタジー世界の片隅で、干ばつに襲われた村があった。
田畑は枯れ、森の葉も茶色く染まっている中。
森の奥にある一角だけは、青々とした枝を茂らせていた。
そこには精霊が住むといわれる泉があり、泉の周囲だけは精霊の加護があるのだと信じられていた。
終わりの見えない干ばつに、村人たちは考える。
泉の精霊の加護を、村にも与えてはもらえないだろうか、と。
そこで村人たちは精霊に呼びかけるための祈りの歌を捧げる者を選びだした。
ただし、それはその者が精霊に願いを聞いてもらうための代償を支払うということでもあった。
代償とは、命。
選ばれてしまったのは、歌うことを何より好んでいた青年。
村には家族や友人や、大切な人がいる。
だから彼は、選ばれてしまった不幸を嘆きながらも、誰かが負わねばならないその役目を引き受けた。
泉の精霊に呼びかけ、願うための歌を歌う。
★
けれど彼はまだ、若かった。そう簡単に、命を投げ出すことに納得などできなかった。
長く干ばつが続いていると言っても、他にも方法はあったはずだと思えてならなかった。
だから彼は、自分を選んだ者たちへ恨みと怒りを抱いた。
歌は、思いを紡ぐもの。故に――祈りの歌は、同時に、呪いの歌となる。
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